プランの立て過ぎで「石橋をたたき割る」人の末路…他人のアドバイスで“勝機”を逃す人とPDCAより「まず挑戦」で結果を出す成功者の差
富裕層向け投資家ビザに特化して100億円以上の申請業務に携わる中で、20年、2万人以上の成功者の歩みを詳細に知る機会を得た著者の大森健史氏は、そこから見えた「シン富裕層(※)」の共通点を、閉塞感を抱く日本人、とりわけ若者に伝えるべく、本書の発刊に至った。本記事では、大森健史氏の著書『進化するシン富裕層』(日刊現代)より一部を抜粋・再編集して、「シン富裕層」が語る起業や働き方のコツについて解説します。(※親が裕福だったわけではなく元々は「ごく普通の人」でありながら、インターネットやスマートフォンの普及を背景とした起業、暗号資産、動画配信、情報ビジネスなどを通じて、わずか数年で一代にして巨万の富を築いた新しいタイプの富裕層)
プランの立て過ぎで「ごく普通の人たち」の仲間入り
私がお会いしたビジネスオーナー型のシン富裕層の人の多くは、ビジネスで「面白いかも」「これ、なんとかなるんじゃないか」とひらめいた瞬間に、実行に移しています。一方で、一般的な考えをもつ日本人は、プランを立て過ぎてしまう人が多いと思います。
たとえば起業しようと考えたとき、「自分の起業アイデアと似たようなものをやっている人が、すでにいるんじゃないか?」「これで本当にお客は来るのか?」「もっとしっかりと準備をしなくてはならない……」などと慎重に対応します。
けれどもひらめいたアイデアは、プランを細かく立てれば立てるほど、たいていつまらない話になります。そしてプランを立て過ぎて、「石橋をたたいて渡る」ならぬ、「石橋をたたき割る」になってしまうのです。
起業しようという人は、PDCAを気にし過ぎてはいけません。PDCAとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価・確認)・Action(改善)のサイクルを回すべきだという、ビジネスの考え方です。成功しているシン富裕層は、PDCAを気にかけなくても成功しています。
他人への相談が成功を遠ざける
さらにシン富裕層は、人への相談をほとんどしません。人があまり思いつかない斬新なアイデア、つまり人に簡単には理解されにくいことが、一番面白いわけですから、誰かに相談することに時間を割くより、誰よりも早く挑戦してみた方がいいのです。
けれども「普通の考えをもつ人たち」は、たいてい身近な家族や偉いと見做されている人に相談します。先輩や友人、家族などの身近な人は、起業する人を心配したり、その人のために良かれと思ったりして、あれこれとリスクを挙げては、もっとよく考えさせようと、あるいは止めようとしてきます。そして出てくるアドバイスは「その起業アイデア、似たようなことをやっている人を知ってるよ」「まだ早いんじゃない」などです。
多くの人はサラリーマン的な発想で、「身の丈以上を目指さない方がいい」という思考回路なのです。アイデアが面白ければ面白いほど、今までにない未知のものということで、だいたい反対意見にあうものです。だから相談すればするほど、大事な「本人のモチベーション」が削られてしまうのです。
この現象は、ラーメン屋を開こうとしている人に「ラーメン屋なんて、街中いたるところにあるじゃん」と言って止めようとしているようなもので、どうでもいい不必要な忠告です。ラーメン屋はおいしいかまずいか、あるいは衝撃的な辛さなのか高級食材を使うのか、インスタ映えするように盛り付けやボリューム感で勝負するのか、内装に凝るのかといった特徴の打ち出し方などで客の入りが決まってくるもので、後からどれだけ新規参入をしたって構わないはずです。
新たなビジネスプランを用いた起業も、これと同じことだと言えるでしょう。
相談といえば、起業しようというとき、融資先から紹介された中小企業診断士の相談窓口に行ったり、会計士や税理士に相談したりする人も少なくありません。しかしそうした士業の人たちは、ほとんど起業自体(または、士業以外の起業)をしたことのない人ばかりです。起業もしたことのない人にビジネスプランの相談をするなど、冗談のような話です。はっきり言って、そうした相談はあまり意味がありません。
