『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

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 3月第4週の動員ランキングは、『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』が週末3日間で動員34万6000人、興収4億4500万円をあげて4週連続1位。公開4週目にして前週との興収比で125%と大幅に数字を伸ばしていて、今年の春休み興行の覇権を確固たるものとしている。

参考:『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の立役者 ライアン・ゴズリングのハンサムオーラの凄み

 初登場作品では最上位となる3位につけたのはフィル・ロード&クリス・ミラー監督、ライアン・ゴズリング主演のSF大作『プロジェクト・ヘイル・メアリー』。オープニング3日間の動員は23万3000人、興収は4億800万円。IMAXをはじめとするラージフォーマット上映で強さを見せていて、興収では動員2位の『私がビーバーになる時』を上回って2位。1位の『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』にも肉薄する好スタートをきった。

 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の比較対象として最も参考になるのは、同じアンディ・ウィアー原作の映画化作品で、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』同様に原作がSF小説ファンから高い支持を得ていた、2016年2月に日本公開された『オデッセイ』だろう。リドリー・スコット監督、マット・デイモン主演の同作のオープニング3日間の動員は41万9400人なので、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の動員はその半分強の56%ということになる。

 もっとも、この「動員半分強」という初動成績をそのまま作品の興行価値の差とすべきではない。『オデッセイ』の最終興収は35.4億円だったが、その当時はまだ普及過程にあったラージフォーマット上映で強さを見せている『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ならば興収20億円は狙えるだろう。体感的にも、原作ファンや映画ファンは盛り上がっているものの社会現象というほど盛り上がってるわけではない、(たとえばクリストファー・ノーラン作品のように)監督や役者の名前に特別な集客力があるわけでもない、ちょうど10年前の『オデッセイ』と今回の『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の興行にはかなり近いものがある。もしそこに大きな差が生じてしまうとしたら、それは2016年と2026年の日本における洋画興行そのものの差と言えるのではないだろうか。

(文=宇野維正)