おみくじは本当は自分でひくものではなかった!
今年はもうおみくじをひきましたか?初詣でひいたという人も多いと思いますが、じつは、本当のおみくじは自分でひくものではなかったのです。
僧侶がおみくじをひいてその内容を相談者に伝えるというのが本来のおみくじスタイルで、吉凶の占いのみならず、相談者の悩みに応じるという、いわゆるカウンセリングの要素も備えていたのです。
日本でのおみくじの発祥は平安時代に活躍した高僧・良源(りょうげん)によるもので、なんと、当時のおみくじを今に伝えるお寺が比叡山にあります。
●おみくじは観音菩薩のお言葉
「元山大師(がんざんだいし)」の名で知られる良源は、台密(天台宗)を修め、観音菩薩を熱心に信仰していました。さまざまな霊力を修得し、高い占い技量も持っていた良源は、あるとき観音菩薩から有り難い100のお言葉を授けられます。
良源はその後、人々の悩み事を聞いて観音菩薩から授かったその偈文(漢詩)の何番目かを占うことで、進むべき道を示し、たくさんの人を迷いから救っていったのでした。
良源はまた比叡山の横川に住坊を構え、比叡山運営にも尽力しました。ここが「比叡山横川元山大師堂」で、境内には「おみくじ発祥之地」の石碑があります。
●江戸時代に全国的にひろがる
おみくじが全国的に広がったのは江戸時代になってからのことでした。徳川家の参謀として重用され、陰陽道や風水に基づいた江戸の都市計画にも関わったことで知られる「磁眼大師天海(じげんだいしてんかい)」の夢枕に、元山大師が現れてお告げを与えたことがきっかけでした。
それにより信州戸隠で100の偈文を見つけた天海。吉凶の占いをしたところ的確だったことで、日本全国の神社仏閣に広まっていったようです。
●誰もがひけるわけではないおみくじ
現在も、比叡山横川の元三大師堂に行くとこのおみくじをひくことができます。おみくじをひくには、電話等で申し込み、抱えているお悩みの内容を申し出ます。それにより、おみくじをひいたほうがよいかのどうかの判断がなされます。
おみくじをひく際、まずはお堂の當執事(とうしゅじ※住職)にお悩み相談をします。その後ご祈祷が行なわれ、當執事がおみくじをひきます。相談者は當執事からおみくじの解説を聴き、その後の指針として行動に移すという流れになります。
迷っていること、決めきれないこと、受験、恋愛、子ども名づけ等々、現在はさまざまなお悩みが寄せられるそうです。
古くは農作物豊穣を知るための手掛かりとして行なわれていた占いですが、現在も、今年の天候や、それによる作付の方法などを知るため、元三大師堂を訪れる方々がいるそうです。
ちなみに元三大師堂には、毎年1月1日〜3日のみ、「年みくじ」といって、誰もが自分でひけるおみくじもあるそうです。
手軽に運だめしができる「おみくじ」ですが、そのじつ、なかなか奥深い世界が広がっていたのです。
文・鈴木ゆかり
※参考
「比叡山横川 元山大師堂」住所:滋賀県大津市坂本本町4225
