ユニット、相棒、夫婦……バリエーション豊かな「コンビVTuber」の活動スタイルを解説
1月30日、にじさんじから新人バーチャルライバーの白砂あやねと水面まどかのふたりがデビュー、初配信を行った。公式ではふたりは女子高生の親友コンビユニット「うみゃみー」として活動することが発表されている。
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白砂あやね・水面まどかのデビュー時には公式からの詳細なアナウンスはなかったものの、歌ってみた動画「【歌ってみた】青空Jumping Heart 【にじさんじ / うみゃみー】」の中のワンカットを見ると、ふたりが「VTAペアオーディション」の合格者だったことが示唆されている。
「バーチャル・タレント・アカデミー(VTA)ペアオーディション」とは、にじさんじのライバーとしては異色な、コンビでの活動を前提としたタレントを募集するもの。このオーディションは2024年5月30日にANYCOLOR株式会社から発表され、応募条件として下記のような項目があげられていた。
・ペアとなる応募者が親しい関係であること。・ペアとなる両者が、本オーディションに応募する必要があります。・継続的に活動ができる、かつ優先的にスケジュールを調整できる方。・都内での面接にご参加いただける方。・週に20時間以上(週5日程度の都内での夜間レッスンが含まれます)の活動スケジュールを確保できる方。・経験問わず、学ぶ姿勢のある方。・未成年者の方がご応募される場合は、親権者の同意が必要となります。
今回は、多種多様なVTuberがいるなかで「コンビ」というスタイルをとるタレントたちについて掘り下げてみたい。二人組のコンビでVTuber活動をする例は数多く見られるが、それぞれのスタイルは3つに大別できる。
〈1〉それぞれが個々のチャンネルを持ちつつ、ユニット活動用のチャンネルもある場合〈2〉最初から一つのチャンネルでふたりが活動している場合〈3〉チャンネルはそれぞれ個別で、コラボを頻繁に行うユニットの場合
今回は、この3通りのスタイルについて、実際に活動するコンビVTuberの例をいくつか取り上げてみよう。とはいえ、全てのタレントを取り上げることはもちろん難しい。もしあなたのオススメのコンビがいれば、教えていただけると幸いだ。
■「それぞれが個々のチャンネルを持ちつつ、ユニット活動用のチャンネルもある場合」
にじさんじのペアオーディション募集が開始された際、イメージとして採用されていたのが、笹木咲と椎名唯華のコンビ「さくゆい」だった。ふたりはそれぞれ個別にデビューし、各々のチャンネルで活動を行っていたが、2018年に「しぃさー」としてコンビを結成。その後、笹木咲の卒業と復帰を挟んで、2019年からは「さくゆい」としてあらためてコンビを結成しなおしている。
2021年からはコンビ活動用のチャンネルとして「さくゆいちゃんねる」が作られた。実のところ、そこまでコラボ頻度が多い訳ではないが、息がピッタリあった定番のふたり組として、VTuberファンの間でも知名度が非常に高いコンビだ。
同じくにじさんじ・叶と葛葉のコンビ「ChroNoiR」も、2018年のコラボで生まれたユニット。2018年8月からはOPENREC.tvで公式番組「ChroNoiR.tv」をスタートして活動が本格化し、2020年にはふたりのYouTubeチャンネルやX、公式ページも開設された。
2022年からはにじさんじの公式番組『くろのわーるがなんかやる』が毎週月曜日に投稿されるようになった。この番組はTikTokやInstagramにアフタートークをアップしていたり、2025年5月19日に武道館イベントが開催されたりと、幅広い展開が続いている。
ぽんぽことピーナッツくん(ぽこピー)も、それぞれがチャンネルを持って個別の活動をしつつ、ふたりのチャンネルがあるパターンの一組だ。ピーナッツくんはぽんぽこの兄(兄ぽこ)をご主人様とする5歳児で、アニメや音楽制作などクリエイターとしての活動がメイン。ぽんぽこのチャンネルの動画ではピーナッツくんがほぼ毎回登場するものの、あくまでもゲストとして参加しているという扱いだ。このふたりも2025年4月からポッドキャスト配信をおこなうチャンネルとして「ぽこピーのゆめうつつ」をスタートさせ、正式にコンビチャンネルが誕生した。
