40代夫婦ふたり暮らし「賃貸マンション」のメリット・デメリット。身軽さの一方で感じるモヤモヤ
身軽さが魅力の賃貸マンション。「気軽さがある一方で、避けられない不便さもある」と話すのは、持ち家率の高い地域で築35年の賃貸マンションで夫婦ふたり暮らしをしている深尾双葉さん(42歳)。ライフスタイルの変化を経て実感した、賃貸暮らしのメリット・デメリットを語ります。

メリット1:身軽に生きていける

抱えるものはできるだけ少ない方がいい。それが、私たち夫婦で共有している価値観です。
現在、ふたりともフリーランスとして仕事をしているため収入に波があるため、住宅ローンという長期の大きな負担を抱えないということは、経済面だけでなく、精神的な安定にもつながっているように感じています。
そのときどきの状況に合わせて暮らし方を柔軟に選べるということは、私にとってとても大きな安心材料です。賃貸という住まい方は、その時代の流れに合わせて軽やかに生きていきたいと考える私のスタイルにとてもよく合っているように思います。
振り返ってみると、20代、30代、40代と、価値観は自分でも驚くほどに大きく変化してきました。若い頃には想像もしなかった興味や関心が生まれ、暮らし方や大切にしたいものも、少しずつ変わってきたように思います。
これから先、旅先で思いがけず心惹かれる場所に出合うかもしれないし、ある街の空気に魅了されて、ここで暮らしてみたいと思う日が来るかもしれない。そんなふうに、ふとしたきっかけで人生の景色が変わることもあるのだと思います。
そう思い立ったときに、身軽に動けるということ。場所に縛られることなく、今の自分にとって心地よい場所へ移っていけるという自由さ。それもまた、私が賃貸という暮らし方を選び続けている大きな理由の1つです。
メリット2:近所づき合いがほどよい距離感

賃貸マンションは、ご近所とのつき合いが希薄だとよく耳にします。確かに、顔を合わせる機会は多くありませんし、お互いの生活を深く知ることもほとんどありません。けれど私にとっては、その距離感がとても心地よく感じられています。
お隣の方とは、顔を合わせたときに軽く言葉を交わす程度。エレベーターで一緒になった方とは、「今日も寒いですね」「いいお天気ですね」といった短い会話をすることもあります。
ほんの数秒のやり取りですが、そのささやかな交流が、暮らしに温かさを添えてくれるように感じています。
昔ながらのご近所づき合いには、もちろん憧れもあります。季節の食べ物をおすそ分けしたり、困ったときに助け合ったり、そんな関係性はとてもすてきだなと思います。
けれど、賃貸マンションの暮らしにはまた違った気軽さがあります。町内会や当番などに縛られず、いい意味でお互いの生活に踏み込みすぎない、お互いの暮らしをそっと尊重し合う関係性が、今の私たちにはちょうどよく心地よいと感じています。
メリット3:固定資産税や修繕費がかからない

固定資産税や修繕費がかからないことも、賃貸を選ぶ大きな理由のひとつです。
持ち家だった実家で暮らしていた頃、修繕やメンテナンスに多くの費用や手間がかかる様子を見てきました。ある日は「天井から雨漏りがしているみたい」、またある日は「瓦を直さないといけない」「塀の塗り直しをしなければ」といった具合に、住まいというものは、建てて終わりではなく、手をかけ続けていくものなのだと知りました。
私の実家は、住宅とは別に歯科医院も構えていました。建物が2つあるということはそれぞれに固定資産税がかかり、修繕や設備のメンテナンスにも費用が必要になります。大人になってからその話を聞いたとき、歯科医院のローンを払いながら、2つの建物の固定資産税や修繕費を負担し、さらに子ども2人を育ててくれた両親の大変さにあらためて驚かされました。
家や仕事場を守りながら家族を育ててきた両親の姿は、私にとって今でも誇らしいものです。だからこそ私は、少し違った暮らし方を選んでいます。建物を所有することで生まれる責任や負担を抱えるのではなく、もう少し身軽に、そのときどきの状況に合わせて暮らしていく生き方です。
賃貸であれば、建物の大きな修繕や管理の多くはオーナーや管理会社が担ってくれます。住まいに関する心配ごとが少ない分、自分の時間やエネルギーを、仕事や暮らしそのものに向けることができます。
両親のように大きなものを守り続ける生き方もすばらしい。そして私は、抱えるものを少なくして軽やかに生きる道を選ぶ。どちらが正しいというわけではなく、それぞれの人生に合った選択なのだと思っています。
デメリット1:高齢になると借りにくい

賃貸は、高齢になると借りにくいという話を耳にします。一方で、空き家の増加などから、高齢者にも貸す流れが広がるのではという見方もあります。実際のところ、これから先どうなっていくのかは、まだわかりません。
ただ、貸す側の立場で考えてみると、孤独死などのリスクがあると言われる高齢者に対して、なかなか積極的に部屋を貸しづらいという気持ちがあるのも、ある程度理解できるような気がします。
その一方で、管理体制や防犯対策、設備の定期的メンテナンスなど、賃貸マンションの環境を考えると、むしろ高齢者の暮らしに向いている面も多いのではないかと感じることがあります。
戸建てでひとり暮らしをするよりも、人の気配が近くにある環境の方が、心強く感じられる場合もあるのではないでしょうか。
けれど現実には、年齢が上がるにつれて部屋を借りにくくなるという話を聞くことも多く、少しもどかしさを感じてしまいます。
これから社会の状況が変わっていくなかで、高齢になっても安心して住まいを選べる環境が、少しずつ整っていくといいなと思っています。
デメリット2:老朽化しても改善されないことが多い

現在住んでいるマンションは築35年ほどになります。洗面台や台所、ブレーカー、窓ガラスなど、建った頃から変わらず使われ続けている設備がいくつもあります。
長いときを経てきた建物の雰囲気には、どこか味わいのようなものも感じますが、暮らしているとやはり古さを感じる場面も少なくありません。
賃貸マンションの場合、設備が老朽化していても、完全に壊れてしまわない限りは取り替えられたり改善されたりすることは、あまり多くないように思います。
たとえば、エアコンも最近の節電タイプとは違い、昔ながらの電気を多く使うタイプのものが設置されたままになっています。窓ガラスも単板ガラスなので断熱性が低く、結露が出やすいのも少し気になるところです。古い建物に暮らしていると、こうした小さな不便が積み重なっていくこともあります。
もちろん、オーナーと相談して設備を新しくすることができても、費用をこちらで負担することになるケースが多いようです。そうなると、賃貸の家にどこまでお金をかけるべきか、少し迷ってしまうところでもあります。
暮らしのなかで「ここがもう少しこうだったら」と感じる部分があっても、自分の思いどおりに自由に変えられるわけではない。そうしたモヤモヤが残るところは、賃貸マンションのデメリットの1つなのかもしれません。
