海外でのDV被害防止へ、相談体制をアジアに拡大…日本語でカウンセリングや情報提供
外務省は、海外に住む邦人のDV(配偶者や恋人からの暴力)に関する相談体制を強化する。
現地の言葉が話せず相談をためらう人もいる中、日本語で対応できる専門スタッフにつなぎ、未然にトラブルを防ぐ狙いがある。すでに欧米など6か国で実施しているが、2026年度中にアジアに拡大する方針だ。
在外公館が現地の支援団体に相談業務を委託する形を取り、専門的なカウンセリングやDV関連の情報提供に日本語で対応する。現在は米国、英国、ドイツ、フランス、オーストラリア、カナダで実施しているが、今年度中に邦人が多い韓国とシンガポールで始めることを検討している。
邦人のDV相談は、基本的に在外公館で対応している。ただ、法律や支援制度が日本と異なり、専門知識も必要となるため、在外公館の職員では対応が難しいケースもあるという。相談業務を委託している欧米などの支援団体には、平均で1団体あたり年間720件程度の相談がある。
昨年1月には、ハンガリーの首都ブダペストで、アイルランド人の元夫によるDV被害を訴えていた邦人女性の遺体が見つかる事件が発生した。女性は「元夫に暴力を振るわれている」と地元警察に相談していたが、対応してもらえなかったという。
海外でのDVを巡っては、暴力から逃れるために子どもを連れて帰国した邦人が、相手から「不法な連れ去りだ」と裁判所に訴えられたり、誘拐と扱われて逮捕されたりする恐れもある。外務省の担当者は「誰もが相談しやすい体制を整えたい」と話している。
