強いけど苦しい?高市総理が直面したパワープレーで押しきれなかった「参議院の壁」… 30年前、強行採決に反発し「力技」行使した高市氏の貴重な姿も

衆院選で歴史的な大勝を果たし、新年度予算案の年度内成立に強い意志を示してきた高市早苗総理。有利な立場だったにもかかわらず、どうしてここまで時間がかかってしまったのか。
【映像】スカートで“座り込み”…30年前の高市早苗氏(実際の様子)
ニュース番組『わたしとニュース』では、新年度に入って「強いけど苦しい」高市政権がどうなっていくのか、予算案審議の背景にある“ねじれ国会”や衆参の違いについて、選挙ドットコム副編集長の伊藤由佳莉氏とともに深掘りした。
■「強いけど苦しい」ねじれ国会と参議院の壁

新年度予算案に関して、6日、高市総理が参議院の予算委員会に出席して集中審議を行なった。野党側は修正を求めたものの、与党側が7日に採決し、過去最大122兆円超の予算が可決・成立した。この審議の過程について、伊藤氏は次のように指摘する。
「『強いけど苦しい』という表現がこの審議の過程にも表れている。1つキーワードはやはり“ねじれ国会”というところ。衆院選の大勝から一転して、慎重な舵取りだったり、苦しい舵取りを求められたっていうのはここなのかなという気がしている」
衆議院については異例のスピード、59時間という審議時間での採決を強行した。しかし、参議院には壁があり、時間を要することとなった。この背景には、ねじれ国会と解散総選挙によるスケジュールの遅れがあったという。
「大前提として、ねじれ国会があること。やはり民主主義、多数決の世界なので、多数決を取らないとその法案なり予算というのは通りませんよということになっている。衆議院の方は大きく超えているけれども、参議院の方だけはちょっと足りない。衆議院では通ったけれども、参議院では通らなかったという情勢になっている。ただ、この前段として今回の予算審議の時間自体が足りなかったというのは、そもそも解散総選挙があったので、審議に着手する時間が1ヶ月ずれたということもある。この辺りも影響して今こういう状況になっている」
■参議院の「良識の府」としての役割と衆議院との違い

では、参議院での壁やねじれ国会を含め、参議院は衆議院とどこが違うのだろうか。伊藤氏は2つの院の役割分担について解説する。
「それぞれ議員の数だったり、任期などいろいろ違う。立候補できる年齢も違い、選ばれ方も違う。大きな違いというのは解散があるかないか。衆議院の方はこの前の2月の選挙のように解散権がある。一方で、参議院は解散がない。これは多角的に議論を進めるべきだろうという考え方があるから。衆議院というのは、その時の政治トレンドや民意を反映しやすく、4年の任期を待たずに解散ができる。
一方で、参議院は解散を設けないことによって、腰を落ち着けて長期的に見た視点で法案やその他の議事項を審議しましょうという役割分担がある。『衆議院の優越』という言葉があって、必ず衆議院で可決されて参議院で否決されても衆議院で戻ったらまた可決される。結局衆議院が決めてるんじゃないかみたいな話もあるけれども、やっぱり民主主義はプロセスが大事。そういった意味では、今回の予算審議でもスピード審議で数で押し切るパワープレー、超短縮納期でやろうとしてたことを、参議院で『ちょっと待ちましょう』『ちゃんと質問時間を確保しましょう』となり、この2つの院があることの意義がわかりやすく出てきた」
「政治記者の先輩が言っていた話だが、衆議院というのは与野党で構図を作るけれども、実は参議院というのは対衆議院のことでも目線を馳せているのだと。今回のように一定の予算審議の時間が必要だったよねという認識に対して、参議院としてはちゃんと腰を押し付けて、長期的に見る。ましてや今回は過去最大規模の予算で、ねじれ国会で勢力図も違う。つまり、民意の受け止め方がそれぞれの院によって違ってきているので、それぞれの院できちんと審議すべきだということ。参議院は『良識の府』。長期的な生命線で見たときに一番よかろうというところで、今回はストップをかけたし、ちゃんと審議時間を確保した」
■「住専」抗議で予算委室前に座り込む異例の出来事

伊藤氏は過去の印象的な出来事として、「1996年に起きた“住専(じゅうせん)国会”における新進党の座り込み」を挙げた。
1996年3月、予算委員会で住専予算を強行採決しようとする与党に対し、当時の新進党の議員、高市氏や河村たかし氏らが「ピケ(ピケッティング)」と呼ばれる座り込みを行い、物理的に委員長や与党議員が部屋に入れないようにブロックをした。
当時の映像が紹介されると、伊藤氏は「(高市氏も)この時は身を挺して…。住専の予算削除だったが、やっぱりこの強行的なやり方はまかりならんということで。これはすごく強いやり方だと思う。河村たかしさんも後ろにいる。すごいレアな映像」と語った。
(『わたしとニュース』より)
