「オルカン、S&P500」だけでは危険すぎる…資産3.7億円を築いた脱サラ投資家が「新NISA」で選ぶ"最強の投資先"【2025年3月BEST5】
2025年3月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト5をお送りします。投資・年金部門の第1位は――。
▼第1位 「オルカン、S&P500」だけでは危険すぎる…資産3.7億円を築いた脱サラ投資家が「新NISA」で選ぶ"最強の投資先"
▼第2位 投資した瞬間に「負け確定」…ホリエモンが推す長期投資家が「絶対行くな」という場所、「絶対買うな」という商品
▼第3位 知識がない人は大損する「ねんきん定期便」正しい見方と落とし穴…ハガキが届いたら一番に見るべき項目
▼第4位 新NISAで9割の日本人はカモにされるだけ…荻原博子「絶対投資のアドバイスを受けてはいけない相手」
▼第5位 「オルカン」「S&P500」だけを買うよりずっといい…成功する個人投資家が「新NISAの枠」で必ず買っている有望株

■「S&P500信仰」は非常に危険
私は、投資初心者や銘柄分析に時間をかけたくないという人にとって、インデックス投資は低コストで市場平均を狙える最適解の投資だと思います。本書でお話ししましたが日本市場への参加者は8割がプロ(機関投資家や銀行や証券会社等)、個人投資家のプロ級を合わせると約9割がプロだと考えられます。
参加者のほとんどがプロということは、言い換えれば、市場平均はプロの売り買いの結果の平均値とも考えられます。ここで少し考えてみてください。素人の個人投資家が、9割がプロの世界に参戦して簡単に及第点を取れると思いますか?
どう考えても、無理でしょう。それがインデックス投資なら可能なのです。たとえるなら、普通の学生10人が、東大生が90人もいるクラスでテストを受けても、平均点が取れるようなイメージです。私はインデックス投資について「信じられないほどお得なシステム!」だと思っています。投資初心者や銘柄選定に時間をかけたくない人にはインデックス投資をおすすめします。
インデックス投資で過去10年くらいの成績を見ると米国株が圧倒的に好成績でした。現在、広く読まれている投資本やSNS等を見るとS&P500への積み立て投資が「投資の最適解」のように言われています。しかし、私はこの考えは非常に危険だと思います。米国株のここ10年の躍進は、その大部分がGAFAM(グーグル、アマゾン、メタ、アップル、マイクロソフト)といった巨大IT企業のイノベーションに支えられていた一面があります。
■米国株は割高、為替リスクも見逃せない
このイノベーションが今後も起き続けるという前提に立たないと説明できないほど米国株は現在、割高になっているように思えます。日本株と比較しても、かなり割高な水準です。
そのうえ、米国株投資では為替リスクも見逃せません。今の為替水準は購買力平価やマネタリーベースから見ても円安すぎる水準です。今後の為替レートを予想するのは難しいですが、円高リスクを無視することはできません。松井証券のレポートによると、2024年10月中下旬のS&P500のPERは24倍です。一般的にフェアバリューと呼ばれているPER15倍に水準が訂正されると株価は約37.5%下落します。
ドル円の為替についてもIMFのデータに基づく直近の購買力平価では1US$=90円前後と計算されます。現在(2024/11/1)の為替は1US$=153円前後で、購買力平価からは41%も円安に振れています。
今からの投資人生が30年あるとしましょう。その間に○○ショックが10回くらいは来る可能性が高く、どこかでリーマンショックやコロナショックのようなものが来るでしょう。2000年以降で私が経験した主な暴落と下落相場を図表1にまとめています。25年間で12回、約2年に1回○○ショックと呼ばれるような暴落や下落相場があったことになります。

