“東京の火葬場”が投資ファンドに売り払われる!? 「中国資本企業」のがめついビジネス感覚
物価高の悲鳴がやまぬ中、東京都民においては三途の川の“渡し賃”も上昇か。ここ数年、全国に比べて東京23区の火葬料金は高騰し、問題視されてきた。そんな折も折、突如、一大葬儀会社に関する海外投資ファンドへの身売り話が浮上し……。
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火葬ビジネス
現在、東京23区エリアには、著名人の葬儀などでも知られる桐ヶ谷斎場(品川区)や落合斎場(新宿区)など、計9カ所の火葬場がある。そのうちの6カ所を運営するのは、広済堂ホールディングスの100%子会社で、戦前から続く「東京博善」という民間会社だ。
都政記者が言う。
「広済堂のトップは、ラオックスグループを中心に複数の企業を束ねる中国・上海出身の羅怡文(らいぶん)会長(63)です。彼が2019年に広済堂を手にすると、それまで5万9000円だった火葬代は2度の値上げを経て、9万円にまで跳ね上がってしまいました」

ちなみに、例えば23区外の八王子市が運営する斎場の場合、市民の火葬代は無料。いかに23区が高額か、お分かりいただけるだろう。
度々指摘をされてきたものの、行政はなんら手を打つことができずじまい。そこへきて、先月下旬、衝撃的なニュースが報じられたのだった。
「広済堂が東京博善の売却を進めているという内容でしたが、その相手先は米国投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)と具体的でした。しかも、驚くことに売却金額は1500億〜1800億円というのです」(同)
羅会長が広済堂を手に入れる際に使った金額は、150億〜200億円といわれているから、約10倍。KKRは、この先、需要増加が見込まれる“火葬ビジネス”を魅力的だとでも感じているのだろうか。いずれにせよ、羅会長側は濡れ手で粟のボロ儲けというほかあるまい。

売り抜けを画策
さる事情通の話。
「料金問題で世間の風当たりも強くなってきたので、羅会長もそろそろ潮時と考え、売り抜けを画策したのでしょう。実は広済堂がKKRと接触する以前、先行して東京都は東京博善の買い取りを内々で羅会長側に打診したといいます。その際、都が提示した金額は1000億円。結局、折り合いがつかず、KKRにたどり着いたのです」
仮にKKRが買収した場合、当然、火葬料金が今以上に高くなるのは想像がつく。あるいは、今回の身売り後に東京都が買収に踏み切ったところで、税金を原資とする出費はさらにかさむ。割を食うのは、東京都だ。
「昨年、都は国に対し、民間火葬場の料金変更に行政が関与できるよう法整備を求めましたが、進展はなし。今回の報道が出た後、特別区長会会長と小池百合子知事の名で、火葬場の経営主体の変更などの際には行政が口を挟めるようあらためて国に要望書を提出しています。急きょ、専門家を交えた検討会も立ち上げました」(前出の記者)
中国資本ならではの価値観
東京都に聞くと、
「今般設置した検討会において、(略)行政の関与のあり方について検討してまいります」
KKRはノーコメントだが、広済堂ホールディングスは次のように書面で回答してきた。
「当社は『東京博善』を売却する意向はございません。(略)また、東京都の買収に関してはそのような事実はありません」
葬儀事業に詳しい佐藤葬祭の佐藤信顕代表は、
「今では火葬場の新設許可は原則、民間業者に出ませんが、戦前から存在した東京博善のような業者には、存続が許容されてきました。公共性の高さを業者側が理解して運営してきたので、なんら制限する必要がなかったのです。日本人の感覚なら死者を送る火葬で儲けるという発想にはなかなかならない。中国資本ならではの価値観だと思います」
果たして誰が手にするのか。あの世に行っても気が気でない?
「週刊新潮」2026年6月18日号 掲載
