実用性は黄色の方が上にも関わらず白が流行

 ちょっと前まで、フォグランプの色は黄色が定番だったのに、最近はすっかり見かけない。新車のオプションも白いLEDのフォグランプが主流で、黄色いフォグランプは少数派……。なぜ黄色いフォグランプの影が薄くなってしまったのか?

 そもそもフォグランプは、保安基準で「前部霧灯」と呼ばれるライトで、霧等や雨、雪などによって、より視界が制限されている場合に、クルマの前方を照らす照度を増加させ、ドライバーの視認性をよくするのが目的。そのフォグランプには保安基準で色の指定があり、「白色または淡黄色で、すべてが同一のものであること」と規定されている。

 ちなみにヘッドライトも以前は、白もしくは黄色というルールだったが、平成18年1月1日以降のクルマは、「白色」しか認められていない。しかし、フォグランプは上記のように黄色もOKなので、誤解のないように。

 そして肝心なことは、白い光よりも黄色い光の方が光の波長が長く、霧、雨、雪など、荒天時に、水滴、水分を貫通して路面に光が届きやすいということ。

 一方、白い光は光の波長が短いため、霧や雨、雪に当たると乱反射し、透過性や視認性は今ひとつ……。つまり、荒天時の視認性を高めるという意味では、白いフォグランプより、黄色右フォグランプの方が優れているということ。

 にもかかわらず、黄色いフォグランプがマイナーになり、白いフォグランプが幅を効かせているのはなぜなのか。

色を選べる場合75%の人が白を選択

 これはもうファッション、流行りとしかいいようがない。大手の自動車用ライトメーカーのデータによると、白いフォグと黄色いフォグが選べる車種では、75%が白を選ぶということだ。

 ライト類を白で統一したい。白い方が明るい気がする。黄色は派手で目立つ。黄色はまぶしい(晴天時)など、いろいろ理由はあるのだろうが、ユーザーが黄色を選ばない以上、自動車メーカーもライトメーカーも、人気がないものは作らない。

 だから黄色いフォグランプは減ってしまったのだろうが、悪天候で本当に頼りになるのは黄色いフォグランプ。とくに雪に対しては黄色のハロゲンランプがベストチョイス。LEDやHID、とくにLEDは発熱量が少ないので、ライトに付着した雪が溶けないという弱点があるが、ハロゲンなら付着した雪も解けやすいので、雪国での走行を考えるなら、黄色いハロゲンのフォグランプに勝るものはない。雪以外の霧や雨なら、LEDやHIDの黄色でもバッチリ。

 白のフォグランプは、デザイン性、ファッション性、ドレスアップがメインで、「霧灯」としての実用性はあまり期待できないということも覚えておこう。