このスタイルの利点は、個々の活動のブランディングがきちんと守られつつ、ふたりの活動の足跡もはっきり残せるところだろう。コンビだけでなく、複数人ユニットにまで幅を広げればにじさんじの「VOLTACTION」「Speciale」「すぷれあ」や、hololive DEV_ISの「ReGLOSS」「FLOW GLOW」など、同期ユニットがそれぞれチャンネルを開設し、ユニット活動の動画をアップしているケースも多い。
■「最初から一つのチャンネルでふたりが活動している場合」
続いて紹介するのは、複数のタレントがひとつの共同チャンネルを運営するケース。たとえばホロライブENの「FUWAMOCO Ch.」は、2023年7月から活動している双子の魔界の番犬、フワワ・アビスガードとモココ・アビスガードのふたりがひとつのチャンネルを共同で使用している。どちらかがソロで配信することもあるが、基本的にはふたりで配信するのが活動の主軸になっている。
このように、最初から二人組ユニットとしてひとつのチャンネルで活動する例はVTuberでも多く見られる。有名なところでは「おめがシスターズ(おめシス)」もそれに当てはまる。おめシスは2018年3月にデビューした姉妹VTuber・おめがレイとおめがリオのふたりが運営するチャンネルで、現在ではバーチャルと実写を融合させながら活動の幅を広げている。
吸血鬼のコーサカと狼男のアンジョーによる音楽・エンタメユニット「MonsterZ MATE」も、ひとつのチャンネルで活動しているユニットだ。初期はふたりの会話とMVがメインコンテンツだったが、最近は多様なゲストを招いて大勢でのトークや企画を展開することも多い。界隈や事務所の垣根を越えたゲストが集結することもあり、幅広いファンからの支持を集めている。
ソロでの活動から、途中からコンビになるケースもある。たとえば「HIMEHINA Channel」は、元々は田中ヒメがひとりで運営するチャンネルだったが、その後鈴木ヒナが合流し、ユニット「HIMEHINA」として活動を開始。エンタメの幅をぐっと広げ、現在では実力派の音楽ユニットとしてライブ開催や企画動画など、さまざまなコンテンツを展開している。
富士葵とキクノジョーによる「Aoi ch.」も、活動の途中でスタイルが変形したユニットチャンネルだ。元々は富士葵がソロで企画動画やMV、歌ってみた動画を投稿していたが、裏方として富士葵をサポートしていたキクノジョーが正式にVTuberとして活動をスタートさせると、レギュラー化。現在ではふたりでさまざまな企画にチャレンジするユニットとして定着している。
VTuberがプライベートを明かすことは珍しいが、なかには夫婦で運営していることを公言するタレントも。「Peaky Hikers - ピーキーハイカーズ」のメイローとアルピナのふたりは元々は夫婦であることを公言していなかったが、その後結婚していることや子供がいることも打ち明けている。ふたりは「群馬県」「農業」「演劇」を3本の柱として、様々な動画をアップ。最近では自作の米6トン以上を一週間で完売させ話題になったことも記憶に新しい。
「天宵家-amayoike-」も、VTuberである天宵らてと天宵マキアの夫婦がチャンネルを運営している。コーヒーインストラクターとして、コーヒー&カフェに特化した専門的な内容を取り扱っており、コーヒー豆の販売など2.5次元的活動もおこなっている。
カップルチャンネルであることを売りにしているVTuberも、多くはないが存在している。記事を執筆している2026年2月現在、リアルタイムで人気を伸ばしているのは「うづしろ@百合カップルVTuber」のチャンネル。クール系お姉さんの鈴村うづきと、天真爛漫な如月しろるのカップルは、付き合い始めてはや10年にもなるという。雑談配信を中心に活動しており、ふたりの仲睦まじい様子を視聴者に届けたり、寄せられた恋愛相談に答えたりと、カップルチャンネルらしいコンテンツが展開されている。
こうしたコンビで運営するチャンネルは、活動全体をまとまったコンテンツとして見せやすいことが利点としてあげられる。また、複数人体制ならではのメリットとして、企画立案から動画編集やサムネイル作り、広報活動から、経理など、多岐にわたる作業を分業できることも挙げられる。
