一方、早大の小林副所長は「(NEDOの取り組みは)イノベーション研究の最前線。技術と経済、社会の研究者と連携してモデルを作っていく必要がある」と提案する。

 官民で進める経済成長と社会課題の解決の両立を目指す、超スマート社会「ソサエティー5・0」時代にあった評価手法が必要だ。

インタビュー/NEDO理事・渡辺政嘉氏 技術革新の流れ全体を考える

 NEDOの評価部門を担当する渡辺政嘉理事に展望を聞いた。

 ―調査の意義は。
 「研究開発自体は計画と目標を定め、期間内に仕様を満たせば達成できる。ただ企業に技術移転したらそこで終わりではない。実用化の動向やその価値を確かめる必要がある。基礎研究から社会への導入までNEDOの外を含め、イノベーションサイクル全体で考える必要がある」

 ―売上高以外にも社会的な波及効果は多岐にわたります。
 「あらゆるデータがあれば理想だが、調査にもコストがかかる。売上高と省エネ効果の追跡だけでも苦労している。生活の質や社会構造の変革などの評価は現在挑戦している領域だ。NEDOは産業界との距離が近く、追跡調査の回答率が98%と高い。これは海外の投資配分機関からも驚かれる。フランスや欧州連合(EU)が我々の手法を分析して取り入れようと検討している。評価の方法論は広く提供する」

 ―プラットフォーム競争などでビジネスモデルが変わり、経済効果の評価が難しくなりました。
 「プラットフォーム競争は技術の標準化動向を追跡することが一つのベンチマーク。国際標準化機構(ISO)規格など公的に合意された『デジュール標準』と、市場原理できまる『デファクト標準』はともに重要な要素だ。開発技術の影響度を評価できる。ただ、社会構造の変革はまだいい評価法がない。評価自体の費用対効果をみながら、裾野を広げ多角的に評価していくことが重要だ。アカデミアと考えたい」