バンドとのシナジーが生み出した“ひなぴよ”のロック!“青木陽菜 LIVE TOUR 2026「衝動ROCK」”東京公演ライブレポート
声優・青木陽菜がここまで「ロック」の似合うアーティストだったとは思わなかった。いや、正しくは「知ってはいたけれど想像を遙かに凌駕していた」という表現の方が合っているかもしれない。音源での印象とはまた異なる、バンドマンとしての風格が、5月31日のワンマンライブを観て感じられたのだ。
2023年、ソロでの音楽活動をスタートした頃の彼女は、アコギでの弾き語りをメインにライブを行っていた。そんななか、2025年4月開催の単独イベント「Pre-Piyo-Sound 2nd」より、自身の愛称“ひなぴよ”を冠したパーマネントなバックバンド・HINAPIYOBANDとのステージングを展開。今年1月に東京・Kanadevia Hallで行われた1st LIVE「BLUE TRIP」を経て、バンドメンバーとの関係値がより深まったなかで実施されたのが、今回の初ライブツアー“青木陽菜 LIVE TOUR 2026「衝動ROCK」”というわけだ。
その折り返し地点となる4公演目、本ツアー最大規模の会場となる東京・LINE CUBE SHIBUYAで、ひなぴよとバンドが見せたロックの衝動に満ちた公演の模様をお届けする。
TEXT BY 北野 創
PHOTOGRAPHY BY Jun Tsuneda
ロックの衝動全開!バンドと共に奏でる青木陽菜の音楽
会場のLINE CUBE SHIBUYAは3階席まで埋まるほどの盛況ぶりで、背中に「HINAPIYO」と背番号「17(=ひな)」がプリントされた、ライブグッズのユニフォーム風Tシャツを着た人が多く見受けられる。ちなみに本ツアーではペンライトなどの光り物の使用は禁止。オーディエンスは己の声や拳で応援する、完全ロック仕様のライブだ。開演時刻、照明が暗転すると、まずはHINAPIYOBANDのメンバー、YOUSAY(Gt)、藤本ひかり(Ba)、矢尾拓也(Dr)がステージに登壇。シンバルカウントからバンドのアグレッシブなインスト演奏に雪崩れ込むと、客席からは早くも「オイ!オイ!」と声が上がる。そして本日の主役、青木が元気よく登場すると、ブルーボディのストラトキャスターを手にして、青木本人が作詞・作曲した新曲「Howling」を開幕一発目から投下。途中で鋭い視線を送りながら「Are You Ready, SHIBUYA?」と煽り、常よりもワイルドかつドスの効いた歌声を響き渡らせて、会場のボルテージを一気に引き上げる。この曲は本ツアーの開始に合わせてMVが公開されたこともあり、ファンも予習はバッチリだ。
その火傷しそうなくらい熱い先制パンチから間髪入れず、「衝動ROCK、始めようか」とクールに告げて次曲「ロック御中」へ。バンドの生み出す分厚いグルーヴ、青木のふてぶてしささえ感じさせるほどタフな歌唱、クラップやコールで沸く客席。すべてが混然一体となって熱狂の坩堝へと突き進んでいく。続く「ワールズエンドトリガー」では、青木はギターを置いて歌唱に専念。Bメロの高速で言葉をまくし立てるパートは音源よりも遙かに熱を帯びており、アジテーションめいた速射砲を見舞ったかと思えば、瞬時に切り替えて“それでも手を伸ばす”とつぶやくように歌い、そこから鮮烈なハイトーンと共に爆発力あるサビへ。緩急自在の表現で魅せる押し引きの巧みさは、声優であると同時にボーカリストとしても一級の資質を持っている彼女だからこそのものだ。
冒頭3曲からロックモード全開のひなぴよだったが、MCパートではいつも通りの飾らない語り口。「今日は大きい会場なので、どれくらい人が来るのか未知だったんですけど、3階までいるじゃないの!」と喜ぶ。この人懐っこさも彼女の魅力だ。そして「一緒に踊ってくれますか?」と呼びかけると、昨年10月にリリースした1stアルバム『Letters』より「カラフルエモーション」を披露。照明が文字通りカラフルに明滅して会場を彩るなか、青木は曲中の“Jump Jump Jump Jump”というフレーズに合わせて4連続ジャンプを決めたりとアクティブにパフォーマンス。ラスサビの“ずっとあたしだけを見ててね 可愛い!だけじゃ足りないわ”の箇所では頬に手を当ててキュートに首を傾け、チャーミングなロックで観客を魅了していく。
そこから星型のタンバリンを手にすると華やかな「メグリメグル」へ。水を得た魚のように元気いっぱい、ステージ上をあちこち行き交いながら歌う姿が心から楽しそうで、こちらも思わず笑顔になってしまう。ラスサビ前の“君に出会うまで”で右手を客席の方に差し出すと、最後はみんなで「ラララ♪」と大合唱して、巡り巡る日々のなかで巡り会えた奇跡の喜びを分かち合う。そこから一転、アコギを手にして凛とした面持ちで届けたのが「BLUE BUD」。彼女自身が作曲した舞うように展開していくメロディが絶品で、ファルセットを織り交ぜた優美なボーカルが会場を青い感情で満たしていく。