■「チャンネルはそれぞれ個別で、コラボを頻繁に行うユニットの場合」
コラボユニットとして活動はしているものの、ユニットのチャンネルを持っているわけではないというコンビVTuberは、紹介しきれないほど存在する。
一例として、ホロスターズの夕刻ロベルと、個人活動者の神楽めあのユニット「ロベルないとめあ」を挙げたい。コンビの結成は2022年にVTuber・犬山たまきのチャンネルで行われた逆凸配信がきっかけ。神楽めあが夕刻ロベルにアポなしで逆凸をした結果、「年内に10回サシコラボをする」という無茶な約束をしてしまったのだが、実際にやりはじめてみると二人の会話の相性が抜群に良く、以降定期的にコラボがおこなわれている。2025年1月にはリアルイベント『ロベルないとめあ~函館でトラベルリアリティする我々~』を開催するほどの人気ユニットとなった。
にじさんじの舞元啓介とジョー・力一による「舞元力一」は、同名のラジオ番組を長く続けているユニットだ。ラジオ自体のチャンネルは作られておらず、ふたりのチャンネルのどちらかで配信される。それ以外にもコンビでのゲーム実況や歌動画などもアップされており、ふたりの活動はジョー・力一がまとめたプレイリストからみることができる。このふたりは2020年1月にロフトプラスワンで公開録音イベントを行っており、かなり早い時期におこなわれたリアルイベントと言えるだろう。
ホロライブの儒烏風亭らでんと北白川かかぽの二人組「らでかぽ」も、コラボ頻度が多いユニットのひとつ。美術・工芸・伝統芸能に詳しい儒烏風亭らでんと、サイエンスコミュニケーターの北白川かかぽがふたりでロケに出かけ、美術館や工芸職人の元を訪れる動画がたびたび投稿されている。それぞれの持つ知見や視点が異なるため、美術・科学の両面から作品にまつわる手法や技術を掘り下げる様子を楽しむことができる。なお、この「らでかぽ」コンビはふたりだけの活動のみならず、他の学術系VTuberが参加して大勢で博物館巡りやクイズ大会などを行うこともある。それぞれの鋭い視点や、知的好奇心を満たしてくれる内容になることが多く、こちらも好評を博している。
弁護士VTuber・ながのりょうと、法律系VTuber・じゃこにゃーの「ながじゃこ」も、長くコンビを組んで定期配信をおこなっているユニットだ。配信では、法律にまつわるさまざまな疑問を取り上げて、「この場合は法的にどうなるのか」と二人が議論を交わしていくことが多い。たとえば「人物写真をイラスト化してネットに上げる場合、どんな問題が生まれるのか」「裁判がずっと開かれなかったらどうなるのか」など、テーマに沿って法律について考える対談型のコンテンツになっている。
個人の活動が主軸となるVTuberの場合は、コンビでの活動頻度に縛られず、気楽にできるこのスタイルがユニットとしてやりやすいだろう。どちらのチャンネルで企画動画の投稿、配信をするか、という部分での譲り合いは多くの人が考えているようで、どちらか固定の場合もあれば、それぞれのチャンネルで交互におこなうこともある。活動頻度や期間が長くなってくると、過去の活動記録を振り返りづらくなるという難しさはあるものの、舞元力一のように再生リストなどを駆使すれば補えるだろう。
冒頭で紹介した「うみゃみー」の白砂あやねと水面まどかが、どのようなスタイルでユニット活動を行うのかは現時点ではっきりと告知されていない。2月9日からスタートした朝雑談を見る限りでは、、コラボの際はどちらかがゲストとしてもう片方のチャンネルに出演する方向でいくようだ。とはいえここまでの配信アーカイブを見る限り、まだそれぞれ個人で活動をはじめたばかりなので、まずは自身を足元を固めるところから、という空気は感じられる。
「いつか自分の声や描いた物語で、たくさんの人を楽しませたいと思っている」という白砂あやねと、「いつか自分の作品をアニメにして、みんなに届けるのが夢」という水面まどか。クリエイター気質の仲良しふたり組が、今後どのような形でコンビVTuberの魅力を見せてくれるのか、それが新たなファン層の獲得に繋がるかなど、彼女たちの成長がとても楽しみだ。
(文=たまごまご)
