休息中の北朝鮮の女性兵士(アリランday)

写真拡大

北朝鮮では近年、若者たちの兵役忌避が問題となっているが、この春の召募では特に深刻だったという。

黄海北道(ファンヘブクト)のデイリーNK内部情報筋は、「軍の隊列補充局では、今年の招募計画人員の6割をなんとか満たした。少子化の進行と相まって、若者の兵役逃れは、祖国防衛のための人民軍(北朝鮮軍)の戦闘準備と直結する重大な問題だと隊列補充局は考えている」と話す。

北朝鮮の若者が兵役を忌避するのは、祖国よりも個人の生活を重視する感覚の変化のためだと言われるが、そのほかにも理由は山ほどある。

一例を挙げると、あまりにも深刻な食糧不足だ。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によれば数年前、道内の清津(チョンジン)市に駐屯する高射銃部隊の女性兵士たちが、飢えに苦しんだ挙句、軍隊では「タブー」とされる行為に走ったことがあった。

情報筋によれば、問題の女性兵士らはひどい栄養失調に陥り、体調を回復させるため一時的に隊を離れ、師団が管理する現地の農場に派遣されていたという。

「女性兵士らは栄養失調でやつれ、ほとんど『骨と皮』だけに近い状態だったようだ。最初は地域住民に食べ物を分けてもらっていたが、それが出来なくなると盗みを働くようになった」(情報筋)

情報筋によれば、女性兵士らは派遣されてきた当初、住民から食べ物をもらうため、交換で軍服や地下足袋、さらには背嚢(リュックサック)など軍の支給品を差し出していた。軍用品は耐久性に優れているため、農民の間でも人気が高い。地域の人々は喜んでコメやジャガイモを与えていた。

物々交換に差し出すものがなくなった女性兵士たちは、遂には民家に忍び込み、ニワトリやヤギを盗むに至った。地域住民と軍との間でトラブルになり、軍に対する国民の信頼を大きく傷つけることになったのは言うまでもない。

北朝鮮では「軍民関係」、つまり軍人と民間人の関係が非常に重要視される。お互い良好な関係を維持してこそ、国が保たれるという考え方だ。軍人が民間人を相手に窃盗や暴行などの犯罪に及ぶのは禁断の行為で、厳罰の対象とされる。

(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

北朝鮮の軍内では、こうした飢餓や性的虐待がまん延している。そんなところに大切なわが子を送りたいと思う親がいるはずもなく、兵役忌避のためあらゆる手段を講じる親たちが少なくないという。