(向かって右より)究極の仕上がりとなった1/6アクションフィギュア「ガイバーI」の元原型、彩色を担当したマックスファクトリー代表・MAX渡辺さん、監修を担当した原作者高屋良樹さん、本製品原型制作を担当したマックスファクトリー・小林義仁さん

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独創的なキャラクターデザインとストーリー展開で、1985年の連載スタート以来多くのファンに支持され続けている高屋良樹原作のSFヒーローアクションコミック『強殖装甲ガイバー』(KADOKAWA)。

この度、主人公・深町晶がユニットを殖装した姿である「ガイバーI」が1/6サイズのアクションフィギュアとして発売決定、現在予約受付中だ。あらゆる面において「究極」と言い切れる仕様で登場する本アイテムは、完成までにいかなる道のりを経てきたのか。
長きに渡り『ガイバー』と関わり続けて、本アイテムの元原型、彩色を担当したマックスファクトリー代表・MAX渡辺さん、本製品原型制作を担当したマックスファクトリー・小林義仁さん、そして監修を担当した原作者高屋良樹さんにお話をうかがった。

>>>まさに究極!1/6アクションフィギュア「ガイバーI」の仕様をチェック!(写真16点)

――マックスファクトリーさんと『強殖装甲ガイバー』の縁は長きに渡るものですよね。

渡辺 まずは何を差し置いても「レモンピープル」(1982年〜1998年まで刊行されていた久保書店の美少女コミック誌)ですよ。可愛いエッチな漫画ばかりが載っている誌面に高屋さん(当時のペンネームは「ちみもりを」)がいて、突然ロボット漫画(『冥王計画ゼオライマー』)を描き始めるわけです。
友達が「この漫画、ロボットのデザインがすごいんですよ!」って教えてくれたんですが、見たら本当にすごくて! で、しばらく経ったら「あの先生、別の雑誌で違うマンガ描き始めたっ!」とまた情報が飛び込んできた。

――それが『ガイバー』だった。

渡辺 最初はゼオライマーを作らせてもらいたくて、当時の掲載誌だった『月刊少年キャプテン』編集部に電話をかけたんですが、話がとんとん拍子に進んでいく中で「今作るならガイバーだな」というハナシになり。フルスクラッチで製作したガイバーIを「ホビージャパン」に掲載してもらうことになるんです。
その時、高屋さんはわざわざ設定をくださったり、カラーイラストを描き下ろしてくださってね。それがすべての始まりです。

――最初からガッツリのタッグぶりだったわけですね。

渡辺 さらにマックスファクトリーで1/6ガイバーIのソフビキットを出したら大ヒットしたので、調子に乗ってガイバーIII、IIと出していって。ちょうどその頃にOVAアニメ(89年・92年)で高屋さんと一緒に監修の形で関わらせていただくなど、関係がますます密になっていくんです。

その後、僕の念願だったコンパクトな1/12サイズで展開する彩色済みのソフビキットを「BFC(バイオ・ファイター・コレクション)」というシリーズで展開させて頂いたり、とにかくずっと『ガイバー』と関わり続けて……誤解を恐れずに言うなら、マックスファクトリーは『ガイバー』のキャラクターを作りながらメーカーとして成長してきたんです。

――高屋さんは、そんな渡辺さんのお仕事をどんな風にご覧になられていましたか。

高屋 私は怪獣のソフビ人形が大好きで「いつか自分のキャラがそうなったら楽しいだろうな」みたいな夢は持っていたんですが、いつの間にかBFCでどんどん出ましてね(笑)。

渡辺 一時期毎月出していたこともあって、30種類くらいのラインナップが出ていますね。

高屋 もう本当に嬉しかったんですが……ゾアノイドはカッコいいポーズを決めているのに、ガイバーは棒立ちのポーズなんですよ。ウルトラマンなんかのソフビとかも基本そうなんですけれど、どうもそこが不満でして。

