最初は木や鉄だったクルマの構成材はアルミそしてカーボンへ! クルマの進化と素材の進化をまとめてみた

この記事をまとめると
■クルマは鉄と木材など簡易的な素材で作られていた
■次第にアルミなどの先進素材が採用されてきた
■最近では一部のクルマにカーボン素材も使われている
クルマの進化は素材の進化でもある
自動車が誕生したころの自動車の構成素材といえば、鉄材と木と革といってよかった。それが時代の進化とともに、金属素材はアルミニウム合金といった非鉄金属系が台頭し、FRPといった繊維強化プラスチック材まで使われるようになってきた。自動車の進化は素材の進化といい換えてよいかもしれない。
そして、その核心となるのは、やはり重量だ。素材として軽くて強いことが重要であることは、自動車が運動する物体であることを考えれば、当然行き着くべき結論である。もちろん、鉄材も超高張力鋼板などの登場により、かつてとは質感の異なる素材へと変わってきたが、アルミやFRPなどは新たな可能性を切り開いてきた素材として、次元が異なる存在として位置付けることができるだろう。

さて、剛性と強度を両立させた新たな素材として超目されてきたのが、炭素繊維によるC-FRP(カーボン繊維強化プラスチック)だ。略して「カーボン」と呼ばれているが、繊維強化プラスチックの先駆けとしてはFRP(正確にはG-FRP、ガラス繊維強化プラスチック)の名前がよく知られている。バスタブ、モーターボート船体などの素材として、古くから我々の日常生活に浸透してきた素材で、成型の自由度、軽量性、高強度、高剛性を特徴とする使い勝手のよい素材である。

当然ながら自動車を構成する素材としても活用され、シボレー・コルベット(初代C1型から歴代、1953年〜)やロータス・エラン(1962年)などのボディ外皮として使われた例はよく知られている。なお、1957年に登場したロータス・エリートの場合には、フルモノコックボディの構造素材として活用され、インパクトの大きな事例として注目を集めていた。

そのG-FRPよりさらに軽量、高強度という特徴が着目され、C-FRPが自動車の構造材として使われ始めたのは1980年代初頭だった。やはり、先駆者は軽量、高剛性が勝敗の明暗を分けるモータースポーツの世界、F1によってだった。1981年にマクラーレンMP4/1が世界初のC-FRP製フルモノコックカーボン構造で登場した。正確にいえばアルミハニカム素材をC-FRPプレートでサンドイッチする構造だった。

もう少し広範、ルーフまで一体化したカーボンモノコックシャシーの登場という意味では、1985年に登場したグループCカー、ジャガーXJR-6が初となり、その後1990年代に入るとレーシングカーシャシーの標準的な構造素材となり、軽量かつ高強度、高剛性の構造材として現在まで使われ続けている。
ドライカーボンとウエットカーボンの違いとは
少し横道にそれるが、C-FRPが構造材として使われるよく知られた例としては、航空機の例を挙げてもよいだろうか。総2階建て、800人を収容するエアバス社の超大型旅客機A380では、垂直尾翼を支えるストリンガーや客室の床を支えるクロスビームとして、ボーイング社の最新傑作機B787では、機体構成部品の50%(重量比)にC-FRP製が用いられている。主要構造材に従来の非鉄系金属素材を使用すると、重量が重くなりすぎ新時代の航空機に求められる性能が満たせないからだ。

こうした軽量、高強度、高剛性の特徴を生かしたC-FRP製構造部材はどうやって作られるのだろうか?
一般的な手法としては、成形されたプリプレグ材(炭素繊維に樹脂が含浸された状態の素材、樹脂は熱硬化型)をオートクレーブ(圧力容器=焼き釜と考えてもよい)の窯に入れ、加圧、加熱、真空引きを行うことで作られている。この手法で作られたカーボン製品は「ドライカーボン」と呼ばれ、硬度が高く、薄くて軽い(=軽量・高剛性・高強度)仕上がりとなっている。

一方、G-FRPと同じ手法で作られるカーボン製品もある。簡単にいえば、常温、常圧化で樹脂を染み込ませたカーボン繊維を型に何層かにして重ね、樹脂を塗り込み、乾燥して樹脂が硬化してから離型する手法だ。オートクレーブを使うドライカーボンに対し、こうした工程で作られるため「ウエットカーボン」と呼ばれている。

ウエットカーボンは、ドライカーボンに対して樹脂の含有率が高く、重量的にはG-FRPと大差はないが、織り込まれたカーボン繊維が見えるため、とくに綾織り(構造材に使われるカーボン繊維は平織り)したウエットカーボン製品は、見た目にハイテク感があり、装飾感を重視したパーツとして好んで選ばれている。
両者の使いわけを簡単にいうなら、構造材として使うなら単価は高いがドライカーボン製、廉価に樹脂繊維の利点を生かした製品として使うならウエットカーボン製という選択肢になるだろうか。ひと口にカーボン製品といっても、使用目的や用途によって製法は異なり、その特徴や製品価格に大きな開きがあることを覚えておきたい。

