Daiichi-TV(静岡第一テレビ)

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なかなか出口の見えない令和のコメ騒動。食用米の値段が高騰する一方で、お酒造り必要な酒米が手に入らないという声も…。その現状を取材しました。

新米がおいしい季節。農水省が10日に発表した(9月29日~10月5日までの)スーパーのコメの販売価格は4205円(5キロあたり)、5週連続の4000円台で、依然、高い状態が続いています。

(徳増 ないる キャスター)
「コメの高騰が長引く中、その影響はこんなところにも…。日本酒を作る酒蔵です」

静岡・島田市にある大村屋酒造場。大井川の伏流水に恵まれ、地元に根差した酒造りを行う老舗の酒蔵です。杜氏の日比野哲さんは一連の米騒動で、酒造りの現場にも変化が起きているといいます。

(大村屋酒造場 杜氏 日比野 哲さん)
「大きな影響がありますね。おコメがなければお酒は作れないのでそこが一番の問題ですね。酒造りって、酒造好適米と言われる酒米だけではなくて食べるお米、飯米も実際は使っているんですね、なので、両方が大変なことになっているので、もうとてつもない影響があります」

食用米の高騰で酒米が足りない。いったい、お酒造りの現場に何が起きているのでしょうか?

島田市にある大村屋酒造場200年近く続く老舗の酒蔵。この酒蔵では、食用米が高騰している影響で、酒造りをするための「おコメが足りなくなっている」というのです。

酒蔵では、一般的に秋に収穫した酒米を主な原料にして冬にお酒を仕込みます。秋に欲しいコメは前年の11月には注文するのですが…。

(大村屋酒造場 杜氏 日比野 哲さん)
「『どれくらい入りますよ』というのが5月くらいに来るんですけれど、その返答が来たのですけど、半分以下なんですよ」

その後、5月時点での見通しよりは好転したものの、現状でも発注の7.5~8割しかコメの入手のめどが立っていないといいます。

静岡県内全般の状況はどのようになっているのでしょうか。静岡県酒造組合を訪れました。組合では、県内に27ある酒蔵から希望の入荷量を募って集計し、農協を通じて全国各地の酒米を発注。入荷量や価格を酒蔵に伝えています。

静岡県酒造組合 服部 康宏 事務局長)
静岡県で使っている酒造好適米に令和誉富士というお米がありますけれども、作付けの段階で約75%くらいの収穫量しかないのではないかと春先から言われていた」

注文した量に対して75パーセントしか供給できないということです。

酒造組合によると、食用米との比較では、、もともとは酒米の方が高かったものの、食用米が高騰したことで酒米の価格に迫るか追い抜いている状況だといいます。

静岡県酒造組合 服部 康宏 事務局長)
「食べるおコメの方の価格が上がっていることによって、農家さんの生産がそちらの方にシフトしたと。全国のおコメで酒造好適米の生産量が減っているということで、蔵元が非常にお酒造りに苦労している」

値段の高騰による食用米へのシフト。それが酒米が足りない理由の大きな一因となっているんです。

これは、大村屋酒造場に酒米を収めている北川英行さん(67)。島田市内でコメを栽培していて、すでに2025年の刈り取りは終わり、後作であるレタスの植え付けを行っていました。

(コメ農家 北川 英行さん)
「うちは大きく分けて酒蔵さんに卸す酒米と食用米、両方やっているんですけれども。基本になるのは食用米の方で、必要な量を食用米で確保して、残りを酒米という形で」

食用米と酒米の両方を約半々ずつ栽培していましたが、食用米の価格高騰と需要の高まりを受けて2ヘクタールある農地の内、2025年は10アールを酒米から収益性の高い食用米に変更したといいます。

一方で、酒作りを応援したい気持ちもあると話します。

(コメ農家 北川 英行さん)
「自分の中でも食用米に変えたい気持ちはありますけど、それこそやはり酒蔵さんとのお付き合いもあるんでね」

一方で、もうひとつ酒蔵を悩まさている問題があります。それは、酒米自体の値段の高騰です。

(大村屋酒造場 杜氏 日比野 哲さん)
日本酒の中でおコメが占める原価がとても大きいので、それが1.7倍とか2倍近くなると、そこが一番大変なところになります。2.4000071これだけコメの価格が上がると(商品も)値上げはせざるを得ない状況ですね。来年以降どうなるのかも見極めながら値上げはしないとやっていけないかと思います」

酒造組合によると、2024年から2025年にかけての値上げ幅が特に大きくなっているといいます。食用米とともに跳ね上がっている酒米の値段。特に手ごろな値段の日本酒を主力商品とする酒蔵では死活問題です。そこで酒造組合では、県に対して補助金の支援を要望。県はこれを受け9月定例会で、県内産の酒米、令和誉富士の購入費を一部支援する補助金を決定しました。ただ…。

静岡県酒造組合 服部 康宏 事務局長)
「誉富士のお金の補助だけではごく一部でございまして、お酒造りに使う酒造好適米も誉富士以外にもありますし。他の一般のおコメも酒造りには必要ということでこの辺りについても。このあたりについても補助ができれば」

酒蔵では苦しい中、試行錯誤が続きます…。

(大村屋酒造場 杜氏 日比野 哲さん)
「酒造りを続けていくうえで、おコメってあるのが当たり前だと思っていたのが、昨年、ことしの状況になって、おコメの大切さ、あらためて身に染みたので、農家さんにとってどういう形でやっていくのがいいのか、私たちもどのように作って続けていくのか、消費者の方がどれくらいの価格で買っていただけるか、そういうのも全部考えながら酒造りをやっていかないとなと思います」