オプションだけで「662万円超え」も!? 最新「“超高級”SUV」どれがイイ? 「マイバッハ・レンジローバー・アウディ」イッキ乗り! それぞれの“スゴすぎるところ”とは【試乗記】
最新の電動「“超高級”SUV」3モデルを試してみた!
欧州メーカーではいま、電動化の動きが加速しています。なかでもメルセデス・マイバッハ、レンジローバー、アウディは、EVをはじめとする電動化に積極的なプレミアムブランドといえるでしょう。
日本自動車輸入組合(JAIA)主催の第44回「JAIA輸入車試乗会」で、そんな各ブランドを代表する最新SUVを比較試乗しました。

欧州各メーカーの電動化戦略は、当初の発表よりもやや鈍化傾向にありますが、メルセデス・ベンツ、アウディ、ジャガー&ランドローバーなどは着々と持続可能なクルマ社会への布石を打っています。
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プレミアムブランドが抱える顧客には社会的責任を大きく背負う立場にある方も多く、早くからカーボンニュートラル車両に興味を持ち、それを愛車やビジネスカーとすることを望む傾向が強いというのも理由のひとつでしょう。
そうした状況を受け、ここ数年でプレミアムブランドがBEV(バッテリーEV:電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド)車ラインアップを拡充し、熟成を続けています。
今回はその中から、メルセデス・マイバッハのBEV「EQS680 SUV」、ランドローバーのPHEV「レンジローバー AUTOBIOGRAPHY(オートバイオグラフィー) P550e」、そしてアウディのBEV「SQ8スポーツバック e-tron」の3台をイッキに試乗してきました。
まずは、メルセデス・マイバッハ EQS680 SUVから試してみましょう。
実車を目の当たりにして、筆者(まるも亜希子)はEQS680 SUVから放たれる得体の知れないオーラに圧倒されてしまいました。
いつも試乗手順を忘れ、前のドアを開けようか、それとも後ろのドアを開けてみようかなどと、ただ乗り込むのにも逡巡してしまったくらいです。
ショーファーカーとしてのネームバリューと高い技術を有する「Mercedes-Maybach(メルセデス・マイバッハ)」ブランド初のBEVで、メルセデス・ベンツ「EQS SUV」のロングホイールベースを贅沢に使った4名の乗員のためのラグジュアリー空間となっています。
通常は5人乗りですが、軽自動車1台分にものぼるオプション価格で4人乗り「ファーストクラスパッケージ」(123万6000円)に仕上げてあるのが今回の試乗車です。
庶民感覚でのレポートで恐縮ですが、汚れを気にするような人には向かないアイボリーのレザーシートは、厚みのあるクッションでふっくらと身体に沿う心地良さ。頭を預ければフカっと埋もれるクッションもお約束です。
運転席からの眺めは、フロントガラスと3面の高精細パネルをつなげたディスプレイ「MBUXハイパースクリーン」が上下に広がっていて圧巻。太く立派なセンターコンソールが助手席とを隔てており、操作に集中できる環境となっていました。
豪華すぎる仕上がりに圧巻! メルセデス・マイバッハ「EQS680 SUV」
メルセデス・マイバッハ EQS680 SUVは、後席の豪華さも群を抜くものです。
とくに助手席側はリクライニングやオットマンの操作、助手席の背もたれを前に倒せば、完全に足をのばしてくつろげる姿勢になりました。

個別に大きな11.6インチの「MBUXリアエンターテインメントシステム」も備わり、ここで好きな動画を見たりオンライン会議などもこなせるはず。
左右席の間には冷蔵庫もあるので、好きなドリンクを冷やしておくこともできます。
日本では、車内の上座といえば運転席の後ろと言われていますが、このSUVでは助手席の後ろが特等席でしょう。
メルセデス・ベンツのEV専用プラットフォーム「EVA2」を採用し、118kWhの大容量バッテリーを搭載するマイバッハEQS680 SUVは、一充電あたりの航続距離が640kmとなっています。
ベースとなるEQS SUVですでにその走りの良さには定評がありますが、3列シート7人乗りから2列シートになり、車両重量も200kg程度増加。さらに足元には22インチタイヤを履いているだけに、その乗り味がどう変わっているのか気になるところです。
ところが、出だしはとても穏やかで上質。ガソリン車とほとんど変わらない感覚での発進加速ですが、路面のゴツゴツをオブラートに包んでくれるようなところはさすがマイバッハ。
太めのステアリングは意外にもスポーティさを感じるほどで、追い越しをしようとアクセルを踏み込んだ瞬間、最高出力658psを見せつけるかのような怒涛の加速フィールに遭遇し、こういう時のためのステアリングフィールなのかと納得しました。
また、ドライブモードを「スポーツ」にするとペダルタッチがカチッとして、タイヤからのインフォメーションもクリアになる感覚。
コンフォートモードの代わりだという、専用開発の「MYBACHモード」を選ぶとやや上下にふわっとするようなシーンもありましたが、紳士的なドライブが続いていくのでした。
後席に座るだけでなく、時には自分でステアリングを握ることも楽しみたい富裕層におすすめしたいSUVです。
メルセデス・マイバッハ EQS680 SUVの車両価格(消費税込み、以下同)は2790万円。
前述のファーストクラスパッケージをはじめ、試乗車にはさまざまなメーカーオプションが備わえい、その総額だけで662万3000円に及ぶる贅沢仕様だったことも驚きでした。
気品漂うモダンデザイン! レンジローバー「オートバイオグラフィー P550e」
続いて、従来のP510eからP550eへ進化したレンジローバー オートバイオグラフィー P550e。
“砂漠のロールスロイス”との異名をとるほどに、SUVでありながら気品漂うエクステリアデザインは健在で、フロントグリルやバンパー開口部がよりモダンなデザインとなっています。