続くMCで「バンドメンバーを紹介するの忘れてた(笑)」と照れ笑いしつつ、HINAPIYOBANDの面々を紹介。3人とも「Pre-Piyo-Sound 2nd」の頃からバックを支えてきたこともあってか、ファンにはすでに馴染みの様子で、各々に向けて声援が飛ぶ。ちなみにギターのYOUSAYは元THE KIDDIE、ベースの藤本は元赤い公園、ドラムの矢尾は元パスピエのメンバー。3人とも本会場でのライブ経験もある生粋のバンドマンであり、だからこそツアー3公演を経たこの日のライブも、借り物ではないバンド特有の熱を持ったアンサンブルが形成されていたように思う。持ち曲がライブを重ねるごとに進化・成長していく、バンドマジックを体現できる意味においても、アーティスト・青木陽菜にとってHINAPIYOBANDの存在は大きなアドバンテージになっているように感じた。
ひとつのドラマを描いた中盤戦から、全速力のラストスパートへ
MCで7月22日にリリースされるミニアルバム『BLAZE』について触れた青木は、その流れで同作に収録される新曲「Ephemeral」を披露。バンドセットで届けるのは本ツアーが初となる。この楽曲は、2026年7月より放送されるTVアニメ『魔法少女リリカルなのは EXCEEDS Gun Blaze Vengeance』のEDテーマ。スクリーンには青い煙と赤い火の粉が絡み合うような映像が投影されるなか、青木は沸々とした想いを解き放つように、段階的にエモーショナルさを増していくボーカルによってドラマを浮かび上がらせる。『なのは』シリーズと言えば、一筋縄ではいかないストーリー展開でも人気を集める作品。青木は主題歌を担当するだけでなく古寺ユズ役の声優として出演も決まっている。この楽曲がアニメにどのように寄り添っているのか、放送がさらに待ち遠しくなるパフォーマンスだった。
この日のライブの中でも、とりわけ儚く感傷的だったのが「夢浮橋-ユメノウキハシ-」。フロントウイング制作のビジュアルノベルゲーム『GINKA』のEDテーマでもある本楽曲。その作品世界観とも重なる、月明かりに照らされた夜の海がスクリーンに映し出されるなか、青木は朗々としていながらも切なさの募る歌声で、情緒溢れるメロディをなぞっていく。徐々に高まり行く楽曲の展開に合わせて、スクリーンの映像が満天の星空などに移り変わっていき、終盤のフレーズ“夢が醒める”と共に夜明けの景色が広がる演出も素晴らしく、青木の卓越した表現力も相まって、まるでひとつの物語を体験しているかのような感動があった。
その余韻を引き継ぐように静かに始まったのは、本ツアーでバンドセット初披露となる「最大幸福度」。スクリーンに雨だれのような映像が投影されるなか、アコギを手にした青木は穏やかに歌を紡いでいく。だが、サビでは一転して力強い歌声で感情を放出。ステージにもオレンジ色の光が射し、“雨のち晴れ”のドラマが描き出されていく。続く「天色」では冒頭の一節をアコギの弾き語りで情感たっぷりに歌唱。そこからバンドの演奏が加わると一気に爽やかな風が吹き、青木もにこやかに手を振りながら「声を聞かせてー!」と呼びかけて共に歌い合う。「Ephemeral」から本楽曲「天色」に至るまでの流れは、過酷な運命や悲しみを乗り越えて新しい一歩を踏み出すようなドラマが全体で浮かび上がる、本公演の中でもひと際ドラマを感じさせるブロックだった。
その後のMCパートではバンドメンバーたちと和やかなトークを展開しつつ、YOUSAYの先導で客席の声出しを行って気合いを入れ直すと、青木は「でもみんなまだ涼しい顔してるんじゃない?今からみんなのこと熱くしていいですか?」と宣言して、ポルカドットスティングレイの雫が提供したシャープなロックチューン「ODD」を投入。しなやかなハイトーンボイスが蒼い炎のように激しく揺らめき、会場をさらに熱く燃え上がらせる。そこから青木は赤いテレキャスターに持ち替えると、ガムシャラなパンクチューン「Shout it out!」に突入。コールの声もますます大きくなり、天井知らずの盛り上がりを見せる。さらに客席をたっぷり煽って「今日の目標はただひとつ、皆さんのノドを枯らせます!」「全力で騒げー!」と叫ぶとアザミ提供のガーリーな高密度ロックンロール「マズルフラッシュ!」でラストスパートへ。テンポダウンするパートでの凄みを効かせた低音から超絶ハイトーンへの切り替えも鮮やか。観客の盛大なコールにも「足りない足りない!」と満足できない様子で、バンドメンバーともコール&レスポンスを行って、会場のボルテージをどこまでも引き上げていく。そして「ラスト新曲やります」と告げて未公開の新曲「OVERLAP!!」を歌唱。明るく開放的なパンクロックで真っ直ぐな歌声とメッセージを届けて、ライブ本編を結んだ。
