多くのクルマが行きかう国道や高速道路上で、「静かに」と書かれた看板を見かけることがあります。これを見かけた場合、どのようにすればよいのでしょうか。そもそもこれは「道路標識」なのでしょうか。

設置箇所にはある特徴が

 一般道や高速道路上で、「静かに」と書かれた看板を見かけることがあります。


道路上に設置された「静かに」の看板。写真はイメージ(画像:pixta)。

 たとえば首都高では3号渋谷線やC2中央環状線の一部区間などに設置されていますが、走行中にこれを見かけた場合、何をどうすればよいのでしょうか。首都高速道路に設置の意図を聞きました。

――「静かに」の看板を見たら、どのようにすればよいのでしょうか?

 急発進や急減速、警笛を不要に鳴らすことなどを控えていただき、赤ちゃんも安心できる道路環境づくりにご協力をお願いします。

――どのような場所に設置されているのでしょうか?

 医療施設や学校が集中するなどし、騒音に関するご意見が過去に多く寄せられた箇所です。騒音に関する環境基準は満たしていますが、ドライバーの皆様に静かな走行をお願いするために設置しています。

そもそも道路標識なの?

 首都高の「静かに」看板は、眠っている子どもと、月や星などの絵が描かれていますが、ほかの道路では場所によって図柄が微妙に異なり、様式は一定ではないようです。そもそもこれは「道路標識」なのでしょうか。国土交通省道路局に聞きました。

――「静かに」はそもそも道路標識なのでしょうか?

 道路標識について定めた標識令(道路標識、区画線及び道路標示に関する命令)には記載がなく、法定の道路標識ではありません。ただし、この法令の前身である1960(昭和35)年以前の旧「道路標識令」には、「指導標識」のひとつとして「静かに」がありました。

 旧道路標識令では道路標識の分類が「案内」「警戒」「禁止」「指示」「指導」の5つとされていましたが、現行法令の施行にあたり、これが「案内」「警戒」「規制」「指示」の4分類に組み替えられました。旧「指導」標識はその多くが規制標識、一部は指示標識に変更されています。しかし、このとき「静かに」は、「車馬通行区分」などとともに、ほかへ組み替えられることなく廃止されています。

――現在「静かに」はどのような場所に設置されているのでしょうか?

 道路管理者が必要に応じて設置しているもので、これといったルールはありません。暴走族対策のひとつとしているケースもあるようです。

※ ※ ※

 廃止された「静かに」の道路標識が、そもそもどのような場面を想定していたのかは、国土交通省道路局によると、いまとなっては同局にも警察にも資料が残っておらず不明だそうです。

 ちなみに、旧道路標識令の指導標識には、たとえば「速度制限」や「重量制限」、「警笛鳴らせ」などがありました。これらは現在、規制標識に分類されています。デザインも現在のものと異なり、白地を基調とした四角い縦長の長方形に、青で文字や図柄が描かれたものでした。道路標識の多くが現行のデザインに改められたのは、1963(昭和38)年のことです。

【画像】旧「静かに」のイメージ


旧「指導標識」のひとつだった「静かに」標識のイメージ(乗りものニュース編集部作成)。