昨今、ますます人気の〈日本ワイン〉。その生まれの地であるワイナリーはなにせ国内なので、小旅行感覚で足を運ぶことも可能。今回は、栃木のワイナリーを見学してきました。美しく広がる畑の眺望を愛でながらワインを味わえば、きっともっとワインを好きになりますよ。

誕生の物語からワイン造りまで魅力たっぷり『ココ・ファーム・ワイナリー』@栃木

ワイナリーは急斜面のブドウ畑の麓にある。見学は平均斜度38度というその畑を見上げて始まった。語られるのは、特別支援学級の生徒達のために山を開墾してブドウ畑にした物語だ。やがて障害者支援施設『こころみ学園』が生まれ、生徒の自立のためにワイナリーが作られた。

『ココ・ファーム・ワイナリー』自家畑にはマスカット・ベーリーA、リースリング・リオン、プティ・マンサンなどが植えられている。畑の平均斜度は38度。スキーのジャンプ台などに匹敵する急こう配。『こころみ学園』の生徒たちはここで農作業を行う

醸造施設を巡りながら野生酵母で醸すワイン造り、重機が入らないため手作業で行う畑仕事のことを教えてもらう。

「タンクの表面が凸凹しているのは何のため?」なんてクイズ仕立ての軽快なトークも楽しい。

『ココ・ファーム・ワイナリー』醸造場に並ぶ、ステンレスの仕込みタンク。大きなものでは2万2千Lもあるとか

答えは、表面に冷却水を流しているので触れる面積を多くするためとか。『こころみ学園』の生徒には、機械でやる検品を、人力で正確にこなす凄い能力の持ち主もいる。そんな話もユーモアを交えて飛び出すので、見学者は「へぇ〜」と目を丸くする。

トンネルのカーヴには、壁にシャンパーニュの父・修道士ドン・ペリニヨンに敬意を表した詩が書かれている。そんなところにもこのワイナリーの感性が垣間みえた。

『ココ・ファーム・ワイナリー』カーヴの中は12〜16℃とひんやり。ワインを樽に入れることで渋みがまろやかになるという

最後はスパークリングワインのコルクはなぜキノコのような形をしているのか、という謎解き。実際の打栓機を使って解明するので、見学者たちは興味津々。コンパクトなワイナリーだが、誕生秘話や魅力的なトークなど40分ほどの見学ツアーはあっという間で楽しかった!

『ココ・ファーム・ワイナリー』おすすめのワイン、左から「NOVO ブリュット2020」8800円、「風のルージュ2022」3300円、「プティ・マンサン2023」4510円

後はカフェのテラスや試飲カウンターでゆっくりするのもおすすめだ。

『ココ・ファーム・ワイナリー』

ココ・ファームワイナリー:スタッフ「適地適品種という考え方で、気候風土に合ったブドウを育てています。農作業から収穫まで人の手で行い、選果もひと房ずつ確認します。ていねいな手作業から生まれた日本ワインをぜひ味わってください」

『ココ・ファーム・ワイナリー』有料の試飲カウンターでワインを味見

[施設名]『ココ・ファーム・ワイナリー』

[住所]栃木県足利市田島町611

[電話]0284-42-1194

[営業時間]【ショップ】10時〜18時、【カフェ】11時〜16時(15時半LO)、土・日・祝は〜17時(16時LO)

[休日]【ショップ】年末年始、11月の収穫祭前日、1月第3月〜金、【カフェ】収穫祭前日と当日

[交通]JR両毛線足利駅、東武伊勢崎線足利市駅からタクシー利用で約18分

・ワイナリー見学/10時半、13時、15時:500円※10名以上は要予約。他、テイスティング付きセミナー(要予約)やテイスティング(有料)のみの体験も可能。詳細はhpを参照。

[HP]https://cocowine.com/

犬連れもウェルカム、畑を一望できるテラスも快適!『那須661ワインヒルズ』@栃木

耕作放棄地や別荘跡地を活用してワイン用ブドウの栽培を始めたサステナブルなワイナリーだ。那須連山の東南、標高約550mという清々しい気候にあり、総敷地面積は約91ha。なんと東京ドームの約20倍にも及ぶ。

