また、ハーフタイムには“野人”こと岡野雅行が後半からの出場に向けてピッチでウォーミングアップ代わりのスプリントをすると、大きな拍手に包まれた。後半の田中マルクス闘莉王は気が付けばFWの位置にいるし、平川の息子である僚謙君が最後の時間帯に出場するためにウォーミングアップを始めると、柏木がずっと一緒にボールを蹴っている光景も彼の優しさが感じられて微笑ましかった。そして、オンライン配信のブースではミスターレッズこと福田正博氏が次々に現役選手やOBと軽妙なトークを展開していた。
 
 そんな光景をピッチ上でプレーしながら感じていた平川は「あのメンバーが揃うと、(自分の)プレースタイルもそうだけど、陰で働くようなキャラでもあったので、そういう人が主役になるのは難しいなと思った。でも、みんなが温かく見守ってくれて良かったですね」と、この引退試合が大成功と言えるものになったことにホッとした思いを口にした。その上で、こんな思いも去来したのだという。
 
「強い時は個性が溢れているし、ただただおとなしい集まりではパワーは発揮されない。タイトルを取った人間が集まると強烈なパワーを感じるし、人を楽しませることを熟知しているなと感じました。ここから学ぶべきものが今のレッズにもあるのかなと思いましたね。一人ひとりが楽しそうな顔をしていた。みんなの笑顔を見られたことで、また頑張らないといけない。強いレッズに戻さないといけない。自分にできることは何かと。また明日から自分のやれることをやっていきたい。サポーターからは、またアジアに行こうよ、強いレッズを作ってよ、頼むよというメッセージももらった。そこに向けて努力したい」

 浦和は03年にヤマザキナビスコカップでクラブ初タイトルを獲得し、18年シーズンの天皇杯が今のところは最後のタイトルになっている。つまり、平川は選手としてクラブのタイトル全てを獲得している唯一の存在であり、今はコーチとして次なる浦和のタイトルに違った形で貢献しようとしている。現役引退セレモニーの時に話した「将来は浦和の監督になるのが夢」という想いは今でも変わらない。この日に浦和駒場スタジアムを包んだ幸せな空気は、その夢に向かう大きな力になるはずだ。

構成●サッカーダイジェスト編集部

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