Helix Labのロゴ(画像:博報堂DYホールディングスの発表資料より)

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 博報堂DYホールディングスは11日、生活者起点でメタバース・空間コンピューティング領域の研究調査や情報発信を行う「Helix Lab(ヘリックスラボ)」を発足したと発表した。現実世界と仮想世界を融合させるXR(クロスリアリティ)技術を用いてサービス開発などを行っている、MESON(メゾン)と共同で立ち上げた。

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 第1弾として、メタバースにより生活にどのような影響や変化が起きるかを、生活者の視点で考察したレポート「Metaverse as Possible Futures」を発表。国内外の事例を踏まえながら、旅行や消費、建築など15の切り口から少し先の未来の生活者シナリオを描いている。

 例えば旅行。レポートでは、世界文化遺産である長崎の軍艦島のように老朽化が懸念される世界遺産をバーチャル空間に残し、長く楽しむ未来を描いている。また現実世界のデジタルツイン観光の拡がりとあわせて、メタバースの架空の観光地を巡るツアーの登場も示唆。トラベルガイドブックが発刊され、ツアーガイドや秘境探索家が出現するとしている。

 メタバースによる職業の拡張については、建築の切り口でも提示。現実世界で建築設計には資格や専門性が必要だが、メタバースではデジタル技術を持つクリエイターなら誰でも建築家になれる。

 現在でも「メタバース建築家」は登場しており、数百人でゲーム内の架空都市を建設するプロジェクトなども実施されている。レポートでは、メタバース建築家の強みは既存体系や実空間に縛られない点とし、進化の先にバーチャル建築から現実世界への建築アイデア流入の可能性を示唆している。

 NET(非代替性トークン)を組み合わせた信頼性担保の未来についても触れている。ブロックチェーン技術を用いて唯一無二性を証明できるNFTは、デジタルアートなどで価値証明に活用されているが、購入したNFTをSNSのアイコンにするなど、本人を表す手段としても用いられている。

 レポートでは今後、NFTはメタバースで本人性や消費行動などを証明する方法として標準的に用いられると示唆。アバターにNFTを紐づけ、メタバースに入る際にはNFTで本人認証を行い、確認が取れたアバターには認証バッジを付けるといったフローが確立されるという。フローの確立により、メタバースでの不特定多数との交流を安心して楽しめる環境が構築される。

 コロナ禍で注目が高まったメタバース。ゲームやエンターテインメントの分野では定着しつつあるが、その他の日常生活とのつながりが見えづらい。

 博報堂DYHDとMESONが目指すのは、生活起点でのメタバース・空間コンピューティングの社会実装の促進。両社は今後も生活者の発想から研究調査を進め、未来の生活で起こりうる可能性について発信していくという。