【任期残り1年】今春で就任後3年の静岡市・難波市長…進行中の大規模プロジェクト含め市政運営と課題に迫る
4月で就任から3年となった静岡市の難波市長。アリーナ、スタジアムなど大型施設のプロジェクトを加速させています。この3年で見えた難波流の市政とは?さらに任期残り1年の注目課題に迫ります。
(伊藤 薫平 アナウンサー)
「静岡市の未来のかじ取りをする難波市長。市民はこの3年間どのような印象をもっているのでしょうか」
(市民)
「穏やか、スピーディーというよりは一個一個進めている感じ」
「箱モノを作ろうとしている、財政が心配」
(市民)
「いいんじゃないですか」
静岡市の未来を描く難波市長は現在69歳。
岡山県で生まれ育ち。学生時代は名古屋大学大学院で土木工学を専攻。その後、国交省で港湾空港関連の部署を歴任した、まさに技術部門のスペシャリストです。
2014年に県の副知事になってからはリニアを担当。
市長に就任したのは2023年。4月13日で3年が経ちました。
他の市町のトップと違った“難波流”が表れているのが…記者会見!例えばリニアに関する説明では
(静岡市 難波市長)
「きょうは説明したいと…」
大根、段ボール、色水を自ら用意して技術面の専門的な説明までこなすほど。
さらに知事や市長の定例会見は30分前後で行われることが多いですが…。論理的に細かく説明するため会見が2時間近くかかることもしばしば…。
地元記者の間でついた会見の異名は“難波塾”。難波市長も「政治家ではなく“行政経営者”」と自らを表現しています。その“難波流の市政”とは…
元県職員で県内の行政に詳しく難波市長とも交流がある静岡産業大学の小泉祐一郎教授に聞きました。
(静岡産業大学 小泉 祐一郎 教授)
「理想家でありながら、非常に合理的な判断をされて実行を重視する。合理的な発想で物事を前に進めるということが難波さんの特徴。市長というと行政のトップという面と政治家として市民の代表という2つの面がある。難波市長の場合は、当然、市民の代表ではあるけど”行政の執行のトップ”というところ。そこが難波さんの一番の特徴だと思います」
“合理性”と“実行”を重視していると評価される難波市長ですが、この3年間での成果とは…。
(静岡産業大学 小泉 祐一郎 教授)
「いろいろな課題を持った事業を(前市長から)引き継いだ中で、課題をどうやって整理して、調整して前に進めるかという点。ある程度、方向性をはっきり出して前に進めてきたというところ」
小泉教授が“3年間の成果”と語るのは、「大型事業の推進」です。
東静岡駅前のアリーナ構想。清水区のスタジアム構想や海洋文化施設の建設計画など…、田辺前市長のもと、長きにわたって複数の大型事業の構想が進められてきた静岡市ですが、いずれも見通しが明確になっていないまま難波市長にバトンタッチする形に。
就任後は長年水面下で行われてきた調整を急ピッチで進めました。
清水区の新サッカースタジアム計画では、建設に向けてエネオスが所有する清水駅前の土地を市が取得すると発表。
JR東静岡駅北口に整備予定の“新アリーナ計画”では、2030年の開業に向けてNTTドコモを代表とするグループが事業者に決定。“停滞していた大型事業”の道筋を示したのです。
任期残り1年となった難波市長ですが、その大きな事業の中で暗礁に乗り上げているのが清水区の「海洋文化施設」、いわゆる水族館の計画です。
(静岡市 難波市長)
「唯一進んでいないのは海洋ミュージアム。採算がとれない事業をやるわけにはいかない」
清水の住民から期待された、市としては10年越しの計画でしたが、難波市長は物価高騰により建設費が跳ね上がったほか、「前市長のもとで結ばれた契約に問題がある」として、3月、事実上の計画白紙を表明しました。建設予定だった土地の今後の活用について、構想自体は残すものの、言及を避けています。
清水といえば全国的に知られる港町。小泉教授は、難波市長にとって、この事業にかける思いは強いと話します。
(静岡産業大学 小泉 祐一郎 教授)
「元をたどれば国交省の港湾局時代から非常に思い入れがあるところ。港とその周辺の活性化は一番の専門分野。色々な港や海外の事例も知っているので、港の周辺にどういった形で施設を構築すれば、海洋文化施設が本来目的としている機能を発揮できるかということを、ある程度基本的な考えはあると思う。単に、一旦白紙にしただけでなく、任期中に再構築、道筋をつけてしまおうと。1年間はそこに注目しています。」
(スタジオ解説)
(徳増 ないる アナウンサー)
はい、難波市長の会見は私も出たことがありますが、とても時間がまず長くてですね、とっても丁寧にリニア問題や熱海の土石流などやっぱりご専門ということもありまして、大根なども使って詳しく説明してくださいます。
難波市長はこのように官僚出身で行政の現場を知り尽くしていて、そのようにも市政を進めているという印象があるんですが、津川さんはこの“難波流”の市政はどう評価されていますか?
