行儀が悪いことは頭で理解していても、ついつい鼻をほじるくせがやめられないという人もいるはず。オランダ・アムステルダム自由大学の研究チームが行った研究では、「鼻をほじる人は新型コロナウイルスに感染する可能性が高い」という結果が示されました。

Why not to pick your nose: Association between nose picking and SARS-CoV-2 incidence, a cohort study in hospital health care workers | PLOS ONE

https://doi.org/10.1371/journal.pone.0288352



One Gross Habit Could Increase Your Risk of Catching COVID-19 : ScienceAlert

https://www.sciencealert.com/one-gross-habit-could-increase-your-risk-of-catching-covid-19

Does picking your nose really increase your risk of COVID?

https://theconversation.com/does-picking-your-nose-really-increase-your-risk-of-covid-210879

新型コロナウイルスは感染者がくしゃみやせきなどをした際に空気中へ放出される飛まつに含まれ、その飛まつに含まれるウイルスが誰かの粘膜に付着すると感染する可能性があります。そのため、何らかの原因で指先に新型コロナウイルスが付着した人が手を洗わずに鼻をほじると、新型コロナウイルスに感染するかもしれないと指摘されています。

そこで、アムステルダム自由大学の研究チームは、2020年3月〜2020年10月にかけて定期的に新型コロナウイルス検査を行っていた病院勤務の医療従事者を対象に、期間中の行動や身体的特徴についての聞き取り調査を行いました。

聞き取り調査は2021年12月に行われ、「鼻をほじったかどうか」「爪をかんだかどうか」「眼鏡をかけていたかどうか」「あごひげを生やしていたかどうか」などの項目について尋ねました。調査への参加に同意した404人の医療従事者のうち、約52%に相当する219人が回答を完了したとのこと。研究チームは被験者の行動および身体的特徴の調査結果と、被験者が期間中に新型コロナウイルス陽性になった割合について分析しました。



調査の結果、少なくとも月に1回以上習慣的に鼻をほじっていた人は約85%に達し、男性(約90%)は女性(約83%)よりも高い割合で鼻をほじっていたと回答しました。また、爪をかむ習慣があった人は約33%、眼鏡をかけていた人は約72%、あごひげがあった人は35%でした。

調査期間中、定期的に鼻をほじっていた被験者は17%強が新型コロナウイルスに感染したのに対し、鼻をほじらない被験者の感染率は約6%にとどまりました。なお、その他の行動や身体的特徴と新型コロナウイルスの感染率については、有意な関連が確認されなかったとのことです。

今回の研究結果から、研究チームは鼻をほじる習慣が新型コロナウイルスの感染率増加と関連していると報告しています。研究チームは、「鼻をほじることは、新型コロナウイルスに感染する危険因子としてこれまで報告されてきませんでした。私たちの調査結果は、新型コロナウイルスの主要な経路としての鼻腔(びくう)の重要性を強調しています」と述べました。



研究では鼻をほじることと新型コロナウイルスへの感染に関連が確認されましたが、ウイルスの検査を行った期間(2020年3月〜10月)と行動や身体的特徴の調査を行った時期(2021年12月)の間にかなりの時間が空いていたため、回答に潜在的な想起バイアスがもたらされた可能性があるとのこと。また、医療従事者が働いていた病院内で鼻をほじったのかどうか、どれほど深く指を突っ込んだのか、鼻くそを食べたのかどうかといった点についても尋ねなかったため、研究には制限があったことを研究チームは認めています。

オーストラリア・グリフィス大学の看護学部教授であるThea van de Mortel氏も、汚染された物質に触ったことで新型コロナウイルスに感染する割合は1万分の1未満であるというアメリカ疾病予防管理センター(CDC)の推定を引用し、鼻をほじることの感染リスクはそれほど高くないと主張。「月に1回ほどの頻度で鼻をほじった人」と「毎日鼻をほじった人」の感染率がそれほど変わらなかったという点についても、指と鼻の粘膜の接触が問題ならば奇妙な結果だと指摘しています。

また、調査に回答した人の割合が少ないことで選択バイアスが生じた可能性や、被験者が世間体などを気にして正確な回答をしなかった可能性、鼻をよくほじる人は手洗いをそれほど頻繁にしなかった可能性などもあります。van de Mortel氏は、今回の研究結果はあくまで「鼻をほじること」と「新型コロナウイルスに感染すること」の間に相関関係を見つけただけであり、因果関係があるかどうかは不明だと主張しました。