渡辺 可動という点でいえば、後のBFC MAXシリーズで実現はするんですけれどね。

高屋 昔、1/6ソフビのガイバーIをバラバラにして中に針金や素体を入れたりして自前で可動フィギュア化していたりしたんですよ。それで遊びながら、やっぱりこのサイズのアクションフィギュアは良いな、欲しいなと思っていたんですが「まあ、無理なんだろうな」と諦めて。そしたら、まさかのタイミングでこんなことになりまして(笑)。

(C)高屋良樹/KADOKAWA

――ということは、今回の1/6アクションフィギュアは長年の悲願だったというわけですね。今回の企画はどういうところから始まったのでしょうか。

渡辺 千値練の「ULTRAMAN」があったじゃないですか。まず、あの関節がしっかりしていてすごいな、と思ったんですね。

――広い可動域とLED内臓の発光ギミックを備えた12インチサイズのアクションフィギュア「12HEROs MEISTER ULTRAMAN」(2016年発売)ですね。

渡辺 「これらの技術があれば僕が望んでいた1/6ガイバーが作れるな」と思い千値練に相談したところ、いろんなアドバイスを戴けまして。じゃあ外観を作ろうとなって、そこから小林の作業が始まります。

小林 僕が渡されたのは素体にスキャンした昔の1/6ソフビの外観を被せた、一応可動する試作品なんです。まずはこれをどうブラッシュアップしていこうか、と社長(渡辺氏)・高屋先生と打ち合わせしたわけです。そしたら「とりあえず毎日日報を提出せよ」ということになりまして。

――日報?

小林 1日の作業で進めたところを逐一報告しろと言われましたので、毎日仕事が終わると作業中のパーツの画像を撮ってメールで先生に送る。そしたらまた怖ろしいことに、すぐに返事が来るんですよ(笑)。で、さらにそれを直してメールして……の繰り返しを約2年も続けたんですよ。

高屋 こちらは戴いた画像に赤を入れるわけです。「ここの角度はこんな感じ」とか「ここのディテールはこうなっているよ」みたいな感じで。あとは絵を描いて、それを写真に撮って送ったり(笑)。

――アニメや実写作品などもありますが、資料は基本的に原作遵守という感じですか? 

小林 先生の意思が最優先ですね。毎日戻って来る直しの指示をもって、先生の頭にあるイメージを形にしていく作業を進めました。

渡辺 実際の資料は高屋さんの絵なんですが、まだ描かれていない高屋さんの頭の中にしかない設定があるわけですよ。それを立体で表現した時「実はこういうものなんです」と言われ続ける後出しじゃんけん状態の中で、ひたすらにそれを調整していくんですね。

小林 絵の中では演出や見せ方によってごまかしが効きますけど、立体ではそれができなくて、身体にあるパーツひとつひとつのサイズや位置・見せ方をしっかり決める作業が必要なわけです。

渡辺 そのやり取りって「監修」とは言わないよね(笑)。

小林 そうですね、いわゆる「監修」という言葉では収まらない作業です。例えば側頭部のウネウネした部分も適当にウネウネしているわけではなく、「筋が一本一本引っ張られてギュッとなっている」という説明があったり、手の甲の握った時、開いた時の装甲の状態など、逐一教えて頂きましたね。先生が自分の手にマジックでその指示を描いて、写真を送って来た時は驚きましたよ(笑)。

――小林さんだからこそ、そこまでの細かいチェックが許された部分もありましたか?

高屋 これくらいのことはいつでも言えるんですけれど、毎日画像送ってくれるし、ここまでちゃんと付き合って形にしてくれる人がいなかっただけ(笑)。小林さんとの最初の仕事はBFCのDr.バルカスですよね? あれもすごくよく出来ていましたし。

小林 ありがとうございます! とにかくやるべきことを淡々と毎日進めていただけ、と言えばそれまでなんですが、いつ終わるかがまるで読めなくて。すべてを手作業で進めていくわけで、とにかく時間がかかるんですよ。よく会社も許してくれましたよね。