■おすすめは「日本の個別株投資」
次にリーマンショックやコロナショック級の暴落が来た時に、FRB(米国の中央銀行制度の最高意思決定機関、連邦準備制度理事会)はどうしますか? 金利を0近辺まで下げる可能性が高いでしょう。そうなると日米の金利差はなくなり、為替は購買力平価に近づいていくと予想されます。
将来、S&P500が30%下落して、為替が30%円高に振れればS&P500の円建て価格はあっという間に半値です。先ほど述べたようにS&P500がフェアバリューと言われるPER15倍に水準訂正されると約37.5%の下落、為替が購買力平価により決定されるレートに収束すると41%の円高、これを合わせると円建てでは約63%の下落です。
これはリーマンショック時の日経平均以上の下落率です。リーマンショックで多くの個人投資家が退場したことからも、これほどの下落に耐えられる個人投資家はわずかでしょう。S&P500の積み立て投資を今後も長期で行っていくなら、このようなリスクは頭の中に入れておかねばなりません。
インデックス投資は優れた投資手法ですが、私の手法はインデックス投資ではなく「日本の個別株投資」です。では、私がなぜ個別株投資を行い、皆さんにもおすすめするのかというと、私の個別株投資手法であれば「高い確率で市場平均に勝つ」ことをデータ的に示すことが可能だからです。
■「株主への配当金」は32年間で約7.7倍に
私が皆さんにおすすめするのは「日本の個別株投資」と言いました。その理由を少し説明しましょう。今、日本では以下のような流れが起きています。
? 上場企業の手元資金は凄い勢いで増えている
? 上場企業の株価は凄い勢いで上昇している
? 配当金、自社株買いなどの株主還元が増えている
? 給料はほとんど増えていない
以下の図で見るとわかりやすいですね(図表2)。

1991年〜2022年の32年間で上場企業の経常利益は約2.5倍に、株主への配当金は約7.7倍に増えたのに対し、賃金はわずか30%しか増加していません。これは、上場企業の利益は増え続けているのに、給料をほとんど上げずに株主還元を増やしてきたことを意味します。株価はぐんぐん上昇し、日経平均は2024年3月4日に終値で史上最高値の4万円を突破しました。

株式投資で億万長者になった人が増えたのも頷(うなず)けます。多くの社員の頑張りで稼いだ儲けは社員に還元されず株主に流れていったのです。この流れは今後も加速すると思われます。人手不足により賃金も上昇するでしょうが、恐らくそのペースは配当や自社株買い増加の速度には及ばないでしょう。
■配当が「ある人」「ない人」で格差が広がる
本書で述べていますが、今、東証は各企業に「PBR1倍割れは許さんぞ」「ROEを上げろ! 成長投資にお金を使え! それができなければ株主への還元を増やせ!」と檄(げき)を飛ばしています。その影響は絶大で増配や自社株買いという株主還元を増やす企業が増え続けています。
以下のグラフ(図表4)は2000年度以降の配当金と自社株買いの推移です。配当金と自社株買いは急角度で増え続けているのが一目瞭然です。

グラフからも推察できるように、配当金はますます増えていく流れにあるのです。株式投資で配当を得ている人とそうでない人の格差はこれからも広がっていくでしょう。
株式投資を行った方が良い最後の理由は、今後インフレが予測されるからです。インフレ下では現金の価値はひたすら目減りしていきます。一方、企業はインフレ下では値上げを行うことができるため、株式はインフレに強い資産とされています。それにもかかわらず、私の友人には株式投資をしている人はほとんどいません。なぜでしょうか?
――実は多くの友人が2008年頃までは株式投資をしていました。しかし、やめてしまったのです。理由は、リーマンショックがあったからです。米国の大手投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻を契機に広がった世界的な株価下落で、多くの人が大損し、株式投資が怖くなってしまったのです。
■“暴落した日経平均”はいまや5倍以上に
このリーマンショックは歴史的な金融危機となり、多くの友人が株式市場から退場しました。年齢で言えば、私や友人が34歳のとき。ライフイベント的にちょうど自宅購入を考える年齢でした。
リーマンショックで散々な目にあった彼らは市場から退場し、住宅ローンを組んで自宅を購入し、以降は余剰資金を投資に回すことなく、全て住宅ローンの繰り上げ返済に充てました。株式投資を行うより繰り上げ返済の方が資産形成にとっては有利だと考えたのです。これが、私の周りで一番多いパターンです。
しかし、リーマンショック時に7000円を割った日経平均は、今では4万円前後と5倍以上になっています。受取配当金を再投資に回していればリターンは5倍どころか、6倍、7倍になっていたはずです。あの時に投資を続けていれば、今頃は億万長者になっている人がどれだけいたでしょうか。
ただ、リーマンショックのような大暴落時に投資を継続するのはそう簡単なことではありません。暴落時の対応は株式投資の世界ではとても重要ですので、本書の第2部の最後に詳しくお伝えしています。
■「高配当株」は最適解ではない
高配当株というのは現時点での配当利回りが高い銘柄のことを指します。配当金は、企業が減配をして無配にならなければ毎年受け取れます。今年も、来年も、再来年も、その株を保有している限り受け取ることができる、まるでお金を生み続ける装置を買うようなものです。
毎年もらえる配当金は多い方が良いのですから、高配当株投資はインカムゲイン狙いの投資家にとって非常に魅力的な投資手法と言えます。ただ、高配当株投資にもリスクがあることを忘れてはいけません。
以下のチャート(図表5)は2021年1月以降の「日経平均高配当株50指数連動型ETF(以下、高配当ETF)」とTOPIX、日経平均のパフォーマンスを比較したものです。高配当ETFの成績が指標を大きく上回っているのがわかると思います。この3年間に限ると高配当株への投資からは多くの配当金を受け取れただけではなく、TOPIX等の指標を上回る株価上昇の恩恵も受けることができたことがわかります。

