「べらぼう」に登場!史実、喜多川歌麿を育てた妖怪画の元祖・鳥山石燕の『百鬼夜行図巻』が圧巻すぎる

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今日までに描かれてきた妖怪画の中で、彼が描いた妖怪のエッセンスが入った作品はかなり多いのではないでしょうか?彼とは、江戸時代の絵師・鳥山 石燕(とりやま せきえん)です。

NHK大河ドラマべらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」では片岡鶴太郎さんが演じており、第18回放送で、唐丸(喜多川歌麿)に絵を教えた絵師として初登場。8月10日(日)の放送では歌麿と再開し、歌麿は正式に弟子入りを決意します。

『べらぼう』幻覚に苦しむ歌麿、妻となる”きよ”と出逢い、師匠・石燕との再会でいよいよ覚醒か

鳥山石燕「百鬼夜行絵巻」部分

喜多川歌麿や歌川派の開祖 歌川豊春を育てた人気絵師

石燕は江戸時代中期の絵師で、もともとは狩野派の門人として絵を学んでいた人物。歌人としても活動していました。当時、石燕の画業は評判が高く、多くの門人を抱えていました。

門人の中には、後に美人画の大化とも評される喜多川歌麿(きたがわうたまろ)や、江戸時代浮世絵界の最大派閥である歌川派の祖、歌川豊春(うたがわとよはる)などがおり、超大物を育てあげた人物でもあります。

喜多川歌麿「寛政三美人」

石燕が手がけた作品には妖怪画がとても多く、今日では鳥山石燕といえば妖怪画と言われるほど。美人画や役者絵も描いていたようですが、錦絵作品としての作品はほとんど確認されていないそうです。

石燕は水木しげるさんにも影響を与えた

石燕の代表作としては「画図百鬼夜行」が挙げられます。この作品は安永5年に刊行された作品で、百鬼夜行といえば様々な妖怪が集団で歩く姿が描かれるのが一般的ですが、この作品は1ページに一体の妖怪を描いた妖怪図鑑のような構成の作品となっています。

ゲゲゲの鬼太郎の作者である水木しげるさんも、画図百鬼夜行を始めとする石燕の作品にとても影響を受けており、水木さんの作品には石燕が描いた妖怪と同じ構図のものも確認できます。

妖怪画といえばこれ!水木しげるも参考にした、江戸時代 鳥山石燕による妖怪図鑑「画図百鬼夜行

石燕の妖怪画が紹介されるときにはこの「画図百鬼夜行」が紹介されることが多いのですが、この作品はモノクロであり版画作品なので、石燕の画力の程を伺うことができないのが残念なところ。

石燕の画力が存分に味わえる「百鬼夜行図巻」

やはり絵師の画力を知るには肉筆画がイチバン!ということで、今回は石燕が描いた肉筆の妖怪画「百鬼夜行図巻」を紹介します。

この作品は絵巻物として描かれた作品で、現在はボストン美術館に収蔵されています。月が昇る夜を描いた右側から始まり、左に向かって様々な妖怪が描かれていき、最後には朝日が昇り妖怪が住処に帰る様子が描かれています。

他の作品と同様に猫又や河童、一つ目小僧などがコミカルな姿で描かれていますが、細部にまで丁寧な描写が見られ、石燕の上手さが随所に見られる作品かと思います。松の木やその他の植物も細かく描きこまれているのも注目ポイント。

石燕による肉筆の妖怪画は他にもあるのですが、この作品が一番、石燕の画力の高さが伺える作品なのではないでしょうか。喜多川歌麿、歌川豊春を育て、妖怪漫画の第一人者である水木しげるさんも参考にしたほどの、鳥山石燕の画力を知ることのできる貴重な作品かと思います。

鳥山石燕