(右)英ブラウン首相との会談に臨むナンシー・ペロシ米下院議長(2009年当時)。(左)第一次安倍改造内閣で認証式を終えた松島みどり国土交通副大臣(07年当時)。(写真=時事通信フォト)

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■「中間管理職」か「奥様向け」しかない

日本の政治家の多くは「イメージカラー」をもっている。ポスターやのぼり、運動員のTシャツやジャンパーなどにその色は使われる。男性の政治家ならばイメージカラーのネクタイを締めることが多い。これが女性の場合、スーツの色に反映される。

2013年の参議院選挙で、激戦の東京選挙区を1位で制した自民党の丸川珠代議員は赤色、民主党の蓮舫衆院議員は白色、参院選の敗北を受け社民党党首を辞任した福島瑞穂議員はピンク色のスーツが「勝負服」になっている。

日本の選挙の基本は、有権者に覚えてもらうことだ。このため政治家は派手な色をイメージカラーにして、その色を身にまとうようになる。とりわけ女性の場合、派手なスーツは選挙を勝ち抜く「武装」ともいえるが、ファッションとして評価されることは少なく、「仮装」のようにもみられがちだ。

キャリアの階段を上るにつれて、服装が華やかになることは、世界中で共通している。政治家だけではなく、企業家や経営幹部などには、発言だけでなく、服装でも目立つ必要がある。しかし、ここに日本固有の問題がある。

日本は、20代から30代の女性に向けたキャリア・ファッションは充実している。ただし、それは茶、紺、黒、白といった落ち着いた色合いのもので、「中間管理職」に適した服装だ。

ところが、組織のトップを務めるような人間が身につけるべき、華やかなキャリア・ファッションを探すことはむずかしい。これは40代以上の女性エグゼクティブが、欧米に比べて少ないことに起因している。

女性誌を見渡しても、30代後半あたりからは「ステキな奥様」というコンセプトが押し出されており、キャリア・ファッションは影を潜める。上質で華やかな色の服は、「奥様向け」に限られてしまうのだ。さらに政治家固有の問題もある。日本の選挙では「親しみやすさ」が重視される。このため「高級」や「洗練」という服装はマイナスに作用してしまう。選択肢が少ないうえに、メリットもないので、政治家であっても「PTAの会合用」のようなスーツを選ばざるをえない。

一方、アメリカの女性政治家は、華やかな服を身にまとい、人々の羨望を集めている。コンドリーザ・ライス元国務長官や史上初の女性下院議長となったナンシー・ペロシ下院議員のファッションセンスは有名だ。また副大統領候補として一世を風靡したサラ・ペイリン前アラスカ州知事の赤いジャケット姿は記憶に新しい。

さらに女性政治家のファッションとしては、ヒラリー・クリントン前国務長官の影響力は特筆すべきだ。黒のパンツスーツは90年代までニューヨークの金融街で働く高所得女性のシンボルともいえるファッションだった。それがヒラリーが着るようになって全米に定着するようになったといわれる。

ヒラリーは、ファーストレディー時代にはメイド・イン・アメリカのブランドである「オスカー・デ・ラ・レンタ」を身につけ、国務長官として外交の場に現れるときには鮮やかな水色や青色のスーツを着こなし、さらにオバマ大統領との会議に出るときは黒のパンツスーツに色鮮やかなインナーをあわせている。これは外交の場では自らが代表であることを、会議の場では大統領を補佐する役目であることを、ファッションを通じて示しているのだ。

米国でも、ファッションばかりにカネを使う政治家は批判を受けるが、洗練された着こなしは、女性たちの共感と憧れを呼んでいる。

翻って、日本の政治家は憧れの対象となっているだろうか。まずはファッションの面でのチャレンジが必要だ。そうすれば、「洗練」を嫌う政治風土も改まるかもしれない。

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ヘリテージ財団上級研究員
横江公美
1989年明治大学経営学部卒業。94年松下政経塾に入塾。VOTE Japanを経て現職。博士(政策)。著書に『キャリアウーマン・ルールズ』『日本にオバマは生まれるか』などがある。

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(ヘリテージ財団上級研究員 横江公美 写真=時事通信フォト)