【オープンで濃密AMGを楽しむ】メルセデスAMG GT R プロ・ロードスターに試乗
2ドアのGT R プロにロードスター登場text:Matt Prior(マット・プライヤー) translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
メルセデスAMGが手掛けるコンパクト・ハッチバック、Aクラスも個性的な存在だが、AMGが更に一手間加えたスーパースポーツカーのGT Rの個性度合いも負けていない。
メルセデスAMG GT R プロにロードスターが加わり、GTと呼ばれるクルマは、ボディタイプやグレード違いなど、16種が存在することになった。こちらは2ドア版GTのプロで、オープンボディとなる。
メルセデスAMG GT R プロ・ロードスターGT R プロ・ロードスターは、この一連のモデルの中でも最も際立つ存在だといえる。ポルシェでいうなら、911 GT3 RSのコンバーチブルに位置するのだから。
このGT R プロ・ロードスターには、ニュルブルクリンクで実力が光るGT R プロに次ぐ、ハードコアなシャシーセットアップを獲得。一方でルーフが切り取られ、ソフトトップに交換されている。ご存知の通り、通常はボディ剛性は弱くなり、それを補うために車重は増えるものだ。
GT Rの場合、クーペでもロードスターでも、空力性能やメカニズム、スペックなどに大きな違いは見受けられない。ロードスターの場合は、余計に目立つ大きなウイングを備え、4.0LのツインターボV8エンジンを搭載。最高出力は585psで、最大トルクは71.2kg-mとクーペと同値となる。
ダンパーは調整式で、GT Cよりトレッドが広げられたリアタイヤには、アクティブ後輪操舵システムも付く。ルーフを切断し強化された構造部分は、通常のGTロードスターと同じもの。3層のファブリック製フードを被り、クーペより80kg車重は重く1710kgとなる。
80kg増しの車重とシャシー剛性の変化
通常、最高のドライビング性能を与える時に、車重を80kg増やすことは考えないはず。スポーツカーレースの場合ならペナルティみたいなものだ。このAMG GT R ロードスターはどんな仕上がりなのか興味が湧く部分でもある。
加えてボディからルーフを取り除くと、車体剛性には少なからぬ影響がある。マクラーレンならカーボンファイバー製の強固なタブが存在するが、メルセデスAMGにはその用意はない。
メルセデスAMG GT R プロ・ロードスターいささか混雑気味のスイッチを操作してアダプティブ・ダンパーを最も柔らかい設定にしても、管理の悪い路面を通過すると、不均一な振動がステアリングホイールに伝わってくる。フロントとリアのサスペンションは調和が取れていない。すべてはシャシー剛性が充分ではないことを物語っている。
4.0Lツインターボ・エンジンからは大量のノイズとパワーが放たれる。トランスアクスル・マウントされる7速デュアルクラッチATのレスポンスは良好。気持ちが上がる鮮烈な体験だが、高度な満足感や洗練性を味わえる種類のものでもない。
大音響に包まれながら、鋭い変速を繰り返していても、気分は高まってこない。ボディは大きく、フロント・ミドシップのレイアウトのおかげでボンネットは長大。
ドライバーはその後ろ、リアタイヤの近くに座ることになるうえに、フロントトレッドは幅が広く扱いにくく感じるためだ。
条件を選ぶものの濃密なAMGを楽しめる
AMG GTは当初からホットロッド的な雰囲気があったが、このGT R プロ・ロードスターは最もホットロッド要素が強い。V8を積んだACコブラのように。クルマの中心となる出来事はすべてフロントのエンジンで沸き起こり、その後ろにドライバーがぶら下がっている感じ。
しかし、それだけではないのがメルセデスAMGの実力。アメリカ並の広大な道がなくても、郊外に伸びる開けた滑らかな道へ連れ出せば、GT R ロードスターを直感的に操れることに気づく。アクティブ後輪操舵システムの味付けも良好だ。
メルセデスAMG GT R プロ・ロードスター充分に評価できるだけの俊敏性を備え、AMG GTを超えた走りの実力をロードスターでも確かめることができた。ポルシェ911やマクラーレンのモデルの方が、より一体感が強くドライビングの満足度は高い。だが、GT Rもまったく悪くない水準にあると感じた。
独自性の高いメカニズムとボディとが融合したAMG GT R プロ・ロードスターを理想的なマシンとして味わうには、しっかりした環境が必要ではある。そんな理由もあってか、このロードスターの生産台数は750台に限られる。
クルマの狙った条件でなら喜びも大きいAMG GT R プロ・ロードスター。ベストを欲する人のためのモデルというより、最も際立つ濃密なAMGを求める人のためのクルマだといえそうだ。
メルセデスAMG GT R プロ・ロードスターのスペック
価格:17万8675ドル(2501万円)
全長:4544mm(クーペ)
全幅:1939mm(クーペ)
全高:1287mm(クーペ)
最高速度:317km/h
0-96km/h加速:3.6秒
燃費:8.0km/L
CO2排出量:284g/km
乾燥重量:1710kg
パワートレイン:V型8気筒3982ccツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:585ps/6250rpm
最大トルク:71.2kg-m/2100-5500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
