東京Vユースの原田(写真中央)が飛躍の予感を漂わせている。写真:松尾祐希

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 一言でプレースタイルを表現するならば、将棋の香車だろう。3−4−2―1の左ウイングバックを任されるDF原田爽潤(2年)が飛躍の予感を漂わせている。

 相手がひとり来ても、ふたり来ても関係ない。持ち前のスピードを活かし、局面を打開して左足からチャンスを演出する。4月11日に行なわれたU-18高円宮杯プレミアリーグEASTの第2節・U-18川崎フロンターレ戦も、武器を存分に発揮して勝利に貢献した。

 前半からギアを上げた原田は持ち前の運動量を活かし、何度も左サイドをアップダウン。攻撃時は深い位置まで入り込んでクロスを送り続けた。

 チームは前半に奪った先制点を守り切れず、70分に痛恨の逆転ゴールを与えてしまう苦しい展開に。それでも90分に途中出場のFW鈴木暖人(3年)が自ら得たPKを決めて追い付くと、その2分後に原田が逆転弾の起点を生み出す。左サイドの高い位置でボールを受けた原田は狭いスペースを切り崩すと、浮き球で相手の背後にボールを入れた。途中出場のMF七久保優(1年)がなんとかゴールライン際を突破して中に折り返すと、最後は右ウイングバックのDF中山太輝(3年)が頭で押し込んで、今季初勝利を手にした。

 3−2で勝利した一戦の後、今季からチームを率いる手島和希監督は原田のプレーをこう評した。

「ゴリゴリいけますよね」

 良い意味で“ヴェルディらしくない”。例年以上に今季はテクニカルな選手が揃うだけに、原田のプレースタイルはより異質に映る。さらに彼の生い立ちを考えれば、ピッチを所狭しと駆け回る姿を想像ができない。「みんなからヴェルディっぽくないって言われる。でも、自分らしくやってチームが勝てるなら良いのかな」と笑顔を見せた原田は、いかにして今のプレースタイルを確立したのだろうか。
 
 京都府で生を受けた原田は自然とボールを蹴り始めた。それもそのはずで、父の健司さんはフットサルの元日本代表で、5歳上の兄・快も現在はバルセロナBでプレーするフットサル選手で現役の日本代表選手。生粋のフットサル一家で育ったこともあり、幼少期の頃は二刀流で技を磨いた。そうした流れを踏まえれば、フットサルに進んでもおかしくない。だが、原田は迷わずサッカーを選んだ。その理由をこう話す。

「小さい頃から走るのが好きで、フットサルのコートは小さいので、あんまり走れへんなって思った」

 サッカーを選択したのは自然な流れだったのだろう。小学校5年生で兄がペスカドーラ町田に加入したタイミングで東京に移り住み、中学1年生から東京Vの門を叩いてからも武骨なプレースタイルを貫いた。

 最初はFWやCBで起用されていたが、中2から今も本職とする左SBにポジションを移して才能が開花。ユースに昇格した昨季は夏以降に出番を増やし、世代別代表も経験した。世界の舞台で戦う経験をしたことは本人にとってもプラスに働いており、今秋に開催されるU-17ワールドカップ出場も視野に入れる。

 そのためにはプレミアリーグで誰よりも結果を残さなければならない。現状では昨年10月のウズベキスタン遠征を最後に代表に参加しておらず、原田自身もまだまだ実力不足であることを理解している。

「代表に行きたいけど、もっとプレミアリーグで結果を出さないといけない。自分がチームを勝たせる選手になって呼ばれたいです。クロスの質や1対1の守備対応。アジリティももっと上げないと」

 プレーは熱いが、冷静に自身の現在地を見つめる男はもちろん今日のプレーにも満足していない。爽潤(ソウル)の名前は英語の“Soul”に由来する。「強く生きる。魂を込める」と名前の意味を明かした原田の戦いはまだ始まったばかりだ。

 自身の名の通り、まずは与えられた舞台で必死に戦い、さらなる高みを目ざしてピッチを走り続ける。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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