小さい頃 大人に陰部を見せられ…『ダメ』『嫌だ』性犯罪から身を守る言葉を伝えたい 「早すぎることはない」保育所での性教育
保育所で学ぶ「プライベートゾーン」
心と体の成長に性教育は欠かせません。
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「早すぎることはない」として、今、少しずつ幼児への取り組みが広がっています。
子ども達は、どんなことを学ぶのでしょうか。
NPO法人 せいしとらんし熊本 中村和可子理事長「パンツと肌着で守っている場所は自分だけの大事な場所」
子ども達に語りかけるのは、性教育に取り組むNPO法人「せいしとらんし熊本」の中村和可子さんです。
熊本県益城町の保育所で、年長組の園児に絵本を使って「体について」話しました。
テーマは胸や性器、口などを意味する「プライベートゾーン」です。
体のことに興味を持ち始め、着替えなどを1人ですることが増える小学校入学を前に、まずは自分の体について知ることから始めます。
『それやめて』と言えるように
中村さんは「プライベートゾーンは自分しか見てはいけない秘密の場所」と伝えます。
中村理事長「だから、触られて嫌と思ったら『それやめて』って言って大丈夫」
中村理事長「なんかされて嫌だなと思ったら、誰がいる?」
子どもたち「先生」「お母さん」
中村理事長「いつも3人ぐらい頭に思い浮かべられたら、とってもいいよ。何かあるときにその人にお話したらいいからね」
この園では開園直後の6年ほど前から、性教育の時間を取り入れています。
幼い頃の園長自身の体験がきっかけでした。
性・生殖だけが「性教育」ではない
はなえみ保育園 岩本淳子園長「小さい頃に、知らない大人に陰部を見せられたことがあり、それが良いことか悪いことか分からなかった。『これはダメ』『嫌だ』と言える判断基準が子ども達にあったら良いなと」
そのため、就学前のこの時期に伝えたいのは「自分の命や体を大切にすること」。
それが分かれば、相手を思いやる気持ちにつながると話します。
中村理事長「性教育というと、生殖を思いがち。何より自分って大事なんだ、自分のことを大切にしようって思える気持ちを育てる。自尊心や自己肯定感を作っていくことが人に嫌なことをしてはいけないという気持ちに発展していく」
この時期の子どもは、遊びのつもりでトイレを覗いたり、友達のズボンを下ろしたりすることがあるため、どちらの子どものためにも、幼児への性教育の必要性を訴えます。
中村理事長「大人になって、小さい頃に受けた被害に気付いて、深く傷つく人が結構いる。何が起きたか知らなかったから分からないので、知らないことを幼少期から『何となく知っている』『何か分かる』に変えていく。何かあっても誰かに助けてもらえるという経験をしてほしい」
この保育所では、保護者が子どもと一緒に学べる機会も設け、子どもへの伝え方などについて理解を深めています。
中村理事長「一番の基本は日頃の関わり。排泄の時とかに『いいうんちがでたね、拭こうか』『パンツを脱ごうか』とか。そういう声掛けが一つの性教育と思う」
自分の身を守るため「早すぎることはない」
一方で、幼児の性被害も深刻です。
熊本県内では、2019年から2022年ごろにかけて、勤務する保育所で園児にわいせつな行為をしたとして、保育士だった男(53)が1月までに強制性交等などの罪で起訴されています。
警察によりますと未就学児が被害を訴えた不同意性交等事件の2024年の認知件数は全国で28件。過去15年で最多でした。
自分の身を守るためにも幼少期から学ぶことに「早すぎることはない」と話すのは熊本大学大学院の秋月百合 准教授です。
性と生殖の健康が専門 熊本大学大学院 秋月百合准教授「自分の体は自分のものであって、他の誰のものでもない」
秋月准教授「自分だけではなくて体が大事だから、周りの人にとっても同じこと。性被害を予防するだけでなく、性加害を生み出さないということにもつながっていく」
被害を避けるためだけでなく、万が一、被害を受けた場合も子どもが早く気付くことで、犯罪の抑止にもつながると話します。
徐々に広がりつつある幼児への性教育。
発達段階に応じて、まずは「自分の命と体が大切」という土台づくりが求められています。
