【櫛田 泉】嵐の札幌ラストツアーでホテル難民が大量発生したワケ…ファンの「友人の分も予約」「とりあえず予約」で普通のホテルが1泊20万円に
日本を代表する5人組男性アイドルグループ・嵐のラストツアーがついに幕を開けた。
『ARASHI LIVE TOUR 2026 "We are ARASHI"』の始まりを飾ったのが、2026年3月13日から15日までの3日間開催された大和ハウスプレミストドーム(札幌ドーム)公演だ。全国5大ドームで15公演を行う本ツアーは、5月31日に東京ドームで千秋楽を迎える。
前編記事〈《相葉雅紀の震える声》に会場中の嵐ファンが大号泣…「明るい曲なのに涙がとまらない」札幌ラストツアー参加者が初めて経験した「切なすぎる熱狂」〉では、札幌を訪れた嵐ファンのラストツアーにかける想いや、ファンが感動した嵐のメンバーのステージ上の言動などを紹介している。
ただ、札幌では、こうした大規模なライブが開催されるたびにホテルの宿泊費高騰やキャパシティ不足が問題となっている。
実際、大手予約サイトを確認したところ、直近まで1泊2万円程度だった札幌市内のビジネスホテルは、翌13日から14日にかけて1泊3〜5万円程度にまで高騰。宿泊先の確保や宿泊費の高騰に苦しんだ嵐ファンは少なくない。
札幌開催のラストツアーに参加したファンは宿泊費にいくら払ったのか。札幌にホテルを取れなかったファンはどうしたのか。そして、なぜこのような問題が起こるのか。
嵐のラストコンサートで起こったホテルのキャパシティ不足に迫る。
嵐ファンの宿泊事情
今回、札幌開催の嵐のラストツアーに参加したファンの宿泊事情はさまざまだ。
ライブ会場からスムーズに帰れる札幌駅周辺のホテルを取れたファンもいれば、札幌駅から電車で約1時間半かかる旭川駅周辺のホテルを取らざるを得なかったファンもいる。
東京都北区の30代会社員の女性は札幌市内の格安ホテルに泊まるという。
「今回の予算は15万円。なるべくグッズなどに多くのお金を使いたかったので、宿泊先は1泊3000円のカプセルホテルです。札幌市内のホテルは軒並み高騰していましたが、ネットで粘り強く安い宿を探して、ようやく3月5日に予約を取ることができました。飛行機も片道13000円くらいの格安便を使いました」
1泊20万円まで宿泊費が高騰
また、札幌で2泊する予定の千葉県船橋市の20代会社員の女性は、1泊3万円の札幌市内のビジネスホテルの予約が取れたそうだ。ただ、残り1泊はホテルの予約がうまくいかず、友人とカラオケボックスに宿泊するという。「カラオケボックスでは、嵐の曲を一晩中かけて思い出に浸ります」と笑っていた。
ちなみに、ホテルでの宿泊を諦めてインターネットカフェに流れる人も多いという。
そんな中、札幌のホテルの宿泊費が一番高かったのが、九州の宮崎県延岡市からやってきた60代の元教師の女性だ。
「札幌市内のホテルに2泊で20万円近く支払いました。1泊目が約5万円、2泊目が約15万円です。最後のライブなのでお金に糸目を付けず奮発しました」
一方、福岡県北九州市の40代保育士の女性は、旭川のホテルを選ばざるを得なかったという。
「札幌の当選が確定してすぐにホテルの予約に動いたのですが、その時は普通のホテルでさえ1泊20万円まで高騰していて、いったんは予約を諦めました。
その後、JRが深夜の時間帯に旭川行の臨時特急を運行するということを知ったので、1泊9000円ほどの旭川のビジネスホテルを取りました。札幌駅を23時16分に出る臨時特急で1時間半かけてホテルに向かいます」
1時間半かけて旭川のホテルに…
ライブ初日の3月13日、JR北海道ではライブ終了に合わせて、深夜の時間帯にかけて旭川行の2本の臨時特急列車を運行した。札幌駅を22時5分に発車する特急カムイ95号と、同駅を23時16分に発車する特急ライラック97号で、旭川駅までの所要時間は1時間半ほどだ。
こうした臨時列車があったことから、札幌市から約140km離れた旭川市にホテルの予約を取ったファンは多い。
筆者もライブ終了後のファンを追って旭川に向かってみることにした。
まず、およそ5万人の観客が札幌ドームから出られるようになるまで相応の時間を要し、札幌駅を22時5分に発車する特急カムイ95号に間に合わなかったファンは多かったようだ。インターネット予約システムの座席表ではほとんどの座席が埋まっていたものの、実際には多くの空席を残して発車していった。
