チリらしいクラブのひとつ、CDパレスティーノ。アイコンがなぜスイカ?「緑(皮)、赤(果肉)、黒(種)の3色がパレスチナと同じだから」【U-20W杯戦記】
なかでも人気ナンバーワンのクラブが、コロコロだ。1991年にはトヨタカップで来日しており、おそらく日本でもよく知られた存在だろう。
チリのサッカークラブで面白いのは、1900年代序盤、あるいは1800年代終盤に、移民によって創設されたクラブが多いこと。そして、そのルーツがそのままクラブ名に残されていることである。
そんなチリらしいクラブのひとつに、CDパレスティーノがある。
文字通り、パレスチナからの移民によって1920年に創設された歴史あるクラブだ。過去には2度、1部リーグで優勝も果たしており、クラブエンブレムの上に輝くふたつの星が、その偉業を表わす。現在も1部リーグに所属し、強豪としのぎを削っている。
とはいえ、ホームスタジアムであるエスタディオ・ムニシパル・デ・ラ・システルナ(システルナ区立競技場)は、収容8千人程度の小規模なもの。クラブスタッフのアミンさんによれば、「入場者数は1試合平均で2、3千人くらい」だという。
同じサンティアゴに居を構え、5万人近い観客を集めるコロコロやウニベルシダ・デ・チリなどには遠く及ばず、そのなかでクラブを運営していくことは、人気、実力の両面で容易ではないだろうと想像する。
しかし、「中東諸国出身の多くの人たちが、パレスティーノを応援してくれるし、世界中にいるパレスチナ系の人たちがこのクラブを知っている」とアミンさん。パレスティーノは、単にチリ国内のサッカークラブというだけでなく、「彼らのシンボル」(アミンさん)でもあるのだ。その熱の高さを示すように、インスタグラムのフォロワー数は一時100万人を超えたという。
クラブ創設から100年以上が経った現在、所属選手はパレスチナ系に限られているわけではない。U-20ワールドカップのチリ代表に選ばれ、日本戦にも左CBとして出場した、DFイアン・ガルゲスもこのクラブに所属する選手である。
だが、クラブのアイデンティティは、はっきりとしている。それを象徴するもののひとつが、“スイカ”だ。
スタジアム併設のクラブショップに入ってみると、サードユニホームがスイカ柄になっていたり、キーホルダーにスイカがあしらわれていたりと、やけにスイカが目についた。このあたりは有名な産地なのだろうか。あるいは、これからやってくる夏に合わせた季節商品なのだろうか。
そんなことを考えつつ、アミンさんに尋ねてみると、返ってきた答えは、「スイカの緑(皮)、赤(果肉)、黒(種)の3色が、パレスチナと同じだから」だった。
クラブの好意でスタジアムを案内してもらった時、ちょうど照明塔の工事中で、「今は昼間しか試合ができない」と冗談めかして笑っていたアミンさん。もちろん、U-20ワールドカップ終了後に再開するリーグ戦には間に合うことになっている。
U-20ワールドカップでは、地元チリがすでに敗退。リーグ戦再開を心待ちにするサッカーファンもきっと多いはずである。
取材・文●浅田真樹(スポーツライター)
【画像】貴重ショット5枚! チリの歴史あるクラブ、CDパレスティーノに潜入!
