『Destiny』©︎2024 テレビ朝日

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 主演・石原さとみが初の検事役に扮した、3年ぶりの連続ドラマ復帰作『Destiny』(テレビ朝日系)のBlu-ray&DVD-BOXが、10月30日に発売される。

参考:『Destiny』石原さとみ&亀梨和也の美しい笑顔 運命からの“生き直し”が描かれた最終話

 主人公の西村奏(石原さとみ)と、かつての恋人、野木真樹(亀梨和也)が12年ぶりに再会を果たすシーンから物語は始まり、元恋人同士が取調室で検事と被疑者として向き合う残酷な因果が描かれる。

 今はスーツ姿が似合い、堂々としていてキャリアに裏打ちされた自信が滲む検事の奏だが、12年前、大学生の頃の彼女はまるで別人のようで、眼鏡をかけ俯きがちで垢抜けない。教室の隅っこにいるタイプの奏が、正反対の真樹と運命的な出会いを果たし、森知美(宮澤エマ)、梅田祐希(矢本悠馬)、及川カオリ(田中みな実)という生涯の友達を得る。

 20年前、検事として関わった「ある事件」をきっかけに、自殺に追い込まれた奏の父・辻英介(佐々木蔵之介)。それ以来止まってしまっていた奏の時間が音を立てて動き出し、白黒だった世界が色づいていく。奏がこれまでを取り戻すかのように自身の世界を広げていくさまはまさに“青春”そのもので、互いに逆らえない磁石のように惹かれ合っていく実は似た者同士の奏と真樹の大恋愛は必然で、煌めく日々はとにかく眩しい。

 長野の大自然に包まれながら大学生活を送る5人での初々しいバーベキューシーンでまさかのクランクインを迎えたようで、その様子がBlu-ray&DVD- BOXにメイキング映像として収録されている。これが5人揃っての初芝居だとはつゆほども感じさせない俳優陣の弾けっぷり、和気あいあいとした雰囲気や次々に繰り出されるアドリブの連発が堪能できる。全員が実年齢30代の同世代ながら大学生役を演じ、さらに初日から“ずっと仲の良い5人”という関係値を築くために「俳優みんなが歩み寄った」と祐希役の矢本悠馬も話していた。真樹役の亀梨和也も「日数で言うと圧倒的に現在(のパート)の方が多いんだけど、大学時代のシーンをベースに真樹を作り上げていった」と語り、奏役の石原さとみが「何度も何度も思い出すシーンになった」とコメントするほど、彼ら全員にとって共通の“原風景”になったようだ。

 みんなが口を揃えて印象的だったと話す大学時代のシーンは、これから彼らの身に降りかかる友人の死や友の失踪、仲間割れなどの予期せぬ出来事とは全くの不釣り合いで、そんなモラトリアム期間の自由さやお気楽さは彼らが今置かれている“現在地”とのギャップをより一層際立たせる。ちなみに、制作発表記者会見で石原が「映画対応の4Kで撮っている」と明かしていた通り、長野でのシーンはまるで1本の映画を観ているかのような贅沢な映像美。それも本作の大きな魅力の1つだろう。

 実は父親同士にも因縁があり、出会ってはいけなかった奏と真樹が惹かれ合うことで、周囲を巻き込んで悲劇が連鎖していく。そのさまはあまりに切なく、互いにとって代えの利かない“運命の人”ながら、その運命の力に翻弄されては抗おうとしていく2人から目が離せなくなる。

 奏の父・英介の死の真相、カオリの死に隠された真実、そして真樹の失踪理由など、それぞれの出来事の繋がりや黒幕を考察しながらも、出会った瞬間から奏の世界を無理矢理にでもこじ開けペースを乱し続けてきた真樹が、仕事もプライベートも守るべきものができた現在の奏の前に突如現れ、当時と同じように彼女の心をかき乱していくさまには、ハラハラドキドキさせられっぱなしだ。

 気づけばすぐにいなくなってしまいそうな根無し草かのような真樹から滲む“自分が幸せになることをはなから諦めている”かのような寂しげな笑顔には、何度胸を締め付けられそうになったことか。そして、言いたい言葉をいくつも飲み込んで、あくまで検事という職業人として真樹と向き合おうとする奏の凜とした強さも。初めて出会った時に真樹に唆され、共犯関係を組んだテストのカンニングぶりに彼女が犯す、人生2度目の罪の行方も見ものだ。渋々引き受けた初回の共犯関係から打って変わって、彼女自らの強い意志を持って臨んだ2回目は“他でもない自分のために”、“過去何もできなかった自分との決別のために”奏が身を投じた逃避行であり、博打だったと思える。

 全ての謎が明かされた後、最終話のラストシーンは奏の無防備で無邪気な振り向きざまの満面の笑顔が画面いっぱいに映し出され幕を閉じた本作。このラストシーンのメイキング映像は、“やっぱり奏は振り向いた後にこうしたんだろうな”という我々視聴者の予想の答え合わせができるような内容になっている。

 没入感たっぷりの本作の舞台裏を覗きながら、奏と真樹や周囲が見つけた“運命”が何だったのか、自ら手を伸ばそうとした“運命”はどんなものだったか、もう一度贅沢な映像美に包まれながらなぞってみることをおすすめしたい。

(文=佳香(かこ))