そのため、旭川に宿泊予約を取った大半のファンが集中したのは、23時16分発のライラック97号だった。車内は、うちわなど嵐のグッズを手にした女性たちで通路やデッキまで立ち席客が出るほどの混雑で、ライブ終了直後の熱気と余韻にあふれていた。しかし、乗車マナーはとても良く、大きな混乱は見られなかった。
旭川駅到着は日付が変わった0時47分。旭川駅を降りた島根県松江市の20代会社員の女性は、「会場では開演前から涙が止まらず、とにかくすべてが最高でした!」と興奮気味に語り、深夜の旭川の街に消えていった。
なぜホテル難民が生まれるのか
北海道では、こうした大規模なアイドルのライブが開催されるたびに、ホテルのキャパシティ不足が指摘される。札幌駅から特急列車で1時間半ほどかかる旭川のホテルに予約が殺到したり、札幌市内のホテルが取れず右往左往するホテル難民が大量発生したりするからだ。
ただ、札幌市内でホテルを経営するオーナーは、「アイドルのライブのたびに札幌市内のホテルに空室がないと騒ぎになりますが、実は、開催当日でも市内のホテルにはけっこう空室があります」と明かす。
「北海道の冬の観光シーズンは2月のさっぽろ雪まつりがピークで、今は落ち着いている時期です。夏のシーズンにはこれ以上の観光客が北海道に来るので、人気アイドルのライブだけで札幌のホテルがパンクするとは考えにくい。
実際は、キャパシティが足りないのではなく、異常な価格高騰の結果、お客さんが支払える価格の部屋がなくなってしまっているだけなのです」
こうした状況に大きな影響を与えているのは、一部のアイドルファンの予約行動だという。
「今回の嵐のラストツアーで言えば、まず11月に日程が発表された直後、とりあえずホテルだけ押さえる方が一斉に動き出しました。この中には、その時点で泊まるかどうか定かではない友人のために一人で複数のホテルを予約する方も一定数います。札幌のホテルが早いうちに満室になるのはこのためです。
その後、ライブの抽選結果が出たタイミングで落選した方によるキャンセルが大量に出ますが、今度はライブに当選した方々が予約の争奪戦に参加します。当然ながら安い部屋はすぐになくなります。キャンセルが出るとしても五月雨式。常に空室の情報をチェックできない方が手頃な価格のホテルに泊まれず、ホテル難民になっている印象です。
ただし、実態としてホテルに空室はあるんです。需要に応じて宿泊価格が変動するダイナミックプライシングの影響で、価格が異常に高くなってしまったホテルの部屋は売れ残っている。これらはとりあえずの予約が殺到した結果、高騰した部屋です。
ちなみに、直接ホテルに電話をしてみると、高騰化した部屋でも意外に良心的な値段で泊めてもらえる場合があります。ホテル側も、空室のままにしておくより、少しでもお客さんを入れた方が利益になりますからね」
ホテル難民を生まないために
オーナーの話を聞いて、友人のためとはいえ一人で複数のホテルを押さえる行動が個人的にはひっかかった。この点について嵐ファンはどのように思っているのか。話を聞いたところ意見は割れているようだ。
千葉県船橋市の20代会社員の女性は肯定的だ。
「ジャニオタの行動としてはありがちで、特に目新しい話ではありません。そういうものだと割り切っているため、私は特に気にしていません。ただ、札幌のホテルは以前よりキャンセル不可のところが増えたように感じられました」
一方、札幌市内のホテルに2泊するのに約20万円を支払ったという前出の60代元教師の女性の心境は複雑なようだ。
「今回は嵐のラストツアーということだったので奮発しましたが、正直、こういう方のせいで価格が吊り上がっている状況はどうかと思います」
嵐のライブは今回で最後となってしまったが、他のアイドルのライブは今後も札幌で開催されるだろう。ただ、とりあえずホテルを予約するといったファンの行動やシステム任せのダイナミックプライシングが変わらない限りは、ホテル難民はこれからも何度も発生する。
果たして、ホテル側と宿泊客側の双方にとって好ましい状況と言えるのだろうか。双方にとってより利用しやすい形態となるよう何らかの対策が望まれる。
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