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◆「イラン戦争」は両者が"勝利宣言"をして停戦へ
まず、多くの投資家を悩ませている今回の「イラン戦争」についてだが、結論から言えば、すでに戦争は8合目を迎えていて、終結へ向けたカウントダウンに入っているのではないだろうか。プロイセン(現ドイツ)の軍事理論家、クラウゼビッツの言葉を引くまでもなく、トランプ米大統領にとっては、イランへの攻撃は「政治の手段」に過ぎないからだ。
確かにこの戦争の背景には、伝えられている通り様々な事情や思惑があるのだろう。米国が中東での石油利権の拡大を狙ったことも確かだろうし、イランの宿敵であるイスラエルの謀略に乗せられてしまったという可能性もあるだろう。米国内ではエプスタイン問題から国民の目をそらすのが目的だという見方さえある。
日々、様々な情報がメディアを通して伝えられる。だが、それに過度に惑わされるべきではないだろう。今回の戦争では、イスラエルは国内の右派を、イランは革命防衛隊を強く意識せざるを得ない。したがって、両国からはタカ派的な発言が発信されがちだ。だが、戦闘終結に向けた交渉は、常に秘密裏に進められるものだ。交渉は難航するだろうが、双方が「出口」を探っていることは間違いがない。
いま、米国のマーケット関係者の間でささやかれているメインシナリオは、遠くない将来、米国とイスラエルによる攻撃終結宣言とイランによるホルムズ海峡の開放が実施され、平時に回帰するというものだ。イスラエルが強硬な姿勢を崩さない可能性もあるが、そうなれば、中間選挙を控えたトランプ大統領が、自国に大きなダメージが及ぶ前に、ある段階で今回の戦争から一方的に手を引く。トランプ大統領はすでに「体制転換」は望んでいないと発言をしているし、アフガニスタンやイラクの時のように、地上兵を動員することも望んでいない。もし、そんなことをしたら、ただでさえ低下していた米国内のトランプ大統領への支持率が大きく落ち込んでしまうからだ。
一方、イランの報復攻撃もセンセーショナルに伝えられがちだが、冷静に見てみれば、米国軍に死傷者が出るような攻撃は避けていて、本気で全面戦争をする気などないことが分かる。ボクシングでは判定決着時に、最終ラウンドのゴングが鳴った時に両選手が手を挙げて勝利をアピールすることがある。そのようなイメージで事態は収束に向かうのではないか。米国としては、敵の最高指導者の首を取り、敵軍を弱体化させたことは間違いないのだから堂々と「勝利宣言」をすればいい。片やイラン政府も、米国とイスラエルから自国を守ったと国内外にアピールできる。幸か不幸か、戦争にはボクシングのような判定決着はない。だから、双方にとってはそれで十分なはずなのだ。
開戦以来、日本を含めたアジア各国の株価の下落と比べて、米国の主要指数の株価がそれほど下落していないのも、株式マーケットが今回の戦争の進展について、状況を冷静に捉えているからだ。もちろん事態が長期化すれば、いかに中東への石油依存度が高くないとは言え、米国でもインフレ圧力は高まっていく。先週開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)でのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言は、その良い警告となったのではないだろうか。
◆TACOならぬ"TASOトレード"が発動、米国株は急騰局面に突入
では事態収束後、株式マーケットはどのように動いていくのか。ここで重要なカギを握るのが、ベッセント財務長官の助言だ。株式マーケットは、相場が大きく動くときは暴走するという性質を持つ。下落相場の時は、空売り筋が仕掛けて、必要以上に株価を下げる。ウォール街出身のベッセント氏は、当然こうしたマーケットの性質を熟知していて、空売り筋の動向も観察している。そして、空売りが積み上がり、行き過ぎたと判断した時にトランプ大統領に助言をし、大統領自らが空売り筋を締め上げる。その後は、強烈な踏み上げ相場がやってくるというわけだ。
