心から欲しい1台は? マセラティ・グレカーレ レンジローバー・ヴェラール ハイブリッドSUV比較試乗(1)
プラグインとマイルド ハイブリッド高級SUV
自動車産業の新たな巨大勢力、ステランティス・グループが誕生してから3年が経とうとしている。柔軟に拡大を続けるこのグループへ、次に飲み込まれるのは英国のジャガー・ランドローバーではないかという憶測もあった。
【画像】ハイブリッドSUV マセラティ・グレカーレとレンジ・ヴェラール レヴァンテとレンジローバーも 全121枚
実際は2008年以降、インドのタタ・グループの傘下にあり、噂に過ぎなかった。もしそれが実現していたら、今回比較したマセラティ・グレカーレ・モデナとランドローバー・レンジローバー・ヴェラール P400eは、兄弟モデルになっていたかもしれない。

ガンメタリックのマセラティ・グレカーレ・モデナと、シルバーのランドローバー・レンジローバー・ヴェラール P400e ダイナミックSE
この2台は、ハイブリッド・パワートレインを搭載する競合クラスの高級SUVだが、内容は大きく異なる。ブランドによって、別々の解釈がなされている。
数年前までは、大きなSUVにとってディーゼル・ターボエンジンは不可欠なものといえた。しかし、最近ではハイブリッドがそれに取って代わっている。
それでは、知的に制御されるマイルド・ハイブリッドを積むマセラティ・グレカーレと、有能なプラグイン・ハイブリッドのレンジローバー・ヴェラール、どちらが心から欲しいと思える印象を与えるだろうか。今回は、そこへ焦点を向けてみたい。
まずは、マセラティが投入したグレカーレについて、簡単に確認していこう。レンジローバー・ヴェラールと比較しながら。
ランドローバーだけでなく、メルセデス・ベンツやポルシェのSUVを検討する人の視野にも入るであろう、イタリアの新星だ。2023年の厳しい高級車市場を、戦える実力は備わっている。
感情的に満たされるグレカーレ
ボディサイズは、全高を除いてグレカーレの方が少し大きい。曲線的なボディラインと、クラシカルな処理が相乗し、スタイリングから受ける魅力は強いように思う。
ディティールの処理にも目を奪われる。塗装の色艶にも高級感が漂い、イタリア流のエレガントさとセンスが光る。2台を並べてしまうと、レンジローバー・ヴェラールは若干淡白に見えてしまう。

マセラティ・グレカーレ・モデナ(英国仕様)
インテリアもリッチでラグジュアリー。ひと回り広い車内を、豊潤に仕立てている。センターコンソールを、光沢のあるカーボンファイバー製トリムが飾る。ダッシュボードはブラック・レザーで覆われ、コントラストカラーのステッチが施される。
アルミニウム製のシフトパドルとペダルは、対象的に明るい。ドアを開けば、思わず声を漏らしてしまうほど美しい。
とはいえ、レンジローバー・ヴェラールの車内も素晴らしい。ウエストラインが高く、運転席へ腰を下ろすと適度な包まれ感がある。シートの座り心地は良く、見た目も上質。ダッシュボード上のデジタル技術も、より直感的に扱える。
高級感がありつつ適度に締まりがあり、厳格で上品。だが、感情的に満たされるのはグレカーレの方だろう。
そんなレンジローバー・ヴェラールには、別の強みがある。英国価格が1000ポンド(約18万円)程お手頃なうえに、パワートレインには大きなアドバンテージがある。
頭を使って効果的に走らせる楽しみ方
それが、プラグイン・ハイブリッドであること。駆動用バッテリーの容量は13.7kWhあり、急速充電能力は50kW。最長61kmを、内燃エンジンを回さずに走れる。環境次第では、ランニングコストが大きく違ってくる。
グレカーレはマイルド・ハイブリッド。こちらにも強みはあり、ベルトで駆動されるスターター・ジェネレーター(ISG)と、電動スーパーチャージャーが組み合わされ、高効率を叶えつつ動力性能を向上させている。

ランドローバー・レンジローバー・ヴェラール P400e ダイナミックSE(英国仕様)
電気だけでの通常走行は難しいものの、遥かに軽量。最高出力は329psで、レンジローバー・ヴェラールの403psと開きがあるが、車重は1895kgに対し2205kgで、パワーウエイトレシオは大きく違わない。
技術が進化したことで、筆者はハイブリッドが好きになった。刺激的ではないかもしれないが、非常に興味深い。頭を使って、効果的に走らせるという楽しみ方ができる。
AUTOCARの読者ならご存知かと思うが、多くのハイブリッド・モデルは、従来の内燃エンジンモデルよりエネルギー効率に優れる速度域が低い。また、熱効率の良いエンジンを停止して走行する場面でも、速度は低い方が空気抵抗を減らすことができる。
レンジローバー・ヴェラールで最もエネルギー効率が良い巡航速度は、55km/hから75km/hの間のようだ。実際の交通環境がこの速度域に近ければ、こまめに充電できないとしても、優秀な燃費を得られるだろう。
駆動用バッテリーが充電されていれば、駆動用モーターが力強く発進加速を処理する。高めの速度域でも、電気のアシストは明確に効く。充電量が減っても、低い速度域をまかなえるエネルギーが残るよう制御してくれる。
この続きは、マセラティ・グレカーレ レンジローバー・ヴェラール ハイブリッドSUV比較試乗(2)にて。
