『ばけばけ』写真提供=NHK

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 髙石あかりがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『ばけばけ』が現在放送中。松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々を描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。

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 第120話では、ついにヘブン(トミー・バストウ)が『怪談』を書き上げる。そのきっかけは、トキ(髙石あかり)がヘブンに「学がない私でも読めるの本、楽しいの本、書いてくれませんか」とねだったことだった。

 この展開について制作統括の橋爪國臣は「オリジナルといえばオリジナルなんですが、小泉八雲って突然『怪談』を書くんです」と切り出し、こう続ける。

「八雲は熊本時代から日本人の精神性だったり、難しい政治の話だったり、すごく高尚なことを書き続けてきたんです。でも、晩年に突然『骨董』と『怪談』という二種類の民話集を出すんです。そこにどんな気持ちの変化があったのかはわからなくて、“もともと民話に興味があって、最後にそのタイミングが来ただけ”という説もあるし、“熱がどんどん高まっていったから”という説もある。いろいろな説がある中で、このドラマでは“怪談に興味があった2人の思いが、どう発露したのか”をオリジナルアイデアとして、トキにあの言葉を言わせることにしました」

 第24週の演出を担当したのは泉並敬眞。第120話では、トキがリテラリーアシスタントとして怪談を集め、語り、ヘブンが書く、という流れがテンポよく描かれたが、「泉並も相当気合いが入っていました。演出に関しては、『(アニメ映画の)『ルックバック』のようにしたい』とも言っていましたね」と振り返る。

「ただただ怪談を語っているだけなんですが、それが2人の愛の距離感に見えたらいいなと。2人のひとつの愛の集大成みたいなものだと思うので、そこがちゃんと感動的に見えるように、『2人の関係性ってこうだったよね』という瞬間が音楽と共に流れていく。台本には“『怪談』を作っていく2人”として、『雪女を語るトキ』『戸板に貼られていくメモ。』といったト書きが10個ほど書かれていましたが、それを泉並が20個、25個に増やしてカットを割り、畳みかけるような演出に仕上げました」

 だが、同話のラストには『怪談』を目にしたイライザ(シャーロット・ケイト・フォックス)が、不服そうに「なぜ最後に、こんな幼稚な……」とつぶやく場面も。

 橋爪は「(イライザの参考人物である)ビスランドも後世的には絶賛していますが、当時『怪談』に対してどう思ったのかはわからなくて。今回はドラマの都合上、イライザ経由で『怪談』を発表することになりますが、現実はちょっと違っていますし、アメリカのパートをすべてイライザに背負わせているところはあります」と説明する。

 そんな『怪談』の完成を喜ぶトキとヘブンだが、「すべてがうまくいっていたわけではない、ということを第25週では描いていきたい。そのフックのひとつとして、最後にイライザにあのセリフを言わせたということですね」と橋爪。

 実は、楽しげに見えるトキにも抱え続けた“ある思い”があるといい、「本当の幸せとは一体何なのか。この人たちの生き方は、いったい何だったのか。最終週でもそこを追求していきたい」と次なる展開を予告した。

 物語は、いよいよ次週で幕を閉じる。ヘブンを呼ぶトキの声が響く予告映像も胸に迫ったが、2人にどんな結末が待っているのか。心して見届けたい。(文=nakamura omame)