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意外かもしれないが、いまのAIの進化を考えれば、動画配信世界最大手のネットフリックス も、淘汰の対象となる可能性があると見ている。確かに同社は、映像ビジネスの世界で革命を起こしてきた。ワーナー・ブラザース・ディスカバリー の買収騒動に見る通り、既存の映像事業者に比べれば、収益力ははるかに高い。だが、これは言ってみれば「プロ」に対する優位性であって、いまの映像ビジネスの潮流は、主体が「アマ」へと移っていることを忘れてはならない。YouTube動画の隆盛が証明しているが、「アマ」がAIによって「プロ」に負けない能力を発揮できる環境になれば、同社のビジネスモデルの優位性が根底から覆る可能性がある。
そしてもう1社、"大穴"銘柄として挙げたいのは、エネルギー・インフラ企業のコンフォートシステムズUSA だ。税制優遇などでハイテク企業の集積しているテキサス州を地盤としていて、地味ながらもいわゆる「HALO(陳腐化されない実物資産)」銘柄の典型例と言える。業績も絶好調で、右肩上がりのチャートの形もすこぶる良い。日本企業に例えれば、最先端企業の集積地区に特化したきんでん <1944> とでも言える存在だ。
◆エヌビディアの株価上昇はカタリスト次第か
最後に「イラン戦争」という突発的な出来事によって注目がそれてしまったが、本来、米国株市場で最も大きな問題だったハイパースケーラーのAIへの過剰投資にも触れておきたい。端的に言えば、エヌビディアの株価が足踏みしているのはなぜかということだ。26年1月期の好決算に続いて、先日、開催された年次開発者イベント「NVIDIA GTC 2026」でもジェンスン・フアンCEOは素晴らしい、夢のある発表をした。だが、市場の反応は冷ややかだった。
やはりこれは、現在のAI開発競争の中で、エヌビディアがオープンAIを中心にした"スターゲート連合"に属していると目されていることが大きい。マーケットは依然として、この連合の"循環投資"と言われても仕方がない資金の流れに対する懸念を払拭できていないのだ。
米主要指数の上値が重いのも、突き詰めればこの連合への市場の評価が定まらないからだ。逆に何らかのカタリストが生じて、エヌビディアの株価が上抜けるようなことがあれば、競合のブロードコム やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ 、アマゾン・ドット・コム 、アルファベット 、マイクロソフト 、メタ・プラットフォームズ などを含めて、ハイテク各社の株価も持ち直し、主要指数も上昇トレンドを取り戻すだろう。
カタリストとして一つ、可能性が考えられるのはオープンAIの上場だ。年内にも予定していると伝えられるこのイベントが成功すれば、米国株市場の流れを一変させるかもしれない。だが現時点では、しばらくはAI関連の主力企業の上値余地は限られると考えるべきだろう。
【著者】
小川浩一郎(おがわ・こういちろう)
岩井コスモ証券投資調査部長/チーフアナリスト
1967年生まれ。外資系コンサルティング会社で戦略立案、M&Aアドバイザリー等に従事した後、投資ファンドで投資実務や資産運用に携わり、2006年、岩井コスモ証券に入社。現在は米国株式を中心に外国株式に関する業務全般を担当。テレビ東京「Newsモーニング・サテライト」、インターネット配信「ストックボイス」等に随時、出演。長年の市場分析経験を生かしたストーリー性のある銘柄・セクター分析に定評がある。社団法人・日本証券アナリスト協会検定会員、米国公認会計士・米国証券アナリスト・有資格者。
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