『那須661 ワインヒルズ』ショップ前に広がるブドウ畑

広大な敷地ゆえ、まだ完成していない散策路もあるが、ショップとカフェを中心に、ログハウスが立ち並ぶ周辺や、ブルーベリー畑などを自由散策できる。

ショップのデッキにある「グリル」は、ブドウ畑を見晴らす開放的な場所。薪の香ばしい香りが漂っていて癒される。ショップには、ブドウだけでなくフルーツワインも多く揃う。ブドウと他の果実をブレンドしたワインもあってユニークだ。

『那須661 ワインヒルズ』醸造所近くにあるツリーハウス。キッチン付きで犬と一緒に宿泊も可能

自慢は自社農園で収穫したブドウを使った赤ワイン「MIZUKI」。メルローと野葡萄を交配させた新品種という。また自社農園のブルーベリー100%という本格ブルーベリーワイン「岩座」を始め、約20種のワインがある。

『那須661 ワインヒルズ』自家栽培の那須の雫と巨峰のブレンド「MIZUKI J 2024」3300円 (左)他

奥の試飲コーナーでグラスにワインを注いだら、敷地内は持ち出しOKとか。青空の下、デッキ前に広がるブドウ畑を散策しながらワインを飲むのもオツな気分だ。

『那須661 ワインヒルズ』店長 松本準人さん

店長:松本準人さん「母体は那須でもうすぐ100周年を迎える企業。那須の景観を守りたいという思いからワイナリーを立ち上げました。ブドウにとって快適な那須の気候で、良質なブドウや果実を育て、ワインを造っています」

『那須661 ワインヒルズ』ワインの他、自家農園のブルーベリーを使った商品も多い

[店名]『那須661ワインヒルズ』

[住所]栃木県那須郡那須町高久丙字海道下4515-13

[電話]0287-73-0661

[営業時間]【ショップ】10時〜17時※ハイシーズン、オフシーズンにより変更あり、【グリル】11時〜15時(14時半LO)※平日は事前の問い合わせ必須

[休日]年末年始、冬季は不定休あり

[交通]JR東北本線黒磯駅からタクシー利用で約20分

・ワイナリーガイドツアー/なし、自由散策可能。テイスティング/1100円。詳細はhpを参照。

[HP]https://www.nasu661winehills.net/

親子で手がける世界を見据えた日本の新しいワイン『Cfa Backyard Winery』

狭い入口を入ると、迎えてくれたのは可愛らしい女性だ。ここは足利市で75年続く清涼飲料水の会社が立ち上げたワイナリー。家業の傍ら、ワインのコンサルティングをしていた父の増子敬公さんと長女の春香さん、そこに次女・和香さんも加わっている。

『Cfa Backyard Winery』(左から)栽培責任者 増子和香(ノドカ)さん、代表・ワインメーカー 増子敬公さん、ワインメーカー 増子春香さん

ワインに使うのは甲州とマスカット・ベーリーAというふたつの日本品種のみというから、チャレンジに満ちている。

『Cfa Backyard Winery』赤の品種マスカット・ベーリーAで造る白ワインなど、個性的なワインが揃っている

その理由を春香さんは「シャルドネのように世界的なメジャー品種と比べると、この2種はまだ最高峰がどこかわかりません。可能性は無限にあると言えます」という。

醸造家である春香さんが解説するテイスティングは話に奥行きがあって面白く、品種の枠に囚われないワインは、POPなエチケットから想像したイメージともぴったりだった。

『Cfa Backyard Winery』テイスティングシートを使って行われる試飲は本格的。飲みたい4種類を自分で選ぶ

『Cfa Backyard Winery』家業のマルキョーの看板

[施設名]『Cfa Backyard Winery』

[住所]栃木県足利市島田町607−1

[電話]0284-72-4047

[営業時間]10時〜17時

[休日]土・日・祝、年末年始

[交通]東武伊勢崎線福居駅から徒歩約10分、東武伊勢崎線足利市駅からタクシー利用で約10分

・テイスティング:10時〜16時、4種1000円※定員4名程度。詳細はhpを参照。

[HP]https://www.winemaker.jp/

撮影/貝塚隆、取材/岡本ジュン

『おとなの週末』2025年7月号

※2025年7月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

…つづく「“ワインの角打ち”が人気 気軽に「飲めて買える」オススメ6軒」では、“飲めて買える”個性派店をレポートしています。

【画像】平均斜度38度!スキーのジャンプ台にも匹敵する勾配のブドウ畑(31枚)