JRT四国放送

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吉野川市の図書館で、ある以外なものが「イケメン」に変身し、今話題を呼んでいます

その正体は、なんと本を探すための分類方法。

一体なぜ擬人化しようと思ったのか。

込められた思いを私が聞いてきました。

(豊成アナウンサー)
「中高生向けの本棚の上に、何やらキャラクターがいますね」

吉野川市鴨島町にある鴨島図書館は7年前に開館し、現在では年間10万人が訪れる市民の憩いの場です。

(豊成アナウンサー)
「全国的に注目されているものがあると聞いてやってきたんですけど」

(鴨島図書館・川真田宏 館長)
「NDC男子の件ですね」

(豊成アナウンサー)
「どういったもの?」

(鴨島図書館・川真田宏 館長)
「資料の分類方法として10段階に分かれていて、0~9まであるが」
「それを分かりやすくするためにキャラクターを作ってみた」

全国の図書館で広く使われている本の分類方法、日本十進分類法「通称NDC」。

このNDCを、個性あるイケメンキャラクターに擬人化させたものが「NDC男子」なんです!

この「NDC男子」を考案したのが、鴨島図書館で若者向けの図書を担当するスタッフ、井上さんです。

(豊成アナウンサー)
「どういうきっかけで思いついた?」

(鴨島図書館・井上さん)
「鴨島図書館で中高生向けのYA(ヤングアダルト)コーナーを担当していて、中高生に図書館や本のことについて知ってほしいという想いから、生まれたキャラクターなんです」

鴨島図書館は、自習室などの学習スペースが充実していて、多くの中高生が利用しています。

しかし、勉強だけして帰ってしまう人が多く、「いかに本を手にとってもらうか」が長年の課題となっていました。

そこで4年前、井上さんが考案したのが分類法を擬人化した「NDC男子」です。

今では、キャラクターに誘われて本棚に足を運ぶ利用者が増えたと言います。

(利用者は)
「かっこいいイラスト見ると読みたくなる」
「勉強のモチベーションになりそう」
「自分が読みたい本が見つけられそう」

井上さん自身、もともと本の分類が好きなこともあり、NDCを題材にすることはスムーズに決まりました。

キャラクターの衣装や性格などは、他のスタッフからもアイデアを募り、図書館一丸となって作り上げたそうです。

(鴨島図書館・井上さん)
「(設定が)分かりやすいのは、4類が医療などを扱うので白衣を着せている」
「生物なども含まれるので、恐竜の化石をイメージして作っているキャラになります」

(豊成アナウンサー)
「メガネもかけていて、知的な雰囲気がありますね」

数あるキャラクターのなかでも井上さんイチ押しは「2類」。

歴史や地理・旅行などの本が含まれるため、「冒険」をイメージして描きあげました。

(豊成アナウンサー)
「一人一人の雰囲気が違うので、推しを見つけたくなる」

(鴨島図書館・井上さん)
「ぜひ推しを見つけてもらって」

推しのキャラクターナンバー1を決める「総選挙」も行われています。

第一回の投票では約600票が集まり、芸術・スポーツの「7類」が1位に輝きました。

現在は第2回の総選挙が行われています。

(豊成アナウンサー)
「私も清き1票投じてみます。私が選んだのは0類さんです」
「ちょっとクールな雰囲気なんですけど、一番こういう人が俯瞰でいろんな人のことを気にしてくれている」
「優しい一面もあるんじゃないかなと思いました」

普段は、図書館の業務時間外にイラスト制作をしているという井上さん。

特別に制作過程を見せてもらいました。

(鴨島図書館・井上さん)
「これで2類さん完成です」

(豊成アナウンサー)
「すごい、色が入るとよりキャラクターが生き生きするし、表情が伝わってきますね」
「イラスト描くときはどんなことを意識している」

(鴨島図書館・井上さん)
「目元を特に気を付けて描くようにしています。どうしても10人描いていると同じ表情にならないように気を付けて」
「眉が丸くて釣り目とか、たれ目とか」

こうして作られた「NDC男子」は、今や全国区の人気に。

SNSを通じて評判が広がり、イラストの利用を希望する学校や図書館は100を越えたといいます。

多くの人を惹きつけるこのキャラクターに、なんと「書籍化」の話も動き出しています。

(鴨島図書館・井上さん)
「とても嬉しいという気持ちと、驚きました」

書籍化を担当するのは、小説やドラマ脚本など幅広い分野で活躍している、舟崎泉美さんです。

(小説家・舟崎泉美さん)
「いろんな各分野に特化した魅力的なキャラクターがいるので、お話も広がりそうだなと思って、私はぜひやってみたいと」

さまざまな悩みを抱える人が鴨島図書館を訪れ、NDC男子との会話を通して、解決のヒントを見つけていくというストーリーです。

(小説家・舟崎泉美さん)
「凄く良いものもできましたし、吉野川市のご当地ものみたいなものもいろいろ詰め込んだので、地元の方は自分たちの知っていることを楽しめると思いますし、全国の方は知らない土地の事を知れて面白く読めるのでは、NDC男子の魅力も知ってもらえれば」

(豊成アナウンサー)
「書籍化通してどう広がってほしい?」

(鴨島図書館・井上さん)
「NDCが日本の多くの図書館で使われている分類なので、今後も本を見たりして図書館や分類のことについて知ってもらえれば嬉しい」

徳島の小さな町の図書館で生まれたキャラクターたち。

書籍化という新たな形を通して「本と人をつなぎたい」という、井上さんのまっすぐな思いをこれからもたくさんの人たちのもとへ運び続けます。

井上さんは分類について知ってもらうため、あえてキャラクターに名前はつけなかったと言います。

小説でも分類のまま登場するそうです。

その「NDC男子」の小説は、6月に岩崎書店から出版されます。