(レギュラー コメンテーター 津川 祥吾 氏)
はい、先ほど市民の方からですね、箱物を作ろうとしているじゃないかという話がありましたよね。今の業績の説明の中でも、いわゆる箱物というんですかね、サッカースタジアムですとか、アリーナとか、そういったものが出てきていました。
ただ、この案件そのものは難波オリジナルではなくて、もともとあった計画をしっかりと進めようとしているという部分ですから、そこは確かに評価されるところなのかなと思うんですね。
しかも全部やってしまうのではなくて。海洋文化施設のようにですね、ちょっと待ったというかけ方もするので、そこは分かりやすいかなと。ただ、そこが目立つ一方で、例えば福祉事業ですとか、福祉政策ですとか、あるいは人口減少対策、その辺がどうなっていくのかなというのは、一方でこれから注目されるところかなと思うんですよね。
(徳増アナ)
強い分野もあれば、少し何か力を借りてというところも感じられる。
(津川氏)
そうですね。もう少し分かりやすく説明をしていただく必要があるのかもしれないですね。
(徳増アナ)
そして、難波市長が市の一番の課題だといつもお話ししているのが、人口減少問題です。静岡市の人口はこのように2020年には70万人を下回りました。有効な対策を講じなければ、この2050年には50万人を下回る深刻な予想となっています。
この理由として、難波市長は「仕事がないから」と分析しています。これについて、会社や工場が建つ用地や新しい住宅が建つ土地を供給できていなかったと説明しています。静岡市、確かにあまり空いている土地がないなという印象もありますよね。
この点を改善して企業誘致に取り組むなど対策を打ち出しているんですが、若狭さん、この人口減少対策、静岡市では一筋縄ではいかなそうですね。
(コメンテーター 若狭 勝 弁護士)
そうですね。市長は選挙で選べるので、政治家であることは間違いないんですが、政治家というよりも、やっぱり行政の実務リーダーみたいな感じに思えて、非常にいいと思う。私は評価しているんですけれど。
ただ、人口減少の問題というのは、国との関係とかいろいろあるので、行政実務家というよりは、やっぱり政治的なものがもっともっとあると、こういう問題をもっと大きく深くいろいろ掘り下げて、国に働きかけてどうのこうのというのが政治家として今度はでき得るんじゃないかなと思うので、その辺を今後期待したいと思います。
(津川氏)
人口減少の問題というのは、多分2つあって、出生率がそもそも減ってしまっているというところがありますよね。
これ、市だけではなくて、全国の問題ですし、あるいは海外でも同じような問題があるので、そんなに簡単に答えが出てくるところではないと思うんですが、
静岡市に関して言うと、流出をしていってしまうと、人がどんどん出ていってしまうという問題も一つ深刻な問題だと思うんですよね。
仕事を増やすことでということをおっしゃっているんですけど、その辺はどうでしょうかね。もっとやっぱりやるべきですかね。
(若狭弁護士)
そうですね。ですから、人口流出を防ぐというのは、ある意味、消極的に人口減少を防ごうということなんでしょうけれど、今度、もう少し積極的な何かがやっぱりないと、人口減少というのはなかなか解決していかない。
現状維持ぐらいは可能かもわかりませんけど、もう一つのエンジンをかけるためには何が必要かという話だと思うんです。
(徳増アナ)
そのエンジンをかけるには、若狭さん、何でしょうね。
(若狭弁護士)
それができたら私も政治家やってますけど、難しいんですね。
でも魅力のある静岡市。非常に静岡県にしても静岡市にしても、私はある意味、いろいろ第三者的に見ているところもありますけど、すごい魅力的なことは間違いないんで、それをもっともっとアピールした方がいいと私は思いますけどね。
(徳増アナ)
はい。やっぱり市民の声をたくさん聞いていただいて、そこからたくさんアイデアを受け取って、ぜひ姿勢を前に進めていっていただきたいと思いますよね。
任期は残り1年です。今後は次の市長選への動向も注目されます。
