by Patrick Campbell/CU Boulder

アメリカのニューメキシコ州にあるチャコ・キャニオンという古代遺跡は、900年〜1150年頃にかけてプエブロ文化の中心地として栄えました。数千人の人々が住んでいたチャコ・キャニオンで、巨大建築物を作るための木材を輸送した意外な方法についての研究結果が報告されました。

Were timbers transported to Chaco using tumplines? A feasibility study - ScienceDirect

https://doi.org/10.1016/j.jasrep.2023.103876

Scientists may have solved a Chaco Canyon mystery by hauling logs with their heads | CU Boulder Today | University of Colorado Boulder

https://www.colorado.edu/today/2023/02/22/scientists-may-have-solved-chaco-canyon-mystery-hauling-logs-their-heads

1,000 Years Ago, Ancient Puebloans Built a Mysteriously Vast City. We May Finally Know How : ScienceAlert

https://www.sciencealert.com/1000-years-ago-ancient-puebloans-built-a-mysteriously-vast-city-we-may-finally-know-how

プエブロ文化の中心地として栄えたチャコ・キャニオンには数千人以上が住んでおり、4階建てで数百もの部屋を含む巨大な建築物があったとされています。これは砂岩のブロックと長さ16フィート(約5m)もの木材で作られており、19世紀以前に北アメリカで建設された最も大きな建築物だったとのこと。

プエブロ文化には車輪や輸送に適した動物が存在しなかったため、これらの建築に使用された木材は人力で輸送されました。しかし、大きな丸太を伐採地点の山から75km以上も離れたチャコ・キャニオンまで人力で輸送するのは至難の業です。

アメリカ・コロラド大学ボルダー校のジェームズ・ウィルソン氏らの研究チームは、チャコ・キャニオンの人々は頭にベルトを引っかけて荷物を運搬する「タンプライン」という方法を用いて木材を輸送したと考え、実際に自分たちの力で木材を輸送する実験を行いました。ウィルソン氏と担当教官のロジャー・クラム名誉教授らが木材を運搬する様子は、以下の動画で確認できます。

How many CU Boulder researchers does it take to carry a log? - YouTube

チャコ・キャニオンはヨーロッパ人の入植以前の北アメリカで最も洗練された都市の1つでした。



壮大な建物を建築するためには20万本もの丸太が必要であり、これらの木材は約50マイル(約80km)も離れた場所から輸送されたそうです。



ウィルソン氏は、動物や車輪を使わずにこれらの木材を運ぶのは非常に大変だと指摘。ウィルソン氏とクラム氏は当初、丸太を肩に載せて担ぐ方法での運搬を試みたそうですが、これは疲れる上に非効率な方法だとすぐに気づいたそうです。クラム氏は、「それはただ疲れるばかりでした。重い物を運ぶにはばかげた方法です」と述べています。



そこで2人は、丸太に固定したベルトを頭に引っかけるタンプラインによって木材を長距離輸送できるかどうかを確かめるため、週に6〜7日のトレーニングを3カ月にわたって積んだ後、タンプラインを用いた木材輸送にチャレンジしたとのこと。木材輸送のチャレンジは2020年夏に行われたそうで、クラム氏は「COVID-19のパンデミック中にサワードウブレッドを焼く人もいましたが、私たちは頭を使って砂と思い丸太を運びました」と述べています。



実際にタンプラインで重さ132ポンド(約60kg)の丸太を運ぶウィルソン氏とクラム氏。



うまく丸太を運ぶには丸太を持ち上げるタイミングや両者の位置を調整し、歩調を合わせて揺れを軽減することが重要だったとのこと。



2人は約60kgの丸太を運びながら通常とそれほど変わらない速度で歩くことができ、10時間以内で25kmも丸太を運ぶことに成功しました。



運搬中に疲れると、2人はT字型の棒で丸太を支え、丸太をいちいち下ろすことなく休息したそうです。なお、ウィルソン氏によるとタンプラインでの輸送で最も不快だったのは、ストラップ部分が頭にこすりつけられることだったとのこと。



by Patrick Campbell/CU Boulder

研究チームは、「私たちの概念テストから、チャコ・キャニオンの人々が重い木材を輸送するためにタンプラインを使用した可能性はあり得ると結論付けます」「タンプラインが実際に木材輸送に使われたという決定的な証拠はありませんが、この方法が非常に有効だったことを実証しました」と述べました。