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 ◇世界スーパーバンタム級4団体タイトルマッチ 統一王者・井上尚弥 《12回戦》 WBA1位・WBC1位・WBO1位・中谷潤人(2026年5月2日 東京ドーム)

 米ロサンゼルスで強化合宿を行っている前WBC&IBF統一世界バンタム級王者の中谷潤人が、15日までにスポニチなどの取材に応じた。来月2日の井上尚弥戦に向けて、10キロの重りを背負ったシャドーボクシングを行うなど超ハードメニューをこなしている。絶対王者からのKO勝ちを見据え、着々と爪を研いでいる。 (取材・構成 伊東 慶久)

 愛称の“ビッグバン”さく裂へ、中谷はかつてないほどの自信をつかんでいる。先月中旬から行う合宿では週4日、タイプの異なる4選手とスパーリングを重ねる。

 「井上選手に勝つためにここに来ている。まだまだやっていくことはあるが、いいイメージでトレーニングを積めている。いろんなプランは用意している。そこを当てはめる戦いをしていければ」

 究極の特訓で追い込みをかけている。週2日、行っているのが10キロの重りを背負って行う「全力シャドー」。師事するルディ・エルナンデス・トレーナーが考案した練習法で、重りのついたベストを着用して全力のシャドーボクシングを12ラウンド行うもの。もちろんイメージして戦う相手は井上尚弥だ。

 「そこをテーマに置いて12ラウンドやるのは初めて。一瞬で流れが変わるパンチも警戒している部分。集中力ある戦いやスマートさが大事になる。そこを出せるような頭と体をつくっている」

 試合さながらの緊張感で己を高めている。さらに心肺機能も高めるため、今回から自転車トレも取り入れた。20秒間全力でペダルを踏み、20秒のインターバルと交互に7分間繰り返す過酷なメニュー。「強度は高いが、充実したトレーニングになっている」とスーパーバンタム級2戦目に向け、フィジカル強化への手応えは上々だ。

 当初は尚弥戦の前に同級で数試合を行う意向だった。昨年12月のサウジアラビアでの転級初戦では、前進を続ける世界ランカーのセバスチャン・エルナンデス(メキシコ)に苦戦。接近戦でも多くの課題が見つかり、階級への適応を不安視する声も上がる。

 「前戦で2試合分の経験を積めた。この階級を肌で感じることができた。出た反省点と見つめ合ってきた時間がある。今の自分がベストだと思っている。望まれている時に戦えることはプロボクサーとしてありがたいこと」

 迷いや不安は全て払拭した。世紀の一戦への高まる期待を肌で感じている。現地で訪れるスーパーマーケットでは「試合を楽しみにしているよ!」と複数人から声をかけられるという。ジムで出待ちするファンも後を絶たず「日本のみならず世界で期待されていると感じる。いいモチベーション」と一人一人にサインと写真撮影に応じる。ファンの期待に応えるため、自身のビッグバンをモンスターにさく裂させる展開を思い描く。

 「毎試合12ラウンド戦える体をつくっているが、倒しにいくアクションを増やしていく僕のスタイルは変わらず持っている。展開に応じてやっていきたい」

 判定決着は頭にない。狙うのはKO。最後に必殺パンチを問われると「いくつかある」とニヤリと笑った。「井上選手に勝つために日本に帰る。必ず勝ちます」。近づくゴングを待ち望む余裕さえ感じられた。

 【取材後記】オンラインでのインタビューでは中谷らしく、にこにこと笑いながらも決戦への覚悟が決まっているような表情が印象的だった。

 相手は世界トップに君臨する完全無欠の井上尚弥。世界戦経験数でも大きな差があり、不利と予想されるのは当然。それでも「必ず勝つ」と宣言した。その自信を裏付けるのは確かな練習量。日本人には珍しく、試合前には約200ラウンドの実戦練習を消化する。その中で自分と向き合い続けたことで、勝利への道筋を見いだしているのだろう。

 バンタム級時代の昨年6月、自身初の王座統一戦でIBF王者・西田相手にほとんど何もさせずに圧勝。大舞台でさらに強さを発揮するのも中谷の魅力の一つ。東京ドームでの世紀の対決でもその姿を見せてくれるはずだ。(ボクシング担当・伊東 慶久)