渡辺 僕だって「小林、長すぎるだろ!」と思っていましたよ(一同笑)。でも、これは彼にしかできなかったんですよ。小林は単に外観を作るだけじゃなくて、首や手足を動かした時にどう見栄えが変わるか、それを自然に見せるためにパーツはどう対応すればいいかみたいなところまで考え抜いて、しかもそれを量産品=プロダクトの範疇に収まるようにまとめてくれているんです。

――どう可動させてもガイバーである、ということを意識して作られているわけですよね。

渡辺 それが大前提で、そのための工夫は相当やっていますよ。

高屋 例えば、初代ウルトラマンのフィギュアっていっぱいあるんですけれど、スペシウム光線のポーズがしっかりとれるものってすごく少ないですしね。

渡辺 あれは難しいんですよ、肩を相当前に動かさないといけなくて。そういう部分に関しても本製品では真面目に取り組んでいますね。

小林 インナーフレームがありつつ外装をつけ、勿論ガイバーとしてのポーズがすべて決まります。あと劣化しないように固い材質で作っているけれども、それで動きが制限されないような工夫をしたり、あくまで生物であるという質感も大事にしました。

(C)高屋良樹/KADOKAWA

高屋 今回の商品は「ガイバーIの1/6ソフビを動かして遊びたい!」という最初の思いを、最新技術を用いて実現させたような気分を味わいました。

渡辺 そう、僕らにとっては「原点回帰」の想いがありますね。あと、当時は目にクリアパーツを使えなかったのが悔しかったんですが……今回はクリアパーツなだけじゃなく、LEDでしっかり光らせることができますしね!

――これまでできなかったことのすべてを叶えることができたアイテムである、と。

渡辺 そういう意味では、今回のガイバーIで僕のホビー人としての仕事は一区切りついたと思っていて……いや、絶対ゼクトール(ガイバーに敵対するハイパー・ゾアノイド五人衆のリーダー)もやりたいんですけれど!(一同笑) そういう意味でも、このシリーズは今後も続けていきたいと考えているんです。

次のガイバーIIIの開発も進んでいますが、ここで隠し玉を発表します!(と、ソフビキット「<ガイバー・ダークヒーロー>ガイバーゾアノイド」の完成品を取り出す)。

――ガイバーゾアノイドは、スティーブ・ウォン監督のハリウッド実写作品第2作『ガイバー/ダークヒーロー』(1994年)に登場する、ゾアノイド(クレイン)がユニット殖装した人気キャラ。このキットは傑作として高い評価を受けています。

小林 ええ、僕が原型を担当したんですが、おかげさまでいまだに世界中で話題にしていただいていますね。

渡辺 実は『ダークヒーロー』の全著作権はスティーブ・ウォンが持っていることが判明したんですよ。なので、続いては同じフレームを使って『ダークヒーロー』のガイバーやガイバーゾアノイドも展開していきたいと考えているんですよ!

小林 言っちゃった! ちょっと特ダネすぎませんか!(笑)

――世界のファン驚愕の情報じゃないですか!

高屋 僕も今、初めて聞きましたよ(笑)。でも実写作品のファンも根強いですからね、確かに話題になるかもしれませんね。

渡辺 これからも長くガイバーを楽しんでいきたいと思っていますから。だからね、小林にはこれからスピード感を大事にしてもらいたいんだよ……。

――最後にいきなりの上司モードが(笑)。

渡辺 こういうトライの多いアイテムだから、最初は時間がかかるのは仕方ないんですよ。でもシリーズとして動かしていくなら、そこは大事にしていかないとね。

高屋 しかし8万8000円という価格は、なかなかにハードルが高いかもね……。

渡辺 確かに高額です。でも、「高ぇ! でもすげえ!」という高級なラインはメーカーの夢でもあるんです。お金と時間を存分にかけて開発しましたから買っていただければ絶対に満足してもらえます。せっかくなので、最後にちょっと持って、遊んでみてください。

――(手に取って)うわっ、このずっしりとした重さは満足度が高い!

高屋 思った以上の手応えでしょう?

――しかもヤバい、めちゃめちゃ動く……え、こんなポーズもいける?……お話を聞いて、こう触っている間に猛烈に欲しくなってきました!(笑)

(C)高屋良樹/KADOKAWA