インテリアは多くのスイッチがディスプレイによるタッチ操作に集約され、とてもシンプルですっきりとした空間。
それでも、センターコンソールに使われる木目やソフトな触感のインナーパネルなどによって、どこか温もりを感じるところもレンジローバーらしさです。
ランドローバー/レンジローバーが大切にしている、運転席からの視界や操作性の良さを表す「コマンドポジション」もしっかり受け継がれ、座るとクルマ全体に守られているような安心感に包まれました。
パワートレインは、エンジンは従来通りに最高出力400ps、最大トルク550Nmとなる3リッター直列6気筒ターボエンジンですが、モーターは出力が約218ps、281Nmへアップし、トータルでの出力が550psとなっているのは車名からもわかる通りです。
そして駆動用となる38.2kWhのリチウムイオンバッテリーがフロア下に配置され、一充電あたりのEV走行距離が最大120km(WLTPモード)と、従来の100kmから大きく延びました。
充電は普通充電が最大7kWまで対応しており、急速充電は30kWの充電器の場合、約60分で80%までの充電能力となっています。
走り出しはEVモードで、静かさとなめらかさの中にもドッシリとした重厚感が伝わる上質な加速フィール。
風が強い日だったということを忘れてしまいそうなほど、室内は穏やかな時間が流れていきます。
ハイブリッドモードにするとエンジンが始動しますが、その音に安っぽさがなく心地よく響くところはさすが直6エンジンと納得。追い越し加速などでも荒っぽさは微塵も感じさせず、余裕たっぷりで走ることができました。
「エコ」「コンフォート」「ダイナミック」「オフロード」に加え、悪路走破性を高めるテレインレスポンスも搭載されており、いざという時でもどっしりと構えていられる絶大な安心感。
それがレンジローバー オートバイオグラフィー P550eの大きな魅力だと感じました。
価格は2447万円。EQS680 SUVほどではないですが、この試乗車にも総額146万6000円もの贅沢なメーカーオプションが装着されていました。
熟成された滑らかな走りは「スポーツカー」!? アウディ「SQ8 スポーツバック e-tron」
最後は、クーペSUVのBEVとなるアウディ SQ8 スポーツバック e-tron。
2018年にアウディ初のBEVとして登場したアウディ「e-tronスポーツバック」が、マイナーチェンジとともにネーミングを一新してSQ8 スポーツバック e-tronとなりました。

歴代のアウディモデルではハイパフォーマンスモデルに「S」を冠している通り、今回の試乗車もフロントに1基、リアに2基で合計3基となるモーターを搭載し、最高出力503ps/最大トルク973Nmを発揮するハイパフォーマンスモデルです。
バッテリーも114kWhと大容量で、そのわりに航続距離が482kmと控えめなのは、0-100km/h加速が4.5秒という俊足だからでしょう。
登場当時からSUVというよりはクーペに近い、全高1615mmの低く流麗なスタイリングは健在。
それでもベースモデルの「Q8スポーツバック e-tron」よりも20mmずつ拡張されているホイールアーチが、どことなくタダものではない雰囲気を醸し出しています。
足元はオプションとなる22インチタイヤが履かされており、さらに迫力満点。アダプティブエアサスペンションが標準装備されており、ドライブモードを選択すると適した車高に自動的に約50mmずつ上下するようになっています。
任意で5段階の車高調整も可能なので、荒地や雪道で気を使わずに済むのは嬉しいところ。
インテリアはブラック基調で、今見るとディスプレイが分かれていたり段差の多いダッシュボードだったりと、少し煩雑な印象を受けました。
でもセンターパネルがやや運転席側に向いているなど、アウディらしいドライバーオリエンテッドな雰囲気が感じられます。
ガソリン車から乗り換えてもまったく違和感がないところは、BEV初期に登場したモデルならではかもしれません。
ステアリングの握り心地やペダルのカッチリとした踏み心地などは、完全にスポーツカーの部類と同じ感覚。目の前のディスプレイにはS専用となるグラフィックで表示される「バーチャルコックピットプラス」が採用されています。
そして走り出すと、想像よりもさらに軽やかさが際立つ加速フィールです。
路面からのインフォメーションはリニアで、ステアリングにもほどよい重厚感があるので、運転している感覚がしっかりと感じられます。
速度を上げていくほどに重心がスーッと下がり、直進安定性の高さを感じさせるところや、車線変更で見せる機敏な挙動など、いつしかSUVの域を超えてスポーツカー感覚でドライブしていました。
また後席では、クーペスタイルなので頭上スペースがタイトなのではという心配は裏切られ、背もたれの傾斜がほどよく快適。
Sモデルだからと覚悟したゴツゴツ感もそれほど強くなく、これはファミリーで使えるスポーツSUVなのだと感じました。
SQ8 スポーツバック e-tronの価格は、前出の2モデルより「グンと控え目」な1492万円。ちなみに試乗車のメーカーオプションは総額75万円でした。
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こうして3台の電動化SUVを試乗してみると、それぞれの世界観やキャラクターの違いがくっきりと見えてきます。
ショーファーカーとしても魅力的なメルセデス・マイバッハ。絶対的な安心感と優雅な時間が手に入るレンジローバー。もはやスポーツカーの域に達しているアウディ。
好みや用途で選ぶ楽しさは、電動化が進んでもまだまだ諦めることはなさそうです。