では、高配当株投資が投資の最適解なのでしょうか? 私はそうは思っていません。以下は高配当ETF、TOPIX、日経平均のパフォーマンスを2017年4月から比較したものです。先ほどより期間を延ばした比較チャートです。

高配当ETFは2018年から20年までの成績が振るわず、2020年10月頃から大きくパフォーマンスを伸ばしていることがわかります。2017年4月以降の全期間で見ると高配当ETFの成績は日経平均に劣る形になっています。つまり、この3年間は高配当株が好調な時期だったのです。
■高配当株は“割高な状態”にある
昨今、明らかに「高配当株ブーム」が来ています。書店で並ぶ投資本の多くが「高配当株」に関連するものです。特にこの1年は新NISAが始まったこともあり新たに株式投資をスタートする人が増えました。このような方に「高配当株」はとても魅力的に映ったのでしょう。結果人気の高配当株が買われ株価が上昇しました。
しかし根本的に、株式投資の世界では「後追い」はあまり良い結果を生みません。過去の華々しいデータを見て追随買いしても、すでに株価は十分に割高になっているからです。高配当株の多くは、その企業が持つ資産価値(今持っている資産)や事業価値(稼ぐ力)が大きく変わっていないのに株価だけが上がっている状態です。つまり今は以前と比べて割高な状態にあるということです。いくら高配当株でも割高な株を買っていては儲かりません。
また、高配当株にはもう一つ大きなリスクがあります。それは減配リスクです。高配当銘柄には成熟企業と言われる、すでに成熟して、さらなる成長がほとんど期待できない企業が多く存在します。つまり、今後の成長投資の案件があまりないのです。そこで本来、成長投資へ向ける利益の多くを株主還元に回した結果、高配当になっていると判断できます。
投資家は成長性ではなく還元(配当)に期待して株を買っているのですから、減配や無配になると株価の下落率は非常に大きくなります。
■“減配リスクのある銘柄”は危ない
2024年2月1日、高配当株として人気があった「あおぞら銀行」が業績悪化に伴い2024年3月期期末配当を無配にすると発表しました。発表までの同社の配当利回りは4.73%、無配発表の衝撃は大きく、この日の終値はストップ安。株価は2日間で3257円から2150円まで34%急落することになります。たとえ現時点で「高配当株」でも、減配リスクのある銘柄への投資は危険なのです。

高配当株投資自体は素晴らしい手法ですが、高配当株で「割安」かつ「減配リスクの小さい」銘柄を選定しなければなりません。ただ、今は高配当株ブームということもあり、高配当株は割高となっている企業が多い傾向にあります。
一方で、私の投資手法は、割安で増配の可能性が高い銘柄をファンダメンタルズで判断して投資するバリュー投資です。増配の継続性を重視しているのですから、減配リスクが小さいことは言うまでもありません。もっと簡単に言えば、現在の配当利回りが4〜5%の高配当銘柄ではなく、今は配当利回りが3〜4%でも、将来高い確度で増配が期待できる銘柄に投資していく手法なのです。
(初公開日:2025年3月8日)
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ヘム投資家兼会社経営者
京都大学卒業後、総合商社に入社。社会人1年目より投資を始め投資歴は27年になる。30歳で脱サラをし起業。現在、2社を経営。363銘柄保有中、投資時価3.7億。個別銘柄分析&ポートフォリオ構成銘柄&成績をXで公開したところ、アカウント開設後、1年半でフォロワーが3万人突破。投資手法の軸は「小型割安株」と「増配期待株」と「暴落時の買い向かい」の3つのアノマリー。データを重視した投資手法で、その再現性の高さから、株クラから投資初心者まで幅広い支持を得ている。
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(投資家兼会社経営者 ヘム)