やり方を変えて、より面白くするのがコツ
私は海外移住や海外の投資家ビザ取得サポートという、当時日本ではおそらく誰もやっていないような事業で起業を試みたのですが、「海外移住の手続きを誰かに任せたい」という潜在ニーズが顕在化する前だったために、事業を安定させるまでにものすごく時間がかかってしまいました。事業を軌道に乗せるまでの苦労は並大抵ではなかったのです。
そういう意味では、面白いと思ったことで起業をするべきなのですが、「誰もやっていない事業」で起業をするのは、あまりおすすめではありません。とくに、初めての起業についてはそう言えるでしょう。
ここは起業しようとする人が陥りやすいところでもあります。どうせやるなら「誰もやっていない事業」をと考えがちです。しかし、私が知るシン富裕層の人たちは面白いかどうかにはこだわりがありますが、誰かがやっているかどうかはさほど気にしていません。逆に言うと、すでに誰かがやっている事業でもNGではないということなのです。
要は、誰かがすでにやっていても、やり方を変える、より面白くする、ということの方が重要だと私は思います。そうして、最初に起業した事業が軌道に乗ってきたら、いよいよ「誰もやっていない事業」に挑戦するという順番の方が成功の確率は高くなります。
迷ったら難しいと感じる道を選ぶべし
「迷ったらやる」人がシン富裕層、「迷ったらやめる」人が普通の考えをもつ人たちだということはすでに書きました。シン富裕層は、「失敗も経験」だと割り切って挑戦するのが特徴です。
さらにシン富裕層からの教えとして、「迷ったら難しそうでも面白そうな道を選ぶべし」ということがあります。ただしこれは、自分が迷っているときに限ります。迷っているということは、難しい道にも価値があると、自分でも認めているからです。
たとえば今の会社に勤め続けて、40歳になったら年収が800万円になる見込みだとします。転職したら仕事が大変になるかもしれないけれど、同年齢で年収が1,200万円になるということであれば、転職してみる価値があります。転職して、大変になる上に年収も変わらない、つまり得るものが同じということであれば、当然、簡単な道を選んだほうがいいでしょう。難しい方にリターンがなかったら、誰もが迷わず即決で「ないな」と判断するはずです。
もしそれでも転職しようかと迷うというときは、自分の中で年収以外の「得られるものがある」というメリットを感じているからでしょう。仕事内容や、そこから得られる将来的なスキルなどです。
「迷うなら難しい方」という教えには、「早めに難しい方を経験した方がお得」という意味も含まれています。難しい方を仮に10年も続ければ、後からどれほど優秀な人や企業が参入してきたとしても追いつかれることはありません。「完全に超えられない差」を作ることができるのです。
シン富裕層は、自分の価値をより高く売れるところを探します。「普通の考えをもつ人たち」は、自分の一番の強みをメインにして仕事選びをしがちですが、それは必ずしも正解とは言えません。
たとえば英語が得意な人は、「通訳や翻訳家になろう」「英語教師になろう」、あるいは「商社マンになって海外を飛び回ろう」といった発想になります。つまり、自分の一番の強みである英語を武器にできる職業です。確かにこれは誰もが考えつくことだと思います。
しかし、ちょっと想像してみてください。そういう職業には英語が得意な人がわんさかいて、そこで突出するのは容易ではありません。よほど特殊な能力がなければ「その他大勢」「ワンオブゼム」になってしまうのがおちです。
そこでシン富裕層的な発想をするにはどうすればいいのでしょう。答えは、「英語が得意」だという自分の価値と同じものを持っている人がいないところに行くべきなのです。たとえば、これから海外に打って出ようというITベンチャーだったり、地方の大きな会社だけれど英語ができるような人がいなくて困っているところだったりすれば、特に努力をせずとも今の自分のままで一番高く売れる、という状況を作ることができるのです。
要するに、競争優位性が高くなる環境を見極め、そこに身を投じるべきだということです。それが「自分の強み」を最大限に発揮することになるのです。
大森 健史
株式会社アエルワールド
代表取締役

