未成年のSNS依存をめぐる裁判で、アメリカ・カリフォルニア州地裁の陪審団は、InstagramやYouTubeのアルゴリズムなどの仕組みが中毒性を高め、危険性の周知を怠ったとして、運営企業側の責任を認める評決を出した。

【映像】SNS依存が原因で亡くなった被害者の“遺影”

 ニュース番組『わたしとニュース』では、裁判の評決と今後のSNSのあり方について、政治分野のジェンダーギャップ解消を目指す「FIFTYS PROJECT」代表の能條桃子氏とともに考えた。

■9億5000万円の賠償額…SNS依存でうつ病

 カリフォルニア州に住む女性らが、幼少期にSNSに依存しうつ病になったのは企業側に原因があるとして提訴していた裁判。陪審団の評決で、企業の責任については懲罰的賠償を含めて、合わせて600万ドル、日本円でおよそ9億5000万円とされた。責任の割合はInstagramを運営するMetaが7割、YouTubeの親会社であるGoogleが3割となっている。一方、MetaとGoogleは評決を不服として控訴する方針だという。

 この評決のあと、SNSによって自ら命を絶ってしまった子どもの母親たちが記者会見を行った。

「法廷に立ち陪審員の答えを聞くことができました。私たちが何年も声を大にして訴えてきたことが完全に裏付けられました。彼らはその危険を知っていたのでしょうか。彼らは被害に気づいていたのでしょうか。彼らはリスクを承知の上で突き進みました。しかし私はこれらの企業が現在そして将来にわたって、子どもたちが安全に利用できるプラットフォーム設計のために必要なことを実行してくれることを強く望んでいます」

「そして話題をAIに移しますが、これはさらに深刻な問題です。なぜなら私たちがこうして話している間にもAIチャットボットによって子どもたちの命が失われている。それは決して許されることではありません」(被害者家族)

 CNNによると、訴えを起こしたケイリーさん(20)は、6歳からYouTubeを使い始め、1日に6時間〜7時間アプリを使用していたこともあった。Instagramは9歳から使い始め、スマートフォンの記録によれば2022年3月には1日16時間以上も使用していた。

■「自分で制限できなかった」能條氏が語るSNSの中毒性

 この一連の流れと裁判の結果について、能條氏は「この裁判は本当に重要だと思っている。私自身も子どもの頃からスマホがあって、InstagramやYouTubeがもっと使いやすい状況だったら、自分で制限できなかったのではないかと思う。それくらい中毒性がある。どういう風に脳の快楽を刺激するのか、引き出すのかをすごくよくわかって、ハックして作っていると思う。それを子どもが自分の能力で管理するのは難しいこと。そういう力は大人になるにつれてつけていく」と見解を述べた。

 さらに、企業側の仕組み作りについて言葉を続けた。「このInstagramもYouTubeも、じゃあ企業はなぜそれを作っているかといえば、それを使っている人たちがたくさんいることによって広告収益などを得ていて、企業の儲けにつながっている。できるだけ長くいてくれた方が企業は儲かる仕組みになっている中で、子どもたちの時間を自分たちのマーケットの市場としてどこまで開発していいのかがこの裁判で問われているのだろうと思う。日本でもいろいろな問題が起きていると思うので、今後も注目したいし、日本でもこういう裁判がもしかしたら出てくるかもしれない」。

 海外に目を向けると、オーストラリアでは昨年12月から16歳未満のソーシャルメディアの使用を禁止する法律が施行されている。世界的にそのような流れになっていくのか、それともプラットフォーム側が自制していくことになるのか。今後の動向に注目が集まる。

「例えば、映画とかも倫理的に年齢制限を作っている。そういう風に年齢によってこれは良い・悪いとか、どこまで制限するかというのはやってきたことで、それがソーシャルメディアにも求められている」(能條氏)

(『わたしとニュース』より)