『放送局占拠』妖が出したいくつかのヒント “のっぺらぼう”の真の正体が明らかに
妖の罠にまんまとハマり、遅効性のベニアカジョロウグモの毒が体に流れることになってしまった武蔵(櫻井翔)。さらに雑居ビルの一室に閉じ込められるわけだが、こうした罠に引っかかるのも、そこから難を逃れるのも今回が初めてではない。『大病院占拠』(日本テレビ系)の時には爆発に巻き込まれるし、『新空港占拠』(日本テレビ系)の時には首にマイクロチップが埋め込まれ、錆びたメスで取り出す選択に迫られたぐらいだ。しかし今回は、閉じ込められた状態のままで、現東京都知事の大芝(真山章志)の“闇”を明らかにすることを余儀なくされる。これは少々難儀である。
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8月2日に放送された『放送局占拠』(日本テレビ系)は第4話。武蔵はベニアカジョロウグモというヒントを指揮本部と共有しながらリモートで大芝の過去を洗い、閉じ込められた部屋に残されていた建設会社の資料から、大芝が推し進めていた再開発事業との関連を調べていく。そうしてたどり着くのは、“女郎蜘蛛殺人事件”と名付けられた、大芝の政策秘書だった女性が殺された事件。彼女は大芝と建設会社とのあいだで交わされた官製談合を内部告発しようとしており、その口封じが行なわれたことが明らかにされる。
そして、大芝に銃を向けていた“唐傘”の正体が、被害者の女性の夫・小笠原舷太(駿河太郎)であることが判明。ここまでの一連は、前回の“コックリさん”の一件とほぼ同じである。人質によって死に至らしめられた人物(今回の場合は極めて直接的なかたちではあるが)の身内による復讐だということ。同時に、報道によって事実やイメージが捻じ曲げられてしまったこと。だからこそ、“放送局占拠”というかたちの報復が選ばれたというわけか。ちなみに、指揮本部が小笠原について調べるところで、彼が映像制作会社の人間であることが確認できる。なるほど、だから生放送を唐傘が段取りよく仕切っていたわけだ。
過去の「占拠」シリーズ2作の例にしたがえば、次の第5話が前半戦の最終ラウンド。ここで武装集団の面が全員外され、彼らが占拠という手段を選んだ理由や目的を解き明かしていく方向へと物語が進み始めていく。それへ向け、今回のエピソードでは一気にいくつかのヒントが提示される。人質たちに刺されたがしゃどくろ(瞳水ひまり)の治療をした裕子(比嘉愛未)は、そこで般若から、彼ら妖の目的が“傀儡子”であることを教えられる。その名前を聞いて、人質である都知事選候補者の一人・沖野(片岡礼子)は何やら心当たりありそうな表情を見せていた。
また、無事に解毒剤を打つことができた武蔵も、大芝から「全部あの人がやったことだ」と、“傀儡子”という名前を聞かされる。大芝がそれを言う際に設置されたカメラを気にしていること、直後に椅子に仕掛けられた電流にかけられることからも、警察に通じている人間であることは明白だろう。『新空港占拠』の際にも“山猫”と呼ばれる、占拠事件の目的となる大きな黒幕が存在していたが、今回も武蔵に近いところにいる人物なのか。現状で可能性が高いのは、息子が人質になっている内閣官房長官あたりだろうか。
さらに大和(菊池風磨)と伊吹(加藤清史郎)のパートでも、見えざる存在がちらつく。収監されていた大和の前に現れ、彼をもう一度鬼にしたという“あの人”。伊吹にも「深く関係がある人」と大和はにおわせているが、こちらはおそらく“傀儡子”と対になる――いわば妖側の黒幕ということであろう。この黒幕二人の正体に、間崎(谷川昭一朗)と思いきや娘の菖蒲(北村優衣)らしい“のっぺらぼう”と大和が探すアジト、妖たちが探している放送局内にある“例の場所”も然り。後半に回収されるべき要素はまだ散らばったままであり、なにより、妖の一味である輪入道と座敷童もそろそろ現れてもいい頃合いである。
(文=久保田和馬)

