クイズでチェック!日本語の誤用19[言い方の間違い編]
日本語のプロの監修のもと、ビジネスマンが間違いやすい、知っておいたほうがいい誤用例をとりあげた。自分の日本語力をチェック!
■どこがどうヘン?
「言い方の間違い編」
▼間違いを見つけ、正しく直してください。
Q1 自責の念にさい悩まされた。
Q2 興奮さめやまぬコンサート会場。
Q3 まがいなりにも独り立ちできた。
Q4 負けずとも劣らない腕前。
Q5 不測の事態を予想して対策を練る。
Q6 いやがおうにも盛り上がる。
Q7 ご指摘いただいた件、上司にお伝えします。
Q8 屈託のないご意見をお聞かせください。
Q9 社長のお目にかない昇進した。
Q10 これより社歌を唱和いたします。
Q11 これから父のところに伺います。
Q12 懇親会にはご出席されますか。
Q13 添付書類をご拝読ください。
Q14 その件は存じ上げません。
Q15 責任は負いかねません。
Q16 お連れ様がお待ちしています。
Q17 書かさせていただきます。
Q18 お体をご自愛ください。
Q19 よろしくご教授ください。
■答えと解説
Q1 正解:さいなまれた
「さいなむ(苛む)」と「悩む」の混用。ある感情によって自分自身を苦しめたり、きびしくとがめたりする場合に使うのは「さいなむ」。
Q2 正解:さめやらぬ
「やらぬ」は、「やる」(その動作が終わる)の打ち消しで、「まだ〜しきらない」の意。まだすっかりさめないでいる状態が「さめやらぬ」。
Q3 正解:まがりなり
「まがい」だと、まがいもの(偽物)の意味になる。「まがりなりにも」の「なり」は「形」で、不完全ながら、どうにかこうにか、という意味。
Q4 正解:勝るとも劣らない
同程度で優劣つけがたいのは「負けず劣らず」、互角かそれ以上は「勝るとも劣らない」。「負けずとも〜」では、どう評価していいかわからない。
Q5 正解:万一の事態に備えて
「予測できないこと」が「不測」だから、予測や予想といった、前もって想定する意の言葉が続くのはおかしい。「非常事態に備えて」でもいい。
Q6 正解:いやがうえにも
「いや(弥)」は程度がだんだんと高まる様子をいう副詞で「いよいよ」の意味。「いや(否)が応でも」(是非を言わせず)との混同に注意。
Q7 正解:申し伝えます
「〜にお〜する」は、「〜に」にあたる人を高める謙譲語。自分の上司だから、「申し伝えます」のように、言い伝える相手を高めない表現がよい。
Q8 正解:忌憚
意見を求めるなら「忌憚のない」。「忌憚」は「遠慮」の意で、本心を聞かせて、と頼む言い方になる。「屈託」(心配事)では、ちんぷんかんぷん。
Q9 正解:お眼鏡にかない
「お眼鏡」は、可否、善悪を見極める能力を敬った言い方。「〜にかなう」で、目上に評価されるの意になる。「お目に留まる」と混同しない。
Q10 正解:斉唱、合唱
一人がまず唱え、続いて一斉に同じ言葉を唱えるのが「唱和」。社是は唱和しても、社歌は唱和しない。斉唱か、ハーモニーをつけるなら合唱。
Q11 正解:参ります
「伺う」は伺う先の相手を高める謙譲語。身内である父親に使うのは不適切なため、同じ謙譲語でも相手を高めない「参ります」が適切。
Q12 正解:出席なさい(され)ますか
謙譲語の形「ご〜する」に尊敬を表す「れる」を付けるのは不自然。「ご」を取って「出席されますか」とするか、尊敬語「〜なさる」を使いたい。
Q13 正解:ご覧ください
「拝読」は、人の書いたものを読ませてもらうときに使う言い方。人に読んでもらうなら「ご覧ください」もしくは「ご一読ください」がいい。
Q14 正解:存じません
「存じ上げる」は、ある人物について知っているということをへりくだって言う表現。物や出来事には使わない。「存じません」が正解。
Q15 正解:負いかねます
「かねる」は「〜することができない」の意。責任はとれないと言いたいなら「負いかねます」。「負いかねません」では、責任を負わされるかも。
Q16 正解:お待ちです
「お待ちする」は、自分が待つことをへりくだって言う表現。「お連れ様」を高める尊敬語「お待ちです」「お待ちになっています」などが適切。
Q17 正解:書かせて
相手の許可を求めるとき、何でも「〜させる」とするのは耳障り。「書か・せる」「送ら・せる」「読ま・せる」など「せる」となる動詞も多い。
Q18 正解:「お体を」が不要
「自愛」そのものに、体を大事にするという意味があり、重複表現になる。「お体を」に続けるなら、「大切になさってください」とすればいい。
Q19 正解:ご教示
メールでよく見かける言い方だが、「教授」は学問を継続的に教え授けること。すぐに返信して答えられるような事柄にはなじまない。
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読売新聞東京本社紙面審査委員会専任部長(用語担当)。日本新聞協会新聞用語懇談会委員。文化審議会国語分科会委員。監修書に『一生使える、美しい日本語と敬語』(PHP研究所)、近著に『なぜなに日本語』(三省堂)など。
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(関根健一=監修 曲沼美恵=文・構成 大森大祐=撮影)
