高市早苗首相

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高市首相の“本気度”

 79回目の憲法記念日を前にした4月12日。この日に行われた自民党大会で高市早苗首相は党是の憲法改正に触れて「時は来た」と気勢を上げた。ところが、国会で議論が進展する気配は見られない。なぜか……。

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「野党はともかく、与党も首相の本気度を測りかねているからですよ」

 と言うのは政治部デスク。

「自民党が単独で衆院の3分の2を超える議席を占めるいまは、改憲に取り組む大きなチャンスです。それでも、党内の改憲論議は盛り上がっていません」

 首相は党大会で「改正の発議に何とかメドが立ったといえる状態で来年の党大会を迎えたい」とも訴えた。

高市早苗首相

「あの発言は、来年9月の党総裁選挙を見据えて、自身の任期中に改憲の道筋をつけたいという意味でしょう。露骨な再選戦略とも取れますが、一方で首相が憲法のどの部分を改正したいのかは、いまだ判然としません」

9条改正

 9年前の憲法記念日には、当時の安倍晋三首相が「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」とのビデオメッセージを改憲派の集会に送付した。さらに読売新聞紙上で9条改正を目指す考えを公表したことで、世間の耳目を集めていた。

「翌年、自民党は“自衛隊の明記”“緊急事態条項”“参院の合区解消”“教育の充実”との改憲4項目をまとめました。安倍氏の後継を自任する高市首相ですから、最初に9条改正を提起して当然なのですが」

 他方で連立を組む日本維新の会は、戦力不保持を定めた9条2項を削除し、その上で自衛権や国防軍を明記することを訴えている。

「先月の衆院憲法審査会では、維新側から“今後の討議で9条に関する比重を一層高め、会派間の溝を速やかに埋めていく作業が欠かせない”との発言が飛び出しました。自民党のヤル気を試すようでしたね」

 とはいえ、改憲の発議には衆参各院で3分の2の賛成が必要だが、与党は参院で46議席不足している。

“取り組んでいる感”

 自民党の閣僚経験者は首相が9条改正を明言しない背景を次のように推し量る。

「安倍さんは公明党との協議で9条1項と2項を維持し、さらに3項を加えて自衛隊の存在を明文化する“加憲”案をひねり出した。高市さんにそんな深謀遠慮は期待できないし、そもそも彼女は根っからの9条抜本改正派だ。本音では維新案に乗りたいんだろう」

 野党を見渡せば、国民民主党と参政党は参院の合区解消に前向きの立場を取る。首相が9条の改正にこだわり続けなければ、参院でも3分の2の賛成を得る可能性は残されている。一部には、合区解消と緊急事態条項を先行させるとの報道も。

「首相には9条改正の難しさを予想以上と考えているフシも。ただ、保守系岩盤支持層をつなぎ止めるには安易な棚上げはご法度で、当面は各論に踏み込まず“取り組んでいる感”でごまかすしかない」(自民党幹部)

 次回の総裁選まで1年余り。それまで高市首相が越えるべきハードルは高い。

「週刊新潮」2026年5月21日号 掲載