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君と出会うための青い旅――アンコールで届けた音楽とファンへの想い
ホールを揺るがすほどの大きな「ひなぴよ」コールを受けてのアンコール。バンドメンバーがステージにスタンバイして演奏を始めると、なんと青木が1階フロアに登場!自身が作詞・作曲した最初のオリジナル曲「wantの感情」を、客席の間をあちこち移動しながらファンと一番近い場所で歌う。本ツアーの会場はライブハウスが中心のため、この日は他の公演と比べてステージと観客の間に距離があったわけだが、まさかアンコールで客席に降りてくるとは。逆にホール公演だからこそ実現できた、ひなぴよからファンに向けたスペシャルなプレゼントと言えるだろう。ラストはメインステージに戻ってジャンプと共に締め括った。
「どう?近くで見えた?」「せっかくだから近くに行ったら嬉しいかなと思って」といたずらっぽく笑う青木。ここでさらに新情報として、この日の1曲目に披露した新曲「Howling」の配信リリース、ギターメーカーのMorrisより青木陽菜シグネチャーモデル「M-AH」の販売決定、自身が所属するレーベル・BM-ECHOESの所属アーティストたちが出演するライブイベント“BM-ECHOES FESTIVAL 2026”および自身のワンマンライブ「Blazing Pit」の開催決定を告知して、ファンを大いに喜ばせる。青木も「Zeppワンマンは憧れだったのですごく嬉しい」とはにかみ顔。「好きな曲を歌って、好きな音楽を作っていたら、気づいたらこんなに素敵なバンドメンバーと出会えて、私の音楽が好きだという皆さんと出会えて、本当に幸せです」と口にする。
「もし次にあなたが私のライブに遊びに来る時は、新曲が増えているかもしれないし、周りのお客さんの感じが変わってるかもしれないし、あの曲のノリかたが変わってるかもしれないけど、それでも私は変わらず、マイクの前に立って、ギターを持って、あなたの前で歌います。なので、どうかまた、ライブをする時には遊びに来てください。ありがとうございました!」。
そんな言葉をファンに向けて贈ると、ここで1stアルバム『Letters』の表題曲「Letters」を届ける。青木が作詞、YOUSAYが作編曲した本楽曲に込められているのは、音楽を通して未知なる感情やまだ見ぬ“君”と出会えることの喜び、楽しさ、感謝の気持ち。そのいつまでも終わることのない旅の現在地を、彼女は歌という名の“手紙”にして真っ直ぐに伝える。そして「ありがとうございました!また次の街で会いましょう」と告げると、最後はシンガロングパートが印象的なナンバー「あとがき」で大合唱。会場全体をひとつにして、大団円でライブを締め括った。
ツアーの折り返し地点での公演ということもあってか、バンドとしての熱量や完成度も高く、彼女とHINAPIYOBANDだけの“衝動ROCK”を隅々まで堪能することのできた今回のライブ。自らの“wantの感情”と“rockの衝動”に従って旅してきた彼女がこの先どんな道を進んで行くのか、ますますついていきたくなってしまったのは、きっと自分だけではないはずだ。
青木陽菜 LIVE TOUR 2026「衝動ROCK」東京公演 セットリスト
2026.05.31@東京・LINE CUBE SHIBUYA
M1.Howling
M2.ロック御中
M3.ワールズエンドトリガー
M4.カラフルエモーション
M5.メグリメグル
M6.BLUE BUD
M7.Ephemeral
M8.夢浮橋-ユメノウキハシ-
M9.最大幸福度
M10.天色
M11.ODD
M12.Shout it out!
M13.マズルフラッシュ!
M14.OVERLAP!!
EN1.wantの感情
EN2.Letters
EN3.あとがき
関連リンク
青木陽菜 公式X
https://x.com/aoki__hina
青木陽菜 STAFF公式X
https://x.com/AokiHina_Staff
BM-ECHOES 公式サイト
https://bm-echoes.com/
外部サイト
関連情報(BiZ PAGE+)
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