「狭いけど乗りやすい!?」ナローポルシェとは?魅力とメンテナンスの実態をオーナーが語る
「ナローポルシェ」ってどのポルシェ?
世界的にも人気の高いドイツのスポーツカーメーカー「ポルシェ」。低く身構えて素早く跳ねる「カエル」から着想を得たと言われている、独特のデザインが長年親しまれています。
そんなポルシェには「ナローポルシェ」と呼ばれるモデルが存在します。代表的車種である「911」の初期型をナローポルシェと呼んでいるのです。
「ナロー(Narrow)」とは「狭い」という意味で、この場合、車体の幅が狭いことを指しています。
今回は、筆者と付き合いのある外車ディーラーの営業担当者に「ナローポルシェのオーナーが点検のために入庫される」という知らせを聞き、ナローポルシェのオーナーY氏に短時間ながら話を伺いました。
不具合は?故障は?ナローポルシェオーナーにリアルな事情を聞いてみた!
「私が所有しているのは、1967年式の911ナローポルシェです。純正のクラシックホイールを装備した、極めてシンプルかつ王道の1台だと思います。
色々とカスタムして楽しむオーナーもいると思いますが、私は何もいじっていません。素の状態を楽しんでいます。ただし、エアコンが装備されておらず、夏はかなり暑くなるので、エアコンを付けるかどうか迷っているところです。
乗り始めて数年が経過。細かい電装系の不具合はありましたが、走行できなくなるほどのトラブルは起きていません。走行距離は6,000キロほど。前のオーナーやさらにその前のオーナーがどのように乗っていたのかはわからないので、走行距離が正しいかは判断できません。
ただし、担当してくれている整備士によれば、大規模な修理が行われておらず、パーツの状態もいいことから、走行距離は正しいのではないかと聞いています。定期的なメンテンナンスを心がければ、長く乗れると思っています。」
クラシックカー全般に言えることですが、古い車の場合、オリジナルの状態をいかに保っておくかが、楽しみのひとつでもあると言われています。Y氏のナローポルシェが大きく改造されていないのは、おそらく前オーナーもオリジナルの状態を楽しんでいたためではないでしょうか。
「ナローポルシェは乗りにくい」というのはホント?
ナローポルシェでよく聞くのが、「操作が難しい」「乗りにくい」といった声です。そこで、運転のしやすさについても話を伺いました。
「多くの知人から『ナローポルシェは乗りこなすのが難しいんじゃないか』と言われます。しかし、特別な操作は不要ですし、新型のマニュアル車とほぼ同じように、普通に運転できると思います。
私自身も、所有する前は難しいのではないかと思っていましたが、試乗して乗りやすいことに驚きました。普段はひとりで運転することが多いのですが、知人とふたりで乗車しても狭さを感じることはありません。ナローという言葉とは反するように乗りやすいと思います。
車庫入れは言うまでもなくしやすいです。普段はポルシェ マカン(2019年式)に乗っています。ドアミラーを含めると2,000mmを超えます。それに対してナローポルシェは、1,600mmほど。軽自動車とは言いすぎかもしれませんが、体感としてはそれくらい小さい車に乗り換えたかのような扱いやすさがあります。
また、現代の車にはない、クラシックな内装もお気に入りです。主観的な意見ですが、今とは違った意味で再現しにくい、昔ながらの作り込みの良さがあると思います。
例えば、メーターまわりです。現代の車に慣れてしまうと、決して見やすいとはいえませんが、針や数字のバランスなど、趣のある精悍な作りをしています。助手席側にある911のエンブレムでさえも手抜きなくよく作り込まれています。
ハンドルも細めで、乗り込んだときの圧迫感がありません。全体的にシンプルに作られているので、乗り込んでみると、車外から見るよりも広く感じます。
この年式にしては、燃費がいいことにも驚きました。正確に測ったことはないので、推測の範囲内ですが、8~10km/Lくらいはあると思います。普段は近場の街乗りにしか使っていないので、長距離を走れば変わってくると思いますが。
長距離を走らないのは、万が一、トラブルに遭遇しても帰宅できる範囲内で楽しむことに徹しているからです。それでも十分満足ですね。」
ナローポルシェに不満な点はある?
今のナローポルシェで不満な点があるかもY氏に聞いてみました。
「ほぼありません、と言いたいところですが、いくつかあります。まず、生粋のナローポルシェファンに怒られるかもしれませんが、不満な点は、独特のエンジン音でしょうか。
ナローポルシェ独特のエンジンサウンドを堪能したくて購入したのですが、日を追うごとに、大きくなってきています。早朝や夜間では近所迷惑になるのではないかと感じるほどです。そのために今回、メンテンナンスを受けに来ました。
ほかには、運転席とは反対側にある右側のサイドミラーが見にくいことでしょうか。サイドミラーが車体の中心寄りに付いているので、右側方を確認する際には、視線を前から右に大きくずらさないと見えません。補助ミラーなどで改善できないか試したのですが、よい改善策は模索中です。」
また、ナローポルシェはかなり古い車なので、メンテンナンスには気を配る必要があることも念頭に置きたいところ。
例えば、頻繁に乗降する運転席のシートは、クッション性が損なわれたり、表面が切れることもあります。シートを保護するために、カバーをかけておくこともヤレや裂けの防止になります。
また、ドアやトランクなど金属同士が擦れ合う箇所は、サビが発生しやすくなるため、定期的に錆止め剤を施しておくといいでしょう。
古い車では発生しやすいオイル漏れなども対処しておくことが、長く乗るには大事な要素となります。
ナローポルシェがほしい!買うときに気をつけることは?
クラシックカー投資研究所「HAGERTY情報」によると、状態の良いナローポルシェで約1,179~1,500万円程度、状態が良くなくても走行できれば300万円くらいから販売されているといいます。
車の状態があまりよくないにも関わらず、実際の相場よりも高値で売られているケースはよくあります。
発売から時間が経過している車を購入する場合、その車の状態の確認が欠かせません。そのため、特定の車種の整備や販売を多く行っている業者や販売店からの購入が一番安心できるでしょう。
また、購入後のアフターフォローもしっかり行ってくれる業者であることも確認しておきましょう。
ナローポルシェには、現代の新型ポルシェにはない魅力があります。その一方、クラシックカーならではのメンテンナンスを必要とします。突然、思いがけない故障によって高額な修理費用がかかるケースも十分に考えられます。
ちなみに、ポルシェのパーツはかなり古くてもストックが多いため、他のクラシックカーよりはメンテンナンスがしやすいと聞きました。
お話を聞いたY氏は「購入時の価格はもちろんですが、その後のランニングコストも含めた費用も十分に考慮した上で、最適な一台を見つけることが重要です。その第一歩として、購入するかどうかは一旦置いておいて、ナローポルシェなどを扱っている専門店に足を運んでみてはいかがでしょうか。
私も軽い気持ちで、見学に行くつもりで専門店に足を運んだことから始まりました。結局、深みにハマることになってしまいましたが…」と笑いながら話してくれました。
