マース ジャパン 国分純子氏「オンラインを『売る場』から『価値を生む場』へ」
マース ジャパン 国分純子氏「オンラインを『売る場』から『価値を生む場』へ」
2025年のマーケティングおよびメディア業界は、急速な技術進化と市場構造の変化が重なり、これまで当たり前とされてきた前提が揺らぎ始めた1年だった。とりわけAIの進化は、ツールの域を越え、マーケティングにおける生産性と創造性の前提を書き換えつつある。加えて、検索、ソーシャル、コマース、生成AIといった接点が絡み合い、顧客体験の「入り口」そのものも分散・再編されはじめた。Digiday Japan恒例の年末年始企画「IN/OUT 2026」では、当メディアとゆかりの深いブランド・パブリッシャーのエグゼクティブたちにアンケートを実施。2025年をどのように総括し、そして2026年に向けてどのような挑戦とビジョンを描いているのか。その声を紹介する。マース ジャパンで、コネクテッドコマース事業部 事業部長を務める国分純子氏の回答は以下のとおりだ。◆ ◆ ◆
――2025年のもっとも大きなトピック・成果は何ですか。
今年は、オンラインプレミアム市場形成のため「売るチャネル」から「価値を生む場」へと質的転換に挑戦した1年でした。Amazonや楽天をはじめとするプラットフォームはメディア領域で、主にコンバージョン改善のためのパフォーマンスマーケティング最適化から、ブランド体験を設計する凝縮したフルファネルへとスコープが拡大し、需要創出・評価形成・購買を一気通貫で設計できるようになってきました。CARSで商品の情報量・質・露出状況を計測し、商品とブランドがオンライン上で「選ばれやすい状態にあるか」を可視化する仕組みを整備し、CRM・データ基盤の整備も進みました。プレミアム商材のオンライン上でのタッチポイントを最適化できる土台作りができる中、単なる売上成長ではなく、オンラインプレミアム市場への消費者の期待値はより一層高まりました。企業と消費者が一体となった信頼と価値観を形成する必要性を強く感じています。――2026年に向けて見えてきた課題は何ですか。
一方で来年に向けて浮かび上がったのは、オンラインの接点だけで選ばれ続けるブランドになる難しさです。全世界的に価格が上がる中、ブランドとして商品として成長し続けることはそう容易ではありません。価格に見合う付加価値とは何なのか、リアルな体験も合わせてメーカーも本格的に良質な体験設計を求められていると切に感じています。プレミアムカテゴリーは高単価+体験価値というロジックに寄りがちですが、実際には細やかな信頼の積み上げによって成り立つ領域だと思います。そのため、今問われているのは、誰がデジタル上のプレミアム体験を設計するのか。デマンドチームはオンラインで求められる価値認識を持っているのか。価格とプロモーションの構造はブランドとしてコントロールできているのか。課題はさまざまですが、売り方の最適化が先行し、価値の設計と組織コラボレーションが追いつかないギャップが課題として顕在化してきたと思います。――2026年にチャレンジしたいことを教えてください。
2026年は、オンラインで育った市場と顧客接点を「売れるブランド」から「信頼され続けるブランド」へとデマンドチームで再定義する1年にしたいと思っています。リテールメディアの深化は、単なるデジタル広告の最適化ではなく、価値形成と体験の設計として再構築し、データを用いて多様化する消費者ニーズを理解することへの紐づけを実施していくことが求められていると感じます。また、プレミアムカテゴリーの再設計、一貫した価値へのコミュニケーション、計画的なプロモーションによる成長に加え、差別化されたブランド価値をデジタルのタッチポイントでも伝えきることへシフトすること、インフラのアップデートも最重要です。CARS、CRM、データ基盤を用いて、本当に求められている価値を刷新し伝え続けることで、オンラインコマース市場を「販売の伸びしろ」から「価値の成長領域」の両軸に転換する、挑戦の1年になると思います。
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