人口が集中する首都圏で大地震が起きれば、甚大な被害が出ると予想される。

 特に「電気火災」は影響が大きい。対策を急がねばならない。

 政府は、首都直下地震の減災目標を定めた基本計画を11年ぶりに改定した。最大死者数を1・8万人、全壊・焼失棟数を40万棟と想定し、今後10年間の取り組みによって、被害をその半分以下に抑えるという目標を掲げた。

 前回の計画では、想定される死者数が2・3万人、全壊・焼失棟数が61万棟だったが、延焼しやすい木造住宅密集地域の解消や住宅の耐震化などを進めた結果、減少につながった。

 これをさらに減らすには、電気火災への対策が欠かせない。首都直下地震では、被害の7割近くが火災で生じるとみられている。特に停電からの復旧時は、揺れで破損した電気配線から火花が出るなどして出火しやすい。

 こうした出火を防ぐのに重要となるのが「感震ブレーカー」だ。住宅の分電盤やコンセントに取り付け、大きな地震の揺れを感知すると自動的に電気を遮断する。

 様々なタイプがあり、簡易型なら一つ数千円程度でホームセンターや家電量販店で販売されている。認知度が高いとはいえず、首都圏での設置率は20%にとどまっている。全戸に設置すれば、焼失被害を7割減らせるという。

 地震に伴う火災は、倒壊した家屋で救助を待つ多くの人の命も奪う。阪神大震災や東日本大震災では、原因が特定された火災の5〜6割が電気火災だった。

 能登半島地震で起きた石川県輪島市での大規模火災も、電気に起因する可能性がある。

 感震ブレーカーの無償提供や購入費の補助を進める自治体も増えている。こうした取り組みを強化し、設置率を高めたい。

 住宅の新築や改装時に取り付けてもらうよう、住宅メーカーとの連携も図るべきだ。

 ただ、電気が止まると、夜間の避難に支障が出るほか、人工呼吸器の利用者らにとっては命にかかわるなどの懸念もある。こうした点も踏まえ、適切な電気の遮断方法を考える必要がある。

 新たな基本計画には、感震ブレーカーの設置率向上のほか、各家庭ですぐに取り組める対策の目標も盛り込まれた。

 現状38%の家具の固定率を100%にすることや、3日分以上の飲料水や食料品を備蓄している家庭を100%にすることだ。今できることから始めたい。