サーキットでお馴染みのAE92トレノがまさかのオフローダーに魔改造! しかもガチで走れる仕様ってなかなかの鳥肌モノ!!

この記事をまとめると
■トヨタのAE92シリーズはレースシーンで活躍したほかデートカーとして大ヒットした
■アメリカのオフロード車両向け照明メーカーKC HiLiTESがAE92をカスタムした
■純正パーツの流用や市販パーツを駆使してオフロードマシンに仕上げた
平たいクーペがオフロードマシンに!?
現在は86やGR86もあるのでこれらを指す場合も少なくないが、「ハチロク」の愛称でお馴染みなのは、やはりトヨタのAE86シリーズではないだろうか。このクルマが頭文字Dの大ヒットをキッカケに、日本の中古車相場は高騰し、世界中で大人気なクルマとなったのはもはや語るまでもない。

そんなAE86シリーズの後継モデルが、シリーズ初のFFモデルとして大幅なモデルチェンジを果たしたAE92シリーズだ。しかし、いままでのAE系は手頃なFRスポーツモデルとして人気を博していたので、いま以上にFR信仰が強かった当時、走り系ユーザーからこのAE92はAE86ほどの人気を得られなかったという。一方で、一般ユースやデートカー需要にはブッ刺さり、なんだかんだで結果的にAE86シリーズを上まわる販売台数を記録している。

ちなみに、走り系ユースには刺さらなかったとしながらも、グループAレースにおけるディビジョン3というクラスにて、シビックと激戦を繰り広げたので、モータースポーツシーンでもじつは大活躍した1台だ。
さて、そんなAE92シリーズだが、このスタイリングを見てわかるように、この時代特有の平たいクーペスタイルということもあり、もしカスタムするとなれば、通常であればローダウンを行い、峠やサーキットが似合うスポーツカースタイルが定番……というか、そっちの方向しかないだろう。グループAのファンであればなおさらだ。

しかし、2022年のアメリカ最大級のカスタムカーショーであるSEMAに出展されたとあるAE92は、我々の常識を打ち破る、斬新な方向へカスタムされていた。
それが、アメリカでオフロード系の照明機器を販売するKC HiLiTESが手がけた、AE92型のトヨタ・カローラGT-S(日本ではスプリンタートレノ)のオフロードモデルだ。このクルマは、「AWDROLA(オッドローラ)」と名付けられており、KC HiLiTESのランディ・ウィメンタ氏陣頭指揮をとって作られたモデル。

SNSで投稿されていたAE86をベースにしたオフロードモデルを見て刺激され、「俺も似たようなモデルを作ってみよう!」という流れで、AE92をベースに製作へ着手したとのこと。
と、やる気になったものの、このクルマに手を出したのは2020年とコロナ禍の真っ只中。パーツの納期が伸びに伸びて、1カ月ほどで作る予定が最終的には4カ月と、4倍もの時間を要したそうだ。
本格的なオフロードレースにも参戦
ところでこの「AWDROLA」、見たところで「ただAE92の車高を上げてオフロードカーっぽいパーツをつけただけなんじゃないの?」と思うかもしれない。しかし、中身を見てみると、これが魔改造されたモンスターマシンであることはすぐにわかる。しかも4カ月で作ってしまったのだから、KC HiLiTESの技術力は相当なもの。

まず心臓部となるエンジンだが、こちらは通常のAE92と同じく1.6リッター直4の名機、4A-GEを搭載する。そこに4A-FEをミックスするなどして、ノーマルではなくチューンド4A-GEとなっている点が特徴だ。
そしてこのAE92、前述したようにもともと駆動方式がFFなので、4WDにするには大手術が必要になる。よって、4WD化は廃車になったカローラ・オールトラック(日本名:スプリンターカリブ)などのパーツを流用。足まわりも大幅に改造されており、4輪すべてにビルシュタインやアイバッハ製パーツを用いたデュアルスプリング式のサスペンションなどを採用し、悪路走破性を大幅に強化。通常のAE92からは考えられないパフォーマンスを手に入れているという。

また、オフロード走行には欠かせないスペアタイヤの装備やウインチの装備のほか、エクステリアにも鉄製バンパーやシュノーケルなども導入。とあるSNSの投稿に触発された結果、AE92がとんでもない魔改造をされてしまったというわけだ。
そしてこのクルマ、ほとんど市販パーツと純正流用パーツで組み上げられている点も見逃せないポイント。メーカーの支援を一切受けずに作り上げたという、完全にプライベーターによるDIY作品がなんとも素晴らしい。ボディに貼られた往年のTRDを象徴する「赤」「オレンジ」「黄色」のデカールも、ファンにはたまらない演出だ。

とはいえ、完成後の2022年のSEMAに展示された際は、ただの奇抜なカスタムカー程度にしか思われていなかったという。しかし、ショーのあとは全米各地で開催されたオフロード系イベントやレースに実際に出場し、それ以降は大注目を浴びているとか。
しかもこのAE92、じつはまだまだ現役で、最近では2026年3月にラスベガス近郊で開催されたオフロードレース、ミント400にも出場している。結果は、全行程190マイルのうち35マイル程度しか走れなかったとのことだが、それでもやはり、この「AWDROLA」の存在感は抜群。会場ではモンスターマシンに負けじと、大きな注目を集めた様子。

スポーツカーを下げるのではなくあえて上げる。しかもやるからには妥協なしという、常識にとらわれないアメリカンスタイルを象徴するユニークな1台である。



