住まいづくりで必要な機能を見極める考え方を紹介します。YouTubeチャンネル「職人社長の家づくり工務店」で家づくりの情報を発信する平松明展さんによると、勝手口や窓、ベランダなど一見便利な機能も、使わなければ無駄なコストにつながるといいます。機能ごとの選び方のポイントを伺いました。

※ この記事は『お金の不安が消える 住まいのコスト大全』(KADOKAWA)に掲載された内容を一部抜粋・再編集して作成しています

【図】窓の種類による光熱費の削減例

勝手口や窓は不要なコストにつながることも

勝手口は必要でしょうか? 勝手口のドア本体の価格は約10万円、設置用ステップが約5万円です。ドアを交換すれば、本体価格と工事のコストがかかり、鍵やステップのメンテナンスや補修のコストもかかります。もし、勝手口の機能を利用できていないのならば、勝手口への投資は無駄になるでしょう。

窓にも同じことがいえます。窓の役割は空気の入れ替えと、日射取得、採光、眺望です。換気性能の高い家であれば、窓をあけての空気の入れ替えは不要なので、窓がなくても快適性は損なわれません。日の当たらない外壁の窓や、眺望が不要なところの窓も必要ありませんよね。

窓1つ1つの役割を明確にすることで、窓の数や大きさの適正値が見えてきます。役割を十分に果たしていない窓を設置しなければ、必然的にコストカットができるのです。

窓の数で光熱費が変わる

夏場の熱取得の割合は、壁や屋根より窓が圧倒的に高いです。冬場の熱損失においても同様です。つまり、不要な窓が冷暖房のエネルギー消費量を高めているのです。同じ性能の建物で窓の数による年間光熱費を比較した場合、窓を25カ所設置した建物では年間光熱費が約19万円だったのに対し、15か所の建物は約15万円でした。その差額は、30年間で120万円近くにもなるのです。

窓の設置は方角も関係します。南側には大きな窓を設置して冬の日射取得を高め、東西の面は小さめの窓で熱負荷を軽減するのが一例です。北側は採光のための小窓でよいでしょう。通気透湿性能や換気性能が高ければ、トイレや浴室の窓は不要です。

また、窓の数を減らすことは、防犯性能を高めることにつながります。コストカット分を防犯性能の高い窓にするのも得策です。

外干しをしない場合、ベランダは不要?

地域や立地にもよりますが、梅雨などの雨天時、日照時間の短い冬場など、外干しができない日があります。その際の選択肢の1つが室内干し。住宅環境の向上によって常時、室内干しという人も少なくありません。

では、洗濯物を干さないベランダやテラスはどのように活用するのでしょうか? ベランダガーデンやアウトドアリビングなどで活用しない人には、無駄な機能でしかありません。

ベランダの設置コストは、0.5坪程度でも30万〜50万円。屋根をつけると、さらに10万〜20万円が追加されます。防水の施工やメンテナンスのコストもかかってきます(メンテナンスフリーの施工もある)。ベランダが不要の場合は、設置しないだけで大きなコストカットになるわけです。

ちなみにベランダの屋根のないのものを「バルコニー」と区別されますが、同意義でも扱われます。

室内干しの方が、外干しよりコストが安くなることも

通気透湿性能や換気性能が高い家では、湿度も一定に保たれるため室内干しが可能です。たとえばWB工法は、湿気を排出するので室内干しでも生乾きになりません。室内干しの専用スペースの壁材を、通気透湿性能の高いものに替えるのも有効です。

ホスクリーン(商品名)を設置すれば物干しがしやすくなります。昇降式などさまざまな種類があります。

室内乾燥システムも進化しています。ガス衣類乾燥機の「乾太くん」(商品名)は、短時間でふんわり仕上がるのが魅力です。ドラム式洗濯乾燥機は洗濯から乾燥まで一貫した機能で、家事の負担を軽減してくれます。

いずれも光熱費がかかりますが、30年の期間で見てみると、ベランダを設置したときに要するコストよりも低くなります。屋内乾燥は利便性も高いことから、ベランダのない家が増えているのです。