イランとベネズエラ崩壊は、中国と北朝鮮にも致命的大打撃…!いま、金正恩が最も怯える悪夢のシナリオ
2026年に入ってからベネズエラ、イランのそれぞれのトップを排除することに成功した米国・トランプ政権。
世界が激震している中、「この状況に戦々恐々としているのが北朝鮮の金正恩」と、元韓国国防省北朝鮮分析官を歴任し、現在は拓殖大学客員教授の高永竽氏は指摘する。
前編記事『イランの次の標的は北朝鮮なのか…?元韓国国防省北朝鮮分析官が説くトランプ政権による「金正恩斬首作戦」の実現可能』より続く。
中国&北朝鮮にも大ダメージ
2026年1月初頭、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が米軍特殊部隊によって寝室で逮捕され、ニューヨークの法廷へ移送された事件は世界を驚愕させた。これはかつてのパナマの最高司令官ノリエガ将軍の拘束を彷彿とさせる作戦であったが、21世紀に現職の国家元首を直接連行したという点でその重みが異なる。
続いて2月28日、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師が米・イスラエル合同空爆「エピック・フューリー」作戦により、多数の側近幹部とともに殺害されたニュースは、国際政治のパラダイムを完全に変えた。イランの神政体制を支えていた頂点の権威が物理的に破壊されたのである。
トランプ政権のこうした動きは、過去の「戦略的忍耐」や「外交的修辞」を完全に廃棄したことを意味する。米国は今や国際法的な論争よりも、「米国の安全保障」と「実存的脅威の除去」という名目の下、直接的な軍事行動を選択している。
ベネズエラとイランは大手産油国であり、イランが輸出する原油の80%以上を中国が輸入している。ベネズエラも石油輸出量の約80%を中国が輸入している。従って、ベネズエラとイランの崩壊は中国の両腕を切り落とし、中国経済に致命的な打撃を与える。
中国経済が崩れれば、北朝鮮へ繋がる送油管パイプラインが止められ、北朝鮮経済の崩壊を招きかねない。中国から北朝鮮へ原油を供給する送油管は、北朝鮮のエネルギー需給の「生命線」だ。供給量は毎年約52万トン(約380万バレル)と推定され、これは国連安保理の北朝鮮に対する制裁における原油の供給上限年間400万バレルに近い。
金正恩が恐れる「斬首作戦」
専門家であれば、次のターゲットとして金正恩を挙げる理由は明確だ。マドゥロの「逮捕」とハメネイ師の「殺害」は、北朝鮮が最も恐れる二つのシナリオをそのまま具現化したからだ。
米軍の最新鋭ステルス戦闘機やドローン技術は、平壌の幾重にも重なる防空網が「張り子の虎」に過ぎないことを立証した。ハメネイ師とその側近で行われる指揮部会議は、極秘裏だったにもかかわらず、米国には筒抜けだった。
また、これまで韓米が訓練してきた「斬首作戦」が、単なる脅しではなく、実戦で即座に実行可能なメニューであることを示したとも言えるだろう。
ハメネイ師殺害に使用された米・イスラエル合同空爆「エピック・フューリー」作戦の核心は、AIベースの情報統合と超精密打撃だ。以下、北朝鮮を標的にした場合を例にして、具体的にシミュレーションしたい。
まずは、米サイバー軍が北朝鮮の指揮統制・情報通信網(C4I)を無力化し、低軌道軍事衛星群が金正恩の動線を24時間追跡する。ヒューミントを活用し、地下バンカー内の具体的位置をリアルタイムで把握する。
次は、F-35AやB-21米軍の最先端ステルス爆撃機が平壌の防空網を無力化して進入。6枚の回転刃で標的を襲う精密ミサイル兵器「R9X」(通称:忍者爆弾)や、世界最強クラスと言われるバンカーバスター(地中貫通爆弾)GBU-57を使用し、民間人被害を最小限に抑えつつ指導部のみを「ピンポイント打撃」する。
殺さずに拘束することが目的の場合は、デルタフォース(米陸軍の対テロ特殊部隊)や米海軍の特殊部隊ネイビーシールズから独立した「DEVGRU」(米陸軍の対テロ特殊部隊)が夜間に浸透し、指導部を連行・圧送するシナリオが考えられるだろう。
斬首作戦は実行可能なオプション
「金正恩はハメネイの死を目の当たりにし、極度の不安を露わにしている」と、多くの韓国メディアが報じた。
北朝鮮は「自分たちは核保有国だ」と強弁し、攻撃を受けたとしても報復を予告しているが、核兵器が実際には使いにくい政治的武器であることは歴史が証明している。核はどうせ使えない兵器だから、在来戦争(通常戦)は絶えず続いているのが事実である。
米国の作戦方式が「圧迫」から「斬首」へ旋回したことで、朝鮮半島の緊張も臨界点に達した。
もはや斬首作戦は軍事演習のシナリオの中にのみ存在するのではなく、いつでも実行可能な「オプション」となったのである。米国は、自国民や米軍がテロ攻撃を受けた場合、いつか必ず報復を行う。
イランと北朝鮮は、米国が指定したテロ支援国家である。北朝鮮は2017年の再指定以降、現在までその状態が維持されている。イランは1984年に指定され、最近ではトランプ大統領はイランを「テロと憎悪の国家」として強力に批判している。
一方、イランは1979年のイスラム革命以降、米国を「大サタン」(Great Satan)と規定し、直接的な軍事挑発のほかに、代理勢力を通じた挑発を特徴としている。
北朝鮮は、これまでも米軍の偵察資産を直接攻撃したり、板門店などの境界地域で米軍兵士を殺害したりするなど、直接的かつ物理的な挑発を敢行してきた歴史がある。
米国人の大学生オットー・ワームビアは、2015年末に観光目的で北朝鮮を訪問したが、出国を前にホテルで政治宣伝物を盗もうとした容疑で逮捕された。ワームビアは17ヶ月間抑留された後、2017年6月13日に解放された。
しかし、昏睡状態で帰国してからわずか6日後の2017年6月19日に死亡した。この事件を受け、米国政府は北朝鮮を再び「テロ支援国家」に再指定した。
米国によるマドゥロやハメネイ師の「排除」は、「独裁者の主権はもはや絶対的ではない」という21世紀型の軍事行動である。
一方、今年の3月11日、プーチンはトランプとの電話会談で、「イラン問題について政治的・外交的解決の必要性を強調した」と報じられている。トランプには「ロシアを味方にして中国を封じ込める狙い」がある。ロシアの本音は、中国を最大の潜在的敵国・脅威として受け止めているのである。
斬首作戦の成否は、単に標的を排除する技術を超え、周辺強大国の介入をいかに効果的に遮断し、朝鮮半島の状況を安定的に管理できるかにかかっていると言えるだろう。
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