台湾人女性の激動人生描いた小説 日本語訳の田中美帆さん「多くの人に読んでほしい」
陳柔縉の作品は、庶民の生活が生き生きと描かれている点が好きだったと話す田中さん。「高雄港の娘」の中には当時の情勢が反映された描写があり、「取材の豊かさを感じる内容だと感服した」と語る。
翻訳作業については「翻訳文で台湾語と日本語、台湾語と国語(中国語)の差異をどう表すか、というのは大きな課題でした」と振り返りつつ、台湾語話者である夫の力を借りながら台湾語が作中でどのように使われているか理解した上で、「台湾語が主言語と思われる人には私の故郷である愛媛県の南予方言を当てました」と語る。言語の違いは「統治者と被統治者の関係性や分断を示す重要なファクター(要素)」だとし、「翻訳者の格闘が(読者に)少しでも伝わるよう願っています」と話した。
「歴史小説というと歴史的事件や人物を中心に語られることが多いですが、それだけが歴史ではありません」と田中さん。陳柔縉はかつての作品のタイトルに用いた「一人一人に時代が刻まれている」(人人身上都是一個時代)といった表現に「心の底から同意します」と述べ、「高雄港の娘」にもその信念が込められているとし、日本の読者に手に取ってもらいたいと期待を寄せた。
(邱祖胤/編集:齊藤啓介)
