ABS秋田放送

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国民一人当たりの消費量は13か月連続で前の年を下回っています。

中東情勢によって生産コストの増加も見込まれる中、将来を見据えたコメ作りを続ける大潟村の農家を取材しました。

大潟村の農家・涌井徹さん。

田んぼに水を張らず、直接種もみをまく、乾田直播と呼ばれる稲作にことしから本格的取り組んでいます。

種もみは、肥料とともに機械でつけた溝の中に落ちる仕組みです。

苗づくりや田植えの手間だけでなく、1棟あたり数百万円の建設コストがかかる育苗ハウスを建てる必要もありません。

約2.5ヘクタールの田んぼだと、2時間程度で全ての作業が終わります。

涌井さん
「1枚2時間で終わる」「2日あると15ヘクタール終わるそういう計算だよね。そういう意味において正確なコスト計算をしてみるとわかる」

涌井さんはことし、作付け面積を去年から40ヘクタール増やし、160ヘクタールでコメ作りをする計画です。

“令和のコメ騒動”と騒がれたここ数年。

多収米の作付けに取り組むなど、収量の増加に力を入れてきた涌井さん。

今年はコストの削減が大きなテーマです。

このハウスでは間もなく始まる田植えに備えて、従来の2倍の密度で種をまいた苗床=密苗を育てていました。

涌井さん
「普通の苗は一反分に20~25箱くらい使う。これは一反分に10箱程度だから、同じハウスでも倍の面積やるとしたら密苗すれば倍の面積(ができる)」
記者
「ハウスの建てるのが大変ですものね。資材高騰で」

コメの取引価格と同様に農家の収入に直結する生産コスト。

コメの需要や価格動向などを調査している米穀機構によると、最新のコメの生産コストは玄米60キロあたり2万535円。

これに集荷、卸、小売のコストを積み上げると、精米したコメ5キロでは2,816円と試算しています。

今年度産のコメは、この試算をベースにコメの買取価格が形成されると予想されています。

農家(約16ヘクタールを作付け)
「確実に(昨年度よりも)下がる感じで見てはいるけども、それはいいんだけれども実際にコスト 資材の価格も上がっているので、そういう意味ではある程度のところで落ち着いてほしい」「はっきり言えばこれまでのコメが安すぎるそこに尽きると思う」「みんなに喜んで食べてもらえるのがベスト。生産者側としては作っても食べられない高くてというのは・・・」

一方で涌井さんは、生産コストの試算が作付け面積が1ヘクタールから3ヘクタールという経営規模が小さい農家の生産コストを根拠にしていることを問題視しています。

高い生産コストを基に価格を決定すれば、物価高騰で消費者の購買力が低下する中で「コメ離れが定着しかねない」と指摘します。

涌井さん
「問題はね、生産コスト云々もあるけども、要はお米は誰がライバルかね。」「(安価な)輸入米であったり、 パンや麺との価格競争と、そして国民一人一人の財布事情との競争になってるわけよね」
「(作付面積が)1ヘクタール、 3ヘクタールというこれは、農業経営ではない勤め人の収入と含めての(兼業)経営をしてるわけ。3ヘクタールで農業で成り立つかというと成り立たないわけ、現在は。農業(一本)で成り立たないところの米価を基準にしてコストを見るというのはここに矛盾が生じる」

涌井さんは規模が拡大できない中山間地の農家は保護しつつ、日本のコメ作りの将来を見据えたうえで価格を決定する仕組み作りが必要だと訴えています。

涌井さん
「日本農業の本来あるべき姿のところの面積を決めて、そこはコストはこれくらいだから利益がこれだけ出ますねっていうということから決めていく。そこに向かっていく」「(生産者も消費者も)両方良かったねじゃないと成り立たない」

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卸売業者が昨年度産米の在庫を抱える中、今年収穫されるコメについて、先月、政府備蓄米の買い入れ入札が始まりました。

コメ価格の先行きは依然として不透明